初心者がVRMMOをやります(仮)
今頃な疑問
「美玖は今まで時短魔法使ったことなかったんだ」
その話を聞いたイッセンが驚いたように呟いた。
「? 必要性あるのかなって。人にかけてもあんまり意味ないでしょ」
「……そこで人しか思いつかないのは何で? 生産職に時短魔法は必須だよ? それにプレイヤーにも使うから」
リリアーヌが突っ込みをいれる。
「使うの!?」
「そっから!? リキャストタイムとかクールダウンタイムとかあるだろ!?」
従兄姉たちから出てきた「リキャストタイム」や「クールダウンタイム」とか、カナリアは全く知らない。
……二人の様子を見るに、どうやら「常識」らしい。今まで使わなかったんだから、必要ないのでは? とカナリアが思っていると、ぺちっとイッセンからでこピンされた。
「いちゃい……」
「美玖。必要ないわけないからね? 今まではディッチさんたちが『リキャストタイム』を短縮してたんだから」
「……えっとね『リキャストタイム』が何なのか教えて欲しいんだけど」
「……美玖ちゃんの反応からそうじゃないかと思ってたけど、本当に知らないのね」
使わないものを知ってるわけがないと思う。その言葉は二人に睨まれ、言えなかった。
リキャストタイム。
魔法職は言うに及ばず、様々なスキルを再度発動させるまでにかかる待機時間のことである。逆に魔法やスキルを発動するまでの時間は「キャストタイム」と呼ばれる。
他にも、「TabTapS!」内では「クールダウンタイム」と呼ばれ、パッシブスキル以外のスキルで一定時間以内に規定量を超えて使った場合、一時的に使えなくなるもある。
ただ、「TabTapS!」において、似たようなスキルは開発次第でいくらでもあるわけで、スキルさえ揃ってしまえばそこまで縛りがあるわけではない。
逆に初期にこの壁に阻まれるため、魔法職はさっさとリキャストタイムやクールダウンタイムを短縮する魔法を開発せざるを得ない。
どどのつまり、誰一人カナリアがリキャストタイム短縮用の魔法を開発していないとは思っていなかったのだ。
「……アクセサリー作る時に時短魔法教えてないってジャッジさんに聞いてたけど、こっちも教えてないなんて聞いてない」
ぼそりとリリアーヌが呟く。
魔法職な上に、生産メインでやっているのだから知っていて当然だと思い込んでいた周囲の落ち度ともいえた。
そのままイッセンがディッチとディスカスにパーティチャットを開始する。
『どした?』
すぐに出たのはディッチだ。
「あ、今大丈夫ですか?」
『ん~~。少々なら。もうすぐテスト飛行する予定だ』
あ、飛行機のプロトタイプが出来たんだ。イッセンはその器用さに驚く。
「いや、ディッチさんとディスカスさんで、美玖に『リキャストタイム』における時短魔法の重要性を説いていただいた上で、見せてもらいたいなと」
『……カナリア君、その存在すら知らなかったとか?』
「です」
『参ったな。ディス、どうするよ』
どうやらディスカスも一緒にいたらしい。
『二人は持ってないのか?』
ディスカスも会話に入ってきた。
「すみません。俺は完全にMP捨てちゃってるので。りりも持ってますけど、そこまで強力じゃないんです。今も開発中でやっとリキャストタイム短縮一%なんで」
『それだとあまり意味ないしな。使って上位を開発中ってとこか。俺持ちのやつは二十五%だぞ。ディッチは?』
『一応、縛りありの七十五%と縛りなしの五十%だな。クールダウンタイムは大丈夫?』
「そっちも持ってないみたいです」
『よく今までジャッジも言わなかったよな』
『あいつは武器を変えればリキャストタイムなんざあまり関係ないし。……まぁ二人のAIがサポートしてたんだろうな』
『ジャッジだったらAIにその魔法くらい覚えさせとくだろうし』
『セバスが勝手に使ってたとか?』
電話の向こうでディッチとディスカスが盛り上がり始めた。
『あり得る』
「と……とにかく。そんなわけでまずは講義をお願いしたいんですよ」
『イッセン君も過保護だねぇ。……一緒に回りたんだったら仕方ないか。リアルの明日でいいかな?』
「……お任せする立場ですから、時間はそちらに合わせます」
『どうせだ。リリアーヌも一緒に見たらどうだ? ディッチの時短魔法は参考になるぞ』
「ぜひっ! 一%から伸びなくて悩んでたの!!」
嬉しそうにリリアーヌが混ざった。
『……それがうまく使えるようになったら、圧力鍋も要らんだろ』
ぼそりと呟いたディスカスの言葉は、イッセンにしか聞こえなかった。
その話を聞いたイッセンが驚いたように呟いた。
「? 必要性あるのかなって。人にかけてもあんまり意味ないでしょ」
「……そこで人しか思いつかないのは何で? 生産職に時短魔法は必須だよ? それにプレイヤーにも使うから」
リリアーヌが突っ込みをいれる。
「使うの!?」
「そっから!? リキャストタイムとかクールダウンタイムとかあるだろ!?」
従兄姉たちから出てきた「リキャストタイム」や「クールダウンタイム」とか、カナリアは全く知らない。
……二人の様子を見るに、どうやら「常識」らしい。今まで使わなかったんだから、必要ないのでは? とカナリアが思っていると、ぺちっとイッセンからでこピンされた。
「いちゃい……」
「美玖。必要ないわけないからね? 今まではディッチさんたちが『リキャストタイム』を短縮してたんだから」
「……えっとね『リキャストタイム』が何なのか教えて欲しいんだけど」
「……美玖ちゃんの反応からそうじゃないかと思ってたけど、本当に知らないのね」
使わないものを知ってるわけがないと思う。その言葉は二人に睨まれ、言えなかった。
リキャストタイム。
魔法職は言うに及ばず、様々なスキルを再度発動させるまでにかかる待機時間のことである。逆に魔法やスキルを発動するまでの時間は「キャストタイム」と呼ばれる。
他にも、「TabTapS!」内では「クールダウンタイム」と呼ばれ、パッシブスキル以外のスキルで一定時間以内に規定量を超えて使った場合、一時的に使えなくなるもある。
ただ、「TabTapS!」において、似たようなスキルは開発次第でいくらでもあるわけで、スキルさえ揃ってしまえばそこまで縛りがあるわけではない。
逆に初期にこの壁に阻まれるため、魔法職はさっさとリキャストタイムやクールダウンタイムを短縮する魔法を開発せざるを得ない。
どどのつまり、誰一人カナリアがリキャストタイム短縮用の魔法を開発していないとは思っていなかったのだ。
「……アクセサリー作る時に時短魔法教えてないってジャッジさんに聞いてたけど、こっちも教えてないなんて聞いてない」
ぼそりとリリアーヌが呟く。
魔法職な上に、生産メインでやっているのだから知っていて当然だと思い込んでいた周囲の落ち度ともいえた。
そのままイッセンがディッチとディスカスにパーティチャットを開始する。
『どした?』
すぐに出たのはディッチだ。
「あ、今大丈夫ですか?」
『ん~~。少々なら。もうすぐテスト飛行する予定だ』
あ、飛行機のプロトタイプが出来たんだ。イッセンはその器用さに驚く。
「いや、ディッチさんとディスカスさんで、美玖に『リキャストタイム』における時短魔法の重要性を説いていただいた上で、見せてもらいたいなと」
『……カナリア君、その存在すら知らなかったとか?』
「です」
『参ったな。ディス、どうするよ』
どうやらディスカスも一緒にいたらしい。
『二人は持ってないのか?』
ディスカスも会話に入ってきた。
「すみません。俺は完全にMP捨てちゃってるので。りりも持ってますけど、そこまで強力じゃないんです。今も開発中でやっとリキャストタイム短縮一%なんで」
『それだとあまり意味ないしな。使って上位を開発中ってとこか。俺持ちのやつは二十五%だぞ。ディッチは?』
『一応、縛りありの七十五%と縛りなしの五十%だな。クールダウンタイムは大丈夫?』
「そっちも持ってないみたいです」
『よく今までジャッジも言わなかったよな』
『あいつは武器を変えればリキャストタイムなんざあまり関係ないし。……まぁ二人のAIがサポートしてたんだろうな』
『ジャッジだったらAIにその魔法くらい覚えさせとくだろうし』
『セバスが勝手に使ってたとか?』
電話の向こうでディッチとディスカスが盛り上がり始めた。
『あり得る』
「と……とにかく。そんなわけでまずは講義をお願いしたいんですよ」
『イッセン君も過保護だねぇ。……一緒に回りたんだったら仕方ないか。リアルの明日でいいかな?』
「……お任せする立場ですから、時間はそちらに合わせます」
『どうせだ。リリアーヌも一緒に見たらどうだ? ディッチの時短魔法は参考になるぞ』
「ぜひっ! 一%から伸びなくて悩んでたの!!」
嬉しそうにリリアーヌが混ざった。
『……それがうまく使えるようになったら、圧力鍋も要らんだろ』
ぼそりと呟いたディスカスの言葉は、イッセンにしか聞こえなかった。
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