初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

八つ当たりなPvP

「お前ら、クエスト終わった後もなにやってんだ!!」
 カカにタライトラップとバケツトラップを頭上に仕掛けてもらい、わざと起動させて全員の動きを止める。
「ストーカー排除」
 水に濡れながらも事も無げにユウが言う。
「トール君のストーカーのあとはシュウ君なの?」
 さすがにディッチも呆れてしまった。何で「深窓の宴」関係はこうも犯罪者予備軍が多いのだ。現実でやったら確実に警察に職質される。
「だから違う! 俺はクエストに来てただけだ」
 そうしてクエスト名を挙げていくが、このフィールドを選択するプレイヤーの方が少ない。
「ストーカー決定ね。ゲーム内でも現実リアルと同じように法律が施行されればいいのに」
 スカーレットまでもが忌々しく言う。
「何? VRパトロール隊とか? 警察官より強いプレイヤーはどうすんだよ」
「そこが問題よね。でも、今回の一件は運営に報告しても無理だし。少ないってだけで、ここを選んでるプレイヤーもそれなりにいるわけだし」
 トールとは違い、クエストを選んでいるあたりある意味悪質である。
「最悪、こっちの自意識過剰に取られてもおかしくない。今回は『たまたま』同じフィールドを選んだ、そういうことにしておこう。タカさんも『そのあたりに落ちてた』グリフォンで支援してくれたわけだし」
 そういうことで決着をつけておいたほうが色々と楽である。

「とりあえず数十発殴りたい」
「止めとけ、ジャッジ。手が痛い」
 ぼそりと呟いたジャッジをディスカスが止めていた。
「PvPなら問題ないだろ?」
 どこまでもシュウをいたぶりたいジャッジの言葉は、ディッチの頭を痛める結果になった。


 カナリアはユーリたち女性陣に頼んで、ジャッジはPvPの挑戦をシュウ対して送る。
「俺を開始時スタートした場所から動かせたら、近づくのは許してやる」
「拒否」しようとしたシュウを、ジャッジはあえて挑発した。
「動かないままお前が負けたら?」
「好きにすればいい。代わりにお前が今回負けたら二度とカナリアに近づくな。店にも来るな」
 その言葉に、シュウは挑戦を「許可」していた。

 しかも、タブレットを壊せないタイプにして、防御を徹底的に上げた状態だ。

 それに対して、ジャッジは銃器を構えた。

――PvPが始まります。各自準備はよろしいでしょうか?――

 始まると同時に、ジャッジは己の足を地面に縛り付けた。

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