老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
273話 さらばテンゲン和国
「ただいまもどりましたー……」
「ああ、レンおかえりー。今日も遅かったねー……
夜ご飯食べる?」
「はいー、ただ、先にシャワー浴びさせてくださいー……
頭の中が泥のようです……」
「お風呂準備してあるからゆっくりしてきなー。寝ないように気をつけてね」
「すみません……」
ズルズルと足を引きずってレンが風呂へと向かう。
最近は連日この有様だ。
朝も早い時間に城の方へ行っている。
ユキムラもギルドと城の間を忙しく往復する日々を送っているが、レンはさらに輪をかけて忙しく働いている。
早い段階で非凡な政治的な処理能力を発見されてしまったレンは現在テンゲン和国の共和制への移行準備に駆り出されている。
ソーカは軍体制の移行準備に、ヴァリィはサナダ商店を切り盛りしている。
タロは龍の巣へ訓練に赴いてくれている。
ユキムラの思惑通り、実際には今できるとは思わなかったが、裏ダンジョンが存在していた。
VOではダンジョン攻略が終わると一旦ストーリー的なことは終了する。
日課と言われる毎日の繰り返しは便宜上ストーリー要素を抜いた別扱いのダンジョンになる。
それと同じようなことが起きないか調査したのだ。
龍の巣はストーリーの入り口と、日課用入り口が別にあるために確かめやすかった。
これによって、全大陸に置いても今後ユキムラ式ブートキャンプを行うことが可能になった。
「ただ、最後まで攻略するのは止めた方が良いよね……
このクラスの武具が量産されちゃう……」
試しに裏ダンジョンをクリアした際に手に入れたクリア報酬を眺めながらユキムラはつぶやく。
「いいんじゃないですか? どうせユキムラ殿に親しい人間しか入ることも出来ませんし。
ギルドとして把握してないダンジョンから出た宝は発見者に委ねるのが規則ですから」
テンゲン和国のギルドマスターであるライコはそんなことを言っていた。
確かにこの先の戦いのことを考えれば、超一級品を少数よりもそれを素材として全体の武具を大量に生産する必要性が出てくるだろうとユキムラは考えている。
超高級素材は一部でも合金として使えば飛躍的に性能を向上させられる。
それを利用して冒険者や軍隊の武具をドンドン成長させ、今後の魔神との戦争で少しでも被害を少なくしていきたい。
非公開のギルドマスターからの提案、というか悪知恵をありがたく利用させてもらうことに決めた。
「はー、いい湯だったー。やっぱりここのお風呂は最高ですねー。
生き返ったような気持ちです」
ユキムラがちょっと昔のことを思い出しているとレンが風呂から上がってくる。
日々政務に忙殺されていながらも、若さゆえかそこまで疲労は溜まっていないようだ。
若いというのは素晴らしい。
「レン、髪の毛伸びたね。ソーカに切ってもらえば?」
「ああ、そうですねー。なかなか暇がなくて……」
「あら、レンお帰りなさい。いいわよー食事のあと切ってあげるわよー。
あとユキムラさん、一応軍備の備蓄と、人員リスト、それに全員の能力、簡略化してますがまとめておきました」
「え、もう終わったの?
1万人ぐらいいたでしょ?」
「ギルドからも人員をお借りしているので、それに便利な魔導具もユキムラさんが色々と作ってくれてギルドの職員たちも感謝していましたよ。何台かギルドにほしいとのことだったのでお売りしました」
ユキムラは日常に役立つ魔導具もいろいろと開発している。
現代社会で言うところのコピー機やらパソコンみたいなものなど、VOは頭がおかしい(褒め言葉)量の魔道具が存在する。
本来はハウスメイクのオブジェとして存在するが、この世界ではそれを実際に使うことが出来る。
事務仕事に役立つものなどたくさんレンにもソーカにも与えている。
サナダ商店の商品でもある。
「いただきまーす」
レンは手を合わせて弁当の蓋をあける。
夜ご飯を綺麗に弁当箱に詰めておいたものだ、最近はどうしても食事の時間がずれるのでこの方法になっている。今日の弁当当番は比較的早く手の空いたユキムラが作っている。
「凄い! 花が咲いているみたいですね!」
「ちらし寿司ってやつだね、ちょっと工夫したけどその顔が見れただけでも頑張った甲斐があったよ」
「私のなんて世界地図みたいになっていたのよー」
ソーカのちらし寿司はテーブルに広がる世界地図をイメージして作っていた。
あっという間に世界制覇されてしまったが、嬉しそうに驚いてくれてユキムラとしては満足だった。
「あら、レンちゃん今日も遅かったわねー。はーいユキムラちゃん今月のまとめよー。
それで帝都の東側、西側、北側、2・3・4号店は来週中にもオープンできるわよー。
早くしてくれって逆にお役所に急かされちゃったわー」
「順調みたいだねー」
「もう一号店はパンク状態だからこちらとしてもどんどん開けちゃうわー」
「そしたら明日午前中開いてるから俺もどっか手伝うよー」
「きゃー! ユキムラちゃん来てくれるなら計画前倒しできるわー。
北区に作る4号店お願いできるかしら? ここは上流階級向けの高級店だからどれも複雑で……」
図面を開いて打ち合わせが始まる。
「ワンワンワン!」
タロが部屋に入ってきて嬉しそうに皆の足元にすりすりして回る。
「あら、タロもちょうど終わったのねー久しぶりー」
ソーカが久々のタロ分の吸収に余念なく頬ずりをしてお迎えする。
久しぶりにメンバーが勢揃いだ。
通信でやり取りしているとは言え、顔を合わせて久々のゆったりとした時間を過ごす。
白狼隊の忙しい時間はテンゲン和国に滞在できる時間ギリギリまで続くことになる。
もちろん出立前には盛大にお見送りをされた。
もし白狼隊がいなかったり、サナダ商会がなかったらと考えるとゾッとすると何人もの人に感謝された。
こうして、今までの大陸で最も濃い時間を過ごしたテンゲン和国とも一時のお別れの時が来る。
【遅い……】
本当にギリギリになって大社へと向かうとクロノスに怒られてしまった程だ。
「ああ、レンおかえりー。今日も遅かったねー……
夜ご飯食べる?」
「はいー、ただ、先にシャワー浴びさせてくださいー……
頭の中が泥のようです……」
「お風呂準備してあるからゆっくりしてきなー。寝ないように気をつけてね」
「すみません……」
ズルズルと足を引きずってレンが風呂へと向かう。
最近は連日この有様だ。
朝も早い時間に城の方へ行っている。
ユキムラもギルドと城の間を忙しく往復する日々を送っているが、レンはさらに輪をかけて忙しく働いている。
早い段階で非凡な政治的な処理能力を発見されてしまったレンは現在テンゲン和国の共和制への移行準備に駆り出されている。
ソーカは軍体制の移行準備に、ヴァリィはサナダ商店を切り盛りしている。
タロは龍の巣へ訓練に赴いてくれている。
ユキムラの思惑通り、実際には今できるとは思わなかったが、裏ダンジョンが存在していた。
VOではダンジョン攻略が終わると一旦ストーリー的なことは終了する。
日課と言われる毎日の繰り返しは便宜上ストーリー要素を抜いた別扱いのダンジョンになる。
それと同じようなことが起きないか調査したのだ。
龍の巣はストーリーの入り口と、日課用入り口が別にあるために確かめやすかった。
これによって、全大陸に置いても今後ユキムラ式ブートキャンプを行うことが可能になった。
「ただ、最後まで攻略するのは止めた方が良いよね……
このクラスの武具が量産されちゃう……」
試しに裏ダンジョンをクリアした際に手に入れたクリア報酬を眺めながらユキムラはつぶやく。
「いいんじゃないですか? どうせユキムラ殿に親しい人間しか入ることも出来ませんし。
ギルドとして把握してないダンジョンから出た宝は発見者に委ねるのが規則ですから」
テンゲン和国のギルドマスターであるライコはそんなことを言っていた。
確かにこの先の戦いのことを考えれば、超一級品を少数よりもそれを素材として全体の武具を大量に生産する必要性が出てくるだろうとユキムラは考えている。
超高級素材は一部でも合金として使えば飛躍的に性能を向上させられる。
それを利用して冒険者や軍隊の武具をドンドン成長させ、今後の魔神との戦争で少しでも被害を少なくしていきたい。
非公開のギルドマスターからの提案、というか悪知恵をありがたく利用させてもらうことに決めた。
「はー、いい湯だったー。やっぱりここのお風呂は最高ですねー。
生き返ったような気持ちです」
ユキムラがちょっと昔のことを思い出しているとレンが風呂から上がってくる。
日々政務に忙殺されていながらも、若さゆえかそこまで疲労は溜まっていないようだ。
若いというのは素晴らしい。
「レン、髪の毛伸びたね。ソーカに切ってもらえば?」
「ああ、そうですねー。なかなか暇がなくて……」
「あら、レンお帰りなさい。いいわよー食事のあと切ってあげるわよー。
あとユキムラさん、一応軍備の備蓄と、人員リスト、それに全員の能力、簡略化してますがまとめておきました」
「え、もう終わったの?
1万人ぐらいいたでしょ?」
「ギルドからも人員をお借りしているので、それに便利な魔導具もユキムラさんが色々と作ってくれてギルドの職員たちも感謝していましたよ。何台かギルドにほしいとのことだったのでお売りしました」
ユキムラは日常に役立つ魔導具もいろいろと開発している。
現代社会で言うところのコピー機やらパソコンみたいなものなど、VOは頭がおかしい(褒め言葉)量の魔道具が存在する。
本来はハウスメイクのオブジェとして存在するが、この世界ではそれを実際に使うことが出来る。
事務仕事に役立つものなどたくさんレンにもソーカにも与えている。
サナダ商店の商品でもある。
「いただきまーす」
レンは手を合わせて弁当の蓋をあける。
夜ご飯を綺麗に弁当箱に詰めておいたものだ、最近はどうしても食事の時間がずれるのでこの方法になっている。今日の弁当当番は比較的早く手の空いたユキムラが作っている。
「凄い! 花が咲いているみたいですね!」
「ちらし寿司ってやつだね、ちょっと工夫したけどその顔が見れただけでも頑張った甲斐があったよ」
「私のなんて世界地図みたいになっていたのよー」
ソーカのちらし寿司はテーブルに広がる世界地図をイメージして作っていた。
あっという間に世界制覇されてしまったが、嬉しそうに驚いてくれてユキムラとしては満足だった。
「あら、レンちゃん今日も遅かったわねー。はーいユキムラちゃん今月のまとめよー。
それで帝都の東側、西側、北側、2・3・4号店は来週中にもオープンできるわよー。
早くしてくれって逆にお役所に急かされちゃったわー」
「順調みたいだねー」
「もう一号店はパンク状態だからこちらとしてもどんどん開けちゃうわー」
「そしたら明日午前中開いてるから俺もどっか手伝うよー」
「きゃー! ユキムラちゃん来てくれるなら計画前倒しできるわー。
北区に作る4号店お願いできるかしら? ここは上流階級向けの高級店だからどれも複雑で……」
図面を開いて打ち合わせが始まる。
「ワンワンワン!」
タロが部屋に入ってきて嬉しそうに皆の足元にすりすりして回る。
「あら、タロもちょうど終わったのねー久しぶりー」
ソーカが久々のタロ分の吸収に余念なく頬ずりをしてお迎えする。
久しぶりにメンバーが勢揃いだ。
通信でやり取りしているとは言え、顔を合わせて久々のゆったりとした時間を過ごす。
白狼隊の忙しい時間はテンゲン和国に滞在できる時間ギリギリまで続くことになる。
もちろん出立前には盛大にお見送りをされた。
もし白狼隊がいなかったり、サナダ商会がなかったらと考えるとゾッとすると何人もの人に感謝された。
こうして、今までの大陸で最も濃い時間を過ごしたテンゲン和国とも一時のお別れの時が来る。
【遅い……】
本当にギリギリになって大社へと向かうとクロノスに怒られてしまった程だ。
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