初心者がVRMMOをやります(仮)
パパンの災難
「あの『女帝』直々のレッスンか。ご苦労様」
ログインするなりぐったりしていたカナリアにパパンが声をかけてきた。
訳を話すと、かなり同情されてしまった。
「ジャッジさんも一緒に受けているのに、まったく疲れていないんです」
「というよりも、彼は女帝をからかって楽しんでるんじゃないかな? だから尚更カナリアちゃんは疲れるんだと思うよ。
ジャッジ君はベテランプレーヤーだ。海外……特に西欧で爆発的な人気を誇るVRMMOだと、よくダンスクエストなんてあるからね。NPCに手取り足取り教えられる羽目になる。ある程度上手くならないと進められないから、やり込んでいてもおかしくない」
それを聞いたカナリアは騙された! と思った。何が「俺も初心者みたいなものだから一緒に頑張ろう」なのか。
これはあとでみっちり抗議する必要がある。
耳の動きで不服なのを悟ったパパンは失言だったと悟った。必死に頑張るカナリアを見て、微笑ましかったのだろう。そして、女帝を心からからかいたかったのだろう。それに付き合わされたのが不運だっただけで。
「ミ・レディ。ではレッスンの成果を見せていただけますか?」
さらりとセバスチャンが誘い、パパンの危機は去った……と思っていた。
あとで抗議を受けたジャッジに、ちくりと嫌味を言われ、女性陣には「カナリアを泣かせた」と言われ散々だったという。
余談であるが……ジャッジこと、保がそれなりに踊れることを昌代は見抜いていた。そして、美玖にあわせるためと己をからかうために、レベルを落としていたことも。
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