初心者がVRMMOをやります(仮)
こんなギルドもあったりする
ディスカスが色々聞いて回った結果、ゲーム内では「時間短縮魔法」が使われていることが判明した。
圧力鍋を作ったプレイヤーもいたという。
「途中で灰汁を取ったりする必要がある。その場合、灰汁が出てくるところまで普通に煮込んでそのあと時間短縮魔法使った方が美味い」
というのが、料理人プレイヤーからの言葉だった。
「鍋に直接重力魔法使うって方法、普通考えないし」
これは他のプレイヤーの弁だった。
料理をするプレイヤーたちからも聞いた話を総括すると、圧力鍋は「不要」ということだ。どのタイミングでどう魔法を使うかはプレイヤーの腕によるものなので、ひたすら試すしかないだろう。
それで納得してもらうしかない。
せっかくの魔法職だ。LV上げもかねてやってもらおう。
「……圧力鍋は難しいですか」
「知人関係にも色々聞いたが、魔法の組み合わせの方が美味いらしいぞ」
その言葉にカナリアがたじろいていた。
知りたい、でも知らない人から話を聞くのが怖い。そんなところだろう。
「何だったら、俺がそいつ紹か……ごふっ」
紹介してやろうか、そうカナリアに言おうとしたらジャッジから鉄拳が飛んできた。
「これ以上カナリアに男を近づける気はないぞ」
「お前はだんだん狭量になってくな! 少し控えろ!!」
ぷいっとジャッジがそっぽを向いた。
「でも、その方に了承って取られてるんですか?」
「相手がカナリアだって知ったら、『いつでも教えてやる!』って喜んでたけど」
そいつが所属しているギルドが問題だとは言わないでおこう。
ギルド「イエスロリータ・ノータッチ」はその名の通り、ロリコンの集まりだ。最近はショタコン女性までもが加入しているある意味、始末に負えないギルドである。
そのギルドを知っているからといって、ディスカスはロリコンではない。スカーレットの伝手で知り合っただけだ。
紹介するか迷った際、スカーレットやディッチにも相談したが、「ノータッチを謳ってるから問題ないんじゃね?」という回答が来た。
「……却下」
ぼそりとジャッジが呟く。
「こんな集団にカナリアを近づけられるかっ!!」
ギルド名に反応したジャッジにより、あっさりと却下された。
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