老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
318話 かけひき
「待ってました!」
【ギリギリだったわね。
もう送ってるから内容だけ説明すると、簡単に言えばユキムラたちの空間の時間の流れを遅くします。
幾重にも迷彩をかけて、気が付かれない範囲では最大加速して6倍。
なんとかそこまで引き伸ばせました。
内部時間で15分、戦闘を継続してくれれば、こちらの準備は完成します。
ただ、戦闘に入ってから起動になるわ。
流石に戦闘時以外での使用は気が付かれてしまうから。
罠によって擬似空間全域に網を張って、帰還する魔人に紐付けをします。
ユキムラには女神の腕輪を利用した秘匿回線で作戦完了を連絡します。
作戦が完了してからユキムラたちに魔人を撃破してもらいます。
物凄い無茶振りを簡単に言っちゃって悪いんだけど、これしか方法がなさそうなの……
ごめんなさいね】
「良かった、1時間持たせるのはかなりしんどそうだったので助かります。
出来る限りの事はやります!」
【ユキムラのことだから、きっと成し遂げてくれると皆信じているわ。
誘い込むのはダンジョンのボスを倒して扉に触れたタイミング、ゆっくり休息を取ってね。
私が言うのも変だけど、女神の加護がありますように……】
いたずらっぽく微笑んでアルテスは消えていく。
別段変化したようには見えないが、どうやら何らかの機能がネックレスに加わったらしい。
「さーて、まずはダンジョンのボスを倒しちゃおうか」
もののついでのように倒されるボスが可哀想だ。
しかし、それも仕方がないくらい白狼隊のメンバーはキレッキレに切れていた。
「あー、変なこと言ったからめんどくさいのが来た……」
ボスはグランドタートス。
巨大な亀のような海龍の変異種みたいな敵だ。
「水ブレスは耐性取っていても物理的圧力も強いし、手足しまいこんで大暴れしたり攻撃パターンは見た目以上に豊富だから注意してね」
「いい防具の素材が取れそうねぇ~」
「……美味しいのかな?」
「結構美味しい風な表記だったような……」
「やる気が増えました!」
「前哨戦だ。しっかりとやっていこう!」
「ワン!!」
戦闘が開始すると巨亀の厄介さがすぐに分かる。
水ブレスは範囲も広く危険だが、更に厄介なのが終わった後に地面がビシャビシャになる。
突然手足や尻尾、首を引っ込めて、まるでジェット噴射みたいに水を吐き散らかしながら高速で体当たりをしたり、やりたい放題だ。
「ダメージはないけど、このビシャビシャな戦闘は風邪ひきそう……」
「こまめに乾かさないと、こいつ厄介にも氷結系魔法があるから……」
「師匠、これ下の水も乾かしとかないとやばいですよね?」
「温風当てておこう……」
ユキムラはゲームとの違いに少し戸惑っている。
それでもきちんと対処しながら戦闘を継続していくしかない。
手足や首を攻撃するのだが、どうにもでかいのを当てようとすると甲羅の内部へ収納してしまう。
「ぴょこぴょこと、でかいくせに素早い!」
「なんか馬鹿にされてるような気分になるわぁ……」
もぐらたたきのような一面もある。
「甲羅は抜けるわけはないし、地道に行くしか無いよ……」
「師匠と僕で魔法で攻めつつ、ブレス後に集中攻撃ですかね」
「突進の時に地面変形させて、ひっくり返したり出来るのかな?」
「事前に組んでおいて誘い込んでみましょうか?」
「やるだけやってみるか」
VOでは絶対に出来ない方法だ。
ビシャビシャになるような現実的な世界だし、もしかしたらという程度のユキムラの思いつき。
それがバッチリハマる。
「発射台次!」
「ヴァリィ! こっちに誘導して!」
「は~~い」
巨亀はガンガンと甲羅を叩いてくるヴァリィに苛立ちジェット噴射の突進を図る。
ヴァリィが回避すると地面が盛り上がり、亀の片側だけを滑らかに持ち上げて、見事に回転し完全にひっくり返ってしまう。
VO内ではありがちな一定ダメージを与えると発生する転倒を、地形変化で無理やり起こさせる。
ひっくり返ると大暴れで戻ろうとするので遠距離攻撃し放題だ。
だんだん警戒して突進は減ってくるが、それはそれで前がかりに攻めやすくなる。
しびれを切らして突進すればひっくり返される。
耐久力には自信のある巨亀も、完全に後手に回り続けていれば、その実力を十分には発揮できない。
何度目かわからないほどの転倒、バタバタと復帰を目指すも、白狼隊の猛攻にその鎌首をぐにゃりと地面に落とし、光の粒となって消えていった……
「お疲れ様ー。まともに戦っていたらかなりやばかったねー」
「レンー、服乾かしてー」
「わんわん!」
「あっタロやってくれるのありがとー。あー暖かくて気持ちいい~」
「ちょっと休みたいわね。ユキムラちゃん、作戦実行はどうする?」
「俺も休みたいし、装備も手入れして、出来る限り万全で挑もう。
ただ、挑む時はちょっと細工しようと思ってる」
「細工ですか?」
「まぁ、子供だましみたいなものだけど、少しでも敵が油断してほしいから~ゴニョゴニョゴニョー」
「なるほど、悪知恵みたいなものですねー」
「時間稼ぎが目的だし、やれることはやりましょう」
「それじゃぁ、とりあえず休憩しよう」
作戦開始までのしばしの休息だ。
休憩が終われば、女神発高難易度クエストの開始である。
【ギリギリだったわね。
もう送ってるから内容だけ説明すると、簡単に言えばユキムラたちの空間の時間の流れを遅くします。
幾重にも迷彩をかけて、気が付かれない範囲では最大加速して6倍。
なんとかそこまで引き伸ばせました。
内部時間で15分、戦闘を継続してくれれば、こちらの準備は完成します。
ただ、戦闘に入ってから起動になるわ。
流石に戦闘時以外での使用は気が付かれてしまうから。
罠によって擬似空間全域に網を張って、帰還する魔人に紐付けをします。
ユキムラには女神の腕輪を利用した秘匿回線で作戦完了を連絡します。
作戦が完了してからユキムラたちに魔人を撃破してもらいます。
物凄い無茶振りを簡単に言っちゃって悪いんだけど、これしか方法がなさそうなの……
ごめんなさいね】
「良かった、1時間持たせるのはかなりしんどそうだったので助かります。
出来る限りの事はやります!」
【ユキムラのことだから、きっと成し遂げてくれると皆信じているわ。
誘い込むのはダンジョンのボスを倒して扉に触れたタイミング、ゆっくり休息を取ってね。
私が言うのも変だけど、女神の加護がありますように……】
いたずらっぽく微笑んでアルテスは消えていく。
別段変化したようには見えないが、どうやら何らかの機能がネックレスに加わったらしい。
「さーて、まずはダンジョンのボスを倒しちゃおうか」
もののついでのように倒されるボスが可哀想だ。
しかし、それも仕方がないくらい白狼隊のメンバーはキレッキレに切れていた。
「あー、変なこと言ったからめんどくさいのが来た……」
ボスはグランドタートス。
巨大な亀のような海龍の変異種みたいな敵だ。
「水ブレスは耐性取っていても物理的圧力も強いし、手足しまいこんで大暴れしたり攻撃パターンは見た目以上に豊富だから注意してね」
「いい防具の素材が取れそうねぇ~」
「……美味しいのかな?」
「結構美味しい風な表記だったような……」
「やる気が増えました!」
「前哨戦だ。しっかりとやっていこう!」
「ワン!!」
戦闘が開始すると巨亀の厄介さがすぐに分かる。
水ブレスは範囲も広く危険だが、更に厄介なのが終わった後に地面がビシャビシャになる。
突然手足や尻尾、首を引っ込めて、まるでジェット噴射みたいに水を吐き散らかしながら高速で体当たりをしたり、やりたい放題だ。
「ダメージはないけど、このビシャビシャな戦闘は風邪ひきそう……」
「こまめに乾かさないと、こいつ厄介にも氷結系魔法があるから……」
「師匠、これ下の水も乾かしとかないとやばいですよね?」
「温風当てておこう……」
ユキムラはゲームとの違いに少し戸惑っている。
それでもきちんと対処しながら戦闘を継続していくしかない。
手足や首を攻撃するのだが、どうにもでかいのを当てようとすると甲羅の内部へ収納してしまう。
「ぴょこぴょこと、でかいくせに素早い!」
「なんか馬鹿にされてるような気分になるわぁ……」
もぐらたたきのような一面もある。
「甲羅は抜けるわけはないし、地道に行くしか無いよ……」
「師匠と僕で魔法で攻めつつ、ブレス後に集中攻撃ですかね」
「突進の時に地面変形させて、ひっくり返したり出来るのかな?」
「事前に組んでおいて誘い込んでみましょうか?」
「やるだけやってみるか」
VOでは絶対に出来ない方法だ。
ビシャビシャになるような現実的な世界だし、もしかしたらという程度のユキムラの思いつき。
それがバッチリハマる。
「発射台次!」
「ヴァリィ! こっちに誘導して!」
「は~~い」
巨亀はガンガンと甲羅を叩いてくるヴァリィに苛立ちジェット噴射の突進を図る。
ヴァリィが回避すると地面が盛り上がり、亀の片側だけを滑らかに持ち上げて、見事に回転し完全にひっくり返ってしまう。
VO内ではありがちな一定ダメージを与えると発生する転倒を、地形変化で無理やり起こさせる。
ひっくり返ると大暴れで戻ろうとするので遠距離攻撃し放題だ。
だんだん警戒して突進は減ってくるが、それはそれで前がかりに攻めやすくなる。
しびれを切らして突進すればひっくり返される。
耐久力には自信のある巨亀も、完全に後手に回り続けていれば、その実力を十分には発揮できない。
何度目かわからないほどの転倒、バタバタと復帰を目指すも、白狼隊の猛攻にその鎌首をぐにゃりと地面に落とし、光の粒となって消えていった……
「お疲れ様ー。まともに戦っていたらかなりやばかったねー」
「レンー、服乾かしてー」
「わんわん!」
「あっタロやってくれるのありがとー。あー暖かくて気持ちいい~」
「ちょっと休みたいわね。ユキムラちゃん、作戦実行はどうする?」
「俺も休みたいし、装備も手入れして、出来る限り万全で挑もう。
ただ、挑む時はちょっと細工しようと思ってる」
「細工ですか?」
「まぁ、子供だましみたいなものだけど、少しでも敵が油断してほしいから~ゴニョゴニョゴニョー」
「なるほど、悪知恵みたいなものですねー」
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