初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

翼竜を守るキングゴーレム8


「……美玖、採取系終わったの?」
 呆れたようにイッセンが声をかけてきた。カシミレラはともかく、ウルリーノが怯えてカナリアの後ろに隠れた。
「えっと、ウルちゃんが遊びに来たから途中になっちゃった」
「色々突っ込みどころあるけど、ウルちゃんって、後ろの羊?」
「うん。さっき友達になったの」
 これ以上聞いちゃまずいと思ったイッセンは、カシミレラを無視することにした。

 ……その瞬間。
「ごふっ!」
「いっくん!」
「イッセン!?」
「イッセン君!」
 急なカシミレラの突進にイッセンは瀕死状態になった。

 事情の分かったジャッジたちはため息をついた。規格外な食事とカナリアのおかげで、いとも簡単にウルリーノとカシミレラを捕獲出来たのだ。
「つれてっちゃ駄目ですか?」
「レイド戦に連れてくのは難しい。一度二人くらいが戻って捕獲クエスト受注、そしてクリアするしかない」
 ジャッジが呆れ気味で答えた。
「いえ……その……拠点で暮らせないかなって」
「そっち!?」
 イッセンが驚いていた。

 それもそのはず。カナリアたちの拠点は動物王国よろしくの状態である。これ以上増やすのはどうよ? というのがギルドメンバーの考えだった。
「いいと思うけど。だって角だってよく生え変わるわけだし、素材だし。今更多少増えたって問題ないでしょ?」
 そう言ってきたのはスカーレットである。
「いや、問題がある」
 きっぱりと言ったのはジャッジ。
「俺とカナリアがいちゃつけな……」
 次の瞬間、イッセン、リリアーヌ、そしてスカーレットから鉄拳を食らっていた。


 ウルリーノとカシミレラをユニに頼んで拠点へ送ってもらっている間、素材を採りつくして休憩となった。
「なんだかさぁ、このゲームしてからジャッジさんのイメージ変わった」
 そう言うのはイッセンである。
「あ、あたしもっ」
「それは君らが騙されてただけ。本当のジャッジはもっと酷い」
 さらりと言うのはユウである。
「酷いって、どんな風に?」
「見たとおりでしょ。カナリア全面擁護する割りに、危険なことはさせたくないとか」
 その言葉に二人がもの凄く納得している。
「つうかさ、何でこんなどうしようもない男にカナリアが捕まったかなぁと思うわけよ」
 ユウがさらりと酷いことを言う。
「最近それ凄く思う~~。昔からジャスティスさんとジャッジさんが並んでたら、人気出るのはジャスティスさんだったし」
 リリアーヌまで悪乗りを始めてしまった。
「おい」
「まぁ、あいつは色々優先してくれるからな。顔だけ、、で選べばジャッジにも軍配があがるが、ある程度見てりゃ、ジャスの方に軍配があがる」
「お前らな……」
 ディスカスの言葉に、ジャッジはどう言い返そうか考えているうちに話は終わった。


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