老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
297話 紅茶とケーキ
「それにしても、ユキムラ様も隅に置けませんね。
こんなに可愛らしい女性を側においているなんて」
まるで相手を褒めているようで、可愛らしいという言葉で相手の幼さにマウントを仕掛けている。
「ありがとうございますアリシア様。ユキムラさんと長い旅をともにして、苦楽を乗り越えてきて、お た が い にこれからも一生を共に過ごせると思っております。ね? ユキムラさん」
ユキムラさん。の一言で周囲が冷え込む。
「もちろんだよ、いつも助けられっぱなしで申し訳ない。はは、ははははは……」
「素敵ですわぁ。いつも隣で冒険する信頼できる仲間がいるというのは本当に羨ましい。
私なんて、ユキムラ様が家に帰った時に明るく出迎えるぐらいしか出来ませんから……」
ここで、ジャブの応酬からストレートに切り替えていく。
「いやいや、大丈夫ですよ。家に帰ってもきちんと私がユキムラさんを支えていきますから」
「たくさんのことをしようとすると負担になりますから、ユキムラ様もあまり大きな負担を彼女にかけたいわけではないですよね?」
「え、いやぁ。まぁ確かに……少しは休んでもらったほうが……」
「ほら! ユキムラ様もそうおっしゃってますよ?
どうかこれからも仲間として、しっかりとユキムラ様を支えていただいて、それ以外の雑多なことは是非アリシアに手伝わせてください」
ソーカのこれ以上近づくなよ絶対ガードをするりと抜けて反対側の腕を取る。
必殺の当ててんのよ、というか挟んでるのよスタンスを取る。
「チッ……アリシア様は教皇さまでいらっしゃいますし、流石にそういうわけにも行かないでしょう。
娼婦でもないのですから、あまり殿方に肌を触れさせないほうがいいんじゃないですかね?」
合気道のようにユキムラの腕を極めながらユキムラとアリシアの間に身体を入れようとするソーカ。
しかし、敵もさるもの、急に手を引かれた体で体勢を崩し(たふりで)ユキムラに身体を密着させる。
「キャッ……ごめんなさいユキムラ様……
急に動かれるから……
凄い……ユキムラ様着痩せなさるんですね」
ここぞとばかりに胸板をスリスリとさわる。
胸元から色っぽいおねーさんに見上げられる体勢になってしまう。破壊力は抜群だ。
ユキムラの身体に強く押し付けられた胸がまるでマシュマロのように柔らかく変形して、思わずユキムラも目を奪われそうになる。
しかし、一瞬で思い出す。
目を奪われてはいけない。俯瞰で全体を冷静に見つめなければ死につながる。
基本に立ち返り。優しく体勢を戻して距離を取る。
「あんっ」
あざとい声を上げながら名残惜しそうにアリシアはユキムラから引き剥がされる。
「こ、この年増のおばさんは……!」
心の声をギリギリ聞こえるか聞こえないかのところに抑える理性は残っていたようだ。
「アリシア様、師匠の印象はいかがですか?」
「あら、レン様でしたね。まさか聖騎士様がこんなにお若く、凛々しいお方とは思いがけずついはしゃいでしまいましたわ。失礼しました」
流石に見かねたレンが助け舟を出してくれた。
すっ、とユキムラとアリシアの間に入り込み大人な会話に戻していく。
ソーカはヴァリィが抑えている。闘牛士のようだ。
それからは聖都にあるダンジョンを用いた人材育成のプランニングや、サナダ商会のケラリス神国内での活動についてなど真面目な話などが行われ、詳しい話を詰めることでにこやかに会は終了した。
「酷いよユキムラさん! なんでちゃんと彼女って紹介してくれないの!」
レンとヴァリィは逃げ出すタイミングを逃した!
用意された部屋に入るとソーカはユキムラに食って掛かった。
「いや、自分的にはそういう気持ちで紹介を……」
ちらっとレンの方を見るが、お手上げのポーズだ。
ヴァリィも諦めなさいという表情をしている。
「やっぱりユキムラさんも、あの、あんな出鱈目におっきいのがいいの!?」
「い、いや。そこはどうでも……」
「嘘だ! 鼻の下あんなに伸ばして……たしかにすごかったけど……」
「皆様、お茶をご用意しました」
いいタイミングでコウとナオがお茶を入れてくれた。
お茶請けとして可愛らしいケーキが置かれる。
「ソーカ様、教えていただいた作り方に少しだけアレンジして作ってみたんですが、いかがでしょうか?」
ナオが可愛らしくソーカに微笑んでケーキを取り分ける。
「わぁ、美味しそう。レモンのいい香りが……おいしい! 凄く美味しいわナオ!」
「ありがとうございます。少しレモンリキュールに漬けたので作ってみたら美味しかったので。
皆様も、拙いもので恥ずかしいですが、どうかご賞味ください」
「ホントだ! 凄く美味しいよ!」
少々わざとらしく褒めちぎる一同。
「この紅茶も、レンが入れる紅茶も絶品だけど、それに勝るとも劣らないね!」
「さすがユキムラ様、レン様に入れ方を教えていただきました」
「うん、これなら免許皆伝を与えよう」
レンが芝居じみた仕草でコウに答え、コウも大げさに礼をする。
「ありがとうございます。
ソーカ様は本当にお菓子作りがお上手なので、これからもたくさん教えて下さいね」
まさに天使の笑顔をソーカに向けるナオ。
ソーカもその笑顔の威力にさっきまでの嫉妬の炎は吹き消されてしまった。
「もー、ナオちゃんはホントに可愛いんだからー。それにくらべてあのおばさんは……」
まだブツブツと言ってはいるが、どうやらソーカの怒りもだいぶ軽くなったようだ。
ユキムラは後で二人に特別ボーナスを出そうと心に決めるのであった。
こんなに可愛らしい女性を側においているなんて」
まるで相手を褒めているようで、可愛らしいという言葉で相手の幼さにマウントを仕掛けている。
「ありがとうございますアリシア様。ユキムラさんと長い旅をともにして、苦楽を乗り越えてきて、お た が い にこれからも一生を共に過ごせると思っております。ね? ユキムラさん」
ユキムラさん。の一言で周囲が冷え込む。
「もちろんだよ、いつも助けられっぱなしで申し訳ない。はは、ははははは……」
「素敵ですわぁ。いつも隣で冒険する信頼できる仲間がいるというのは本当に羨ましい。
私なんて、ユキムラ様が家に帰った時に明るく出迎えるぐらいしか出来ませんから……」
ここで、ジャブの応酬からストレートに切り替えていく。
「いやいや、大丈夫ですよ。家に帰ってもきちんと私がユキムラさんを支えていきますから」
「たくさんのことをしようとすると負担になりますから、ユキムラ様もあまり大きな負担を彼女にかけたいわけではないですよね?」
「え、いやぁ。まぁ確かに……少しは休んでもらったほうが……」
「ほら! ユキムラ様もそうおっしゃってますよ?
どうかこれからも仲間として、しっかりとユキムラ様を支えていただいて、それ以外の雑多なことは是非アリシアに手伝わせてください」
ソーカのこれ以上近づくなよ絶対ガードをするりと抜けて反対側の腕を取る。
必殺の当ててんのよ、というか挟んでるのよスタンスを取る。
「チッ……アリシア様は教皇さまでいらっしゃいますし、流石にそういうわけにも行かないでしょう。
娼婦でもないのですから、あまり殿方に肌を触れさせないほうがいいんじゃないですかね?」
合気道のようにユキムラの腕を極めながらユキムラとアリシアの間に身体を入れようとするソーカ。
しかし、敵もさるもの、急に手を引かれた体で体勢を崩し(たふりで)ユキムラに身体を密着させる。
「キャッ……ごめんなさいユキムラ様……
急に動かれるから……
凄い……ユキムラ様着痩せなさるんですね」
ここぞとばかりに胸板をスリスリとさわる。
胸元から色っぽいおねーさんに見上げられる体勢になってしまう。破壊力は抜群だ。
ユキムラの身体に強く押し付けられた胸がまるでマシュマロのように柔らかく変形して、思わずユキムラも目を奪われそうになる。
しかし、一瞬で思い出す。
目を奪われてはいけない。俯瞰で全体を冷静に見つめなければ死につながる。
基本に立ち返り。優しく体勢を戻して距離を取る。
「あんっ」
あざとい声を上げながら名残惜しそうにアリシアはユキムラから引き剥がされる。
「こ、この年増のおばさんは……!」
心の声をギリギリ聞こえるか聞こえないかのところに抑える理性は残っていたようだ。
「アリシア様、師匠の印象はいかがですか?」
「あら、レン様でしたね。まさか聖騎士様がこんなにお若く、凛々しいお方とは思いがけずついはしゃいでしまいましたわ。失礼しました」
流石に見かねたレンが助け舟を出してくれた。
すっ、とユキムラとアリシアの間に入り込み大人な会話に戻していく。
ソーカはヴァリィが抑えている。闘牛士のようだ。
それからは聖都にあるダンジョンを用いた人材育成のプランニングや、サナダ商会のケラリス神国内での活動についてなど真面目な話などが行われ、詳しい話を詰めることでにこやかに会は終了した。
「酷いよユキムラさん! なんでちゃんと彼女って紹介してくれないの!」
レンとヴァリィは逃げ出すタイミングを逃した!
用意された部屋に入るとソーカはユキムラに食って掛かった。
「いや、自分的にはそういう気持ちで紹介を……」
ちらっとレンの方を見るが、お手上げのポーズだ。
ヴァリィも諦めなさいという表情をしている。
「やっぱりユキムラさんも、あの、あんな出鱈目におっきいのがいいの!?」
「い、いや。そこはどうでも……」
「嘘だ! 鼻の下あんなに伸ばして……たしかにすごかったけど……」
「皆様、お茶をご用意しました」
いいタイミングでコウとナオがお茶を入れてくれた。
お茶請けとして可愛らしいケーキが置かれる。
「ソーカ様、教えていただいた作り方に少しだけアレンジして作ってみたんですが、いかがでしょうか?」
ナオが可愛らしくソーカに微笑んでケーキを取り分ける。
「わぁ、美味しそう。レモンのいい香りが……おいしい! 凄く美味しいわナオ!」
「ありがとうございます。少しレモンリキュールに漬けたので作ってみたら美味しかったので。
皆様も、拙いもので恥ずかしいですが、どうかご賞味ください」
「ホントだ! 凄く美味しいよ!」
少々わざとらしく褒めちぎる一同。
「この紅茶も、レンが入れる紅茶も絶品だけど、それに勝るとも劣らないね!」
「さすがユキムラ様、レン様に入れ方を教えていただきました」
「うん、これなら免許皆伝を与えよう」
レンが芝居じみた仕草でコウに答え、コウも大げさに礼をする。
「ありがとうございます。
ソーカ様は本当にお菓子作りがお上手なので、これからもたくさん教えて下さいね」
まさに天使の笑顔をソーカに向けるナオ。
ソーカもその笑顔の威力にさっきまでの嫉妬の炎は吹き消されてしまった。
「もー、ナオちゃんはホントに可愛いんだからー。それにくらべてあのおばさんは……」
まだブツブツと言ってはいるが、どうやらソーカの怒りもだいぶ軽くなったようだ。
ユキムラは後で二人に特別ボーナスを出そうと心に決めるのであった。
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