老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
311話 激闘コウVSナオ!
「赤コーナー、戦う執事、多彩な魔法と華麗な糸捌きで女性ファンを増やしているぅーーーーコウーーー!!」
「青コーナー、可愛らしい外見に騙されると苛烈極まる反撃を食らうぞー! 見えない絶対領域は乙女の秘密! 戦うメイド、ナ、オーーーーーーー!!」
ノリノリのマイクパフォーマンスで選手紹介を受ける。
特設リングの周りにはGUによる出店が並び、観客は10名ほどだが盛り上がっている。
「解説のユキムラさん、この二人の戦いをどう見ますか?」
「そうですねキーミッツさん、肉体的な能力だけを見ればナオ選手が圧倒します。
特に武器であるフランシスカによる雨、アレを使われたらかなりコウ選手には厳しい戦いになってしまいます。しかし、今回は武器の使用は禁止されています。
素手での戦闘で、投げや関節技などが入ると、これはわかりませんよー」
「なるほど、ソーカさんはどうお考えですか?」
「コウ選手にとっては一つ厳しいことがあるかなと思っています」
「ほほう、それは?」
「好きな人の顔を殴れる男はいないでしょ」
「おお、確かにそれは……」
「キーミッツさん、キーミッツさん!」
「おおっと、選手サイドデリカ氏から情報が有るみたいです。どうぞ!」
「はい、こちらナオ選手の控室です。試合前ナオ選手はコウ選手にこう言ったそうです。
女だから殴らないとか、そういうふざけた事を負けた言い訳にされたら困る。
戦いの場では戦士として勝負しろ! だそうです。以上現場デリカがお伝えしました」
「ほほー、これならソーカ氏の不安も杞憂に終わるのではないでしょうか?」
「どうでしょう」
「そろそろゴングの時間です。
ルールは時間無制限、参ったと言わせれば勝利です。それではリング内レン氏お願いします!」
「二人共、相手を殺さないように注意してね、半殺しでちゃんと止めてね」
「うす!」
「はい!」
「絶対負けないからな」
「ふん! 貴方が私に勝てたらなんでも言うこと聞いてあげるわよ!」
「おおっと、過激な発言が飛び出したぞー! それだけ自信があるということですねユキムラさん!」
「ええ、慢心につながらないといいですが」
「それじゃぁ、二人共頑張って。 ファイト!!」
カーン
レンはすぐにリングから退避する。
これで結界内は何が起きても周囲への影響はない。
「二人共がんばれー」
ヴァリィ達も酒を片手に声援をかける。
はじめに動いたのはナオ、一気にコウとの距離を詰める。
突っ込んでいくナオの目前に土壁がそそり立つ。
コウが一瞬で陣地構成を行ったのだ。
「小細工ね!」
まるで砂で作った城を崩すようにこともなげに土壁を破壊しながら進むナオ。
「どこに!?」
壁を崩した先に居るはずのコウは姿を消している。
「!?」
突如左後方から飛んできた火球を廻し受けでいなす。
防具はきちんと訓練用なので魔法防御力なども高くなっている。
火球の影には風の刃が潜んでいる。
「チィッ!」
大きく飛び退いて魔法攻撃から距離を取る。
「遠くからちょこまかと!」
ナオの苛立ちが伝わってくるが、肉体的劣勢を考えれば、というよりも、本来コウは魔術師よりなのだからこういう戦いになることはナオも理解している。
最初の突進で一気に決めるつもりだったのだ。
「男のくせにコソコソと……」
可愛らしい外見からは想像できない強い言葉。それも相手がコウだから出る言葉だ。
前方から降り注ぐ石つぶてに舌打ちをしながら軽々と避ける。
「どうしたのコウ? そんな攻撃当たるはず無いじゃない!?」
「知ってるよ」
ナオは一瞬わけがわからなかった。挑発の声を上げたと思ったら目の前に地面が迫ってきた。
「ぐっ!」
地面に叩きつけられて、慌てて周囲を無茶苦茶に攻撃するがすでに誰もいない。
バッと跳ね上がるように立ち上がり周囲の気配を探る。
「ユキムラさん、今の攻防いかがでしょう?」
「いまのはコウ選手がうまかったですね。ナオ選手は対魔術師戦闘を頭のなかで描いていたんでしょうが、それを逆手に取っての超近接からの投撃、先手はコウ選手が取ったと言っていいでしょう。
ただ……」
「そうですね、この勝負、本来ならもう終わっています」
「どういうことですかソーカさん?」
「投げられた。ということはコウ選手はナオ選手に触れられた。ということです。
しかも無防備な状態で、そこにコウ選手の得意な魔法相乗型打撃を受ければナオ選手と言えども耐えられません。何か考えがあるんでしょう……」
「なるほどー、そういう攻防が繰り広げられていたんですね。おおっとリング上でも動きがあったようですね!」
リング状ではナオが中央に位置取って周囲にドーム状の結界を展開している。
「お、あれは周囲の気配を自らが放つ闘気で感知する感知陣 円ですね。
あれならどんな陽動をかけられても確実にコウ選手の攻撃を察知できますね」
「いや、あれは……悪手でしょうねぇ」
「どういうことですかユキムラさん?」
「簡単なことですよ、あの技は範囲内の攻撃全てに反応してしまう。
つまり……」
「おおっとナオ選手の周囲に大量の光球が発生した!」
「一つ一つはダメージにならないほどの威力に押さえていますが、そのせいで凄まじい数が一気に襲い掛かってくるでしょう。その中から本命の攻撃だけに反応するのは不可能です」
「コウ選手、ナオ選手の戦法の隙を巧みに突き続けます!
こうしている間にも戦場には魔法で造られた植物、壁などが大量の死角を作っていく!」
「序盤は完全にコウ選手のペースですね……」
「手に汗握る攻防はまだまだ始まったばかりだぁ!!」
「青コーナー、可愛らしい外見に騙されると苛烈極まる反撃を食らうぞー! 見えない絶対領域は乙女の秘密! 戦うメイド、ナ、オーーーーーーー!!」
ノリノリのマイクパフォーマンスで選手紹介を受ける。
特設リングの周りにはGUによる出店が並び、観客は10名ほどだが盛り上がっている。
「解説のユキムラさん、この二人の戦いをどう見ますか?」
「そうですねキーミッツさん、肉体的な能力だけを見ればナオ選手が圧倒します。
特に武器であるフランシスカによる雨、アレを使われたらかなりコウ選手には厳しい戦いになってしまいます。しかし、今回は武器の使用は禁止されています。
素手での戦闘で、投げや関節技などが入ると、これはわかりませんよー」
「なるほど、ソーカさんはどうお考えですか?」
「コウ選手にとっては一つ厳しいことがあるかなと思っています」
「ほほう、それは?」
「好きな人の顔を殴れる男はいないでしょ」
「おお、確かにそれは……」
「キーミッツさん、キーミッツさん!」
「おおっと、選手サイドデリカ氏から情報が有るみたいです。どうぞ!」
「はい、こちらナオ選手の控室です。試合前ナオ選手はコウ選手にこう言ったそうです。
女だから殴らないとか、そういうふざけた事を負けた言い訳にされたら困る。
戦いの場では戦士として勝負しろ! だそうです。以上現場デリカがお伝えしました」
「ほほー、これならソーカ氏の不安も杞憂に終わるのではないでしょうか?」
「どうでしょう」
「そろそろゴングの時間です。
ルールは時間無制限、参ったと言わせれば勝利です。それではリング内レン氏お願いします!」
「二人共、相手を殺さないように注意してね、半殺しでちゃんと止めてね」
「うす!」
「はい!」
「絶対負けないからな」
「ふん! 貴方が私に勝てたらなんでも言うこと聞いてあげるわよ!」
「おおっと、過激な発言が飛び出したぞー! それだけ自信があるということですねユキムラさん!」
「ええ、慢心につながらないといいですが」
「それじゃぁ、二人共頑張って。 ファイト!!」
カーン
レンはすぐにリングから退避する。
これで結界内は何が起きても周囲への影響はない。
「二人共がんばれー」
ヴァリィ達も酒を片手に声援をかける。
はじめに動いたのはナオ、一気にコウとの距離を詰める。
突っ込んでいくナオの目前に土壁がそそり立つ。
コウが一瞬で陣地構成を行ったのだ。
「小細工ね!」
まるで砂で作った城を崩すようにこともなげに土壁を破壊しながら進むナオ。
「どこに!?」
壁を崩した先に居るはずのコウは姿を消している。
「!?」
突如左後方から飛んできた火球を廻し受けでいなす。
防具はきちんと訓練用なので魔法防御力なども高くなっている。
火球の影には風の刃が潜んでいる。
「チィッ!」
大きく飛び退いて魔法攻撃から距離を取る。
「遠くからちょこまかと!」
ナオの苛立ちが伝わってくるが、肉体的劣勢を考えれば、というよりも、本来コウは魔術師よりなのだからこういう戦いになることはナオも理解している。
最初の突進で一気に決めるつもりだったのだ。
「男のくせにコソコソと……」
可愛らしい外見からは想像できない強い言葉。それも相手がコウだから出る言葉だ。
前方から降り注ぐ石つぶてに舌打ちをしながら軽々と避ける。
「どうしたのコウ? そんな攻撃当たるはず無いじゃない!?」
「知ってるよ」
ナオは一瞬わけがわからなかった。挑発の声を上げたと思ったら目の前に地面が迫ってきた。
「ぐっ!」
地面に叩きつけられて、慌てて周囲を無茶苦茶に攻撃するがすでに誰もいない。
バッと跳ね上がるように立ち上がり周囲の気配を探る。
「ユキムラさん、今の攻防いかがでしょう?」
「いまのはコウ選手がうまかったですね。ナオ選手は対魔術師戦闘を頭のなかで描いていたんでしょうが、それを逆手に取っての超近接からの投撃、先手はコウ選手が取ったと言っていいでしょう。
ただ……」
「そうですね、この勝負、本来ならもう終わっています」
「どういうことですかソーカさん?」
「投げられた。ということはコウ選手はナオ選手に触れられた。ということです。
しかも無防備な状態で、そこにコウ選手の得意な魔法相乗型打撃を受ければナオ選手と言えども耐えられません。何か考えがあるんでしょう……」
「なるほどー、そういう攻防が繰り広げられていたんですね。おおっとリング上でも動きがあったようですね!」
リング状ではナオが中央に位置取って周囲にドーム状の結界を展開している。
「お、あれは周囲の気配を自らが放つ闘気で感知する感知陣 円ですね。
あれならどんな陽動をかけられても確実にコウ選手の攻撃を察知できますね」
「いや、あれは……悪手でしょうねぇ」
「どういうことですかユキムラさん?」
「簡単なことですよ、あの技は範囲内の攻撃全てに反応してしまう。
つまり……」
「おおっとナオ選手の周囲に大量の光球が発生した!」
「一つ一つはダメージにならないほどの威力に押さえていますが、そのせいで凄まじい数が一気に襲い掛かってくるでしょう。その中から本命の攻撃だけに反応するのは不可能です」
「コウ選手、ナオ選手の戦法の隙を巧みに突き続けます!
こうしている間にも戦場には魔法で造られた植物、壁などが大量の死角を作っていく!」
「序盤は完全にコウ選手のペースですね……」
「手に汗握る攻防はまだまだ始まったばかりだぁ!!」
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