老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
255話 ギルドマスターライコ
ライコは驚くしか無かった。
自分を赤子扱いした白狼隊のトップが目の前にいる人の良さそうな美青年。
そして隔絶した実力者達が、まだ幼の残る少年。美しい女性。強いて言えば一番強そうに見える男性、ただ口調はオカマ口調だ。そして可愛らしく愛らしく神々しくもある犬。
聞いていたことは聞いていたが、実際に実物を目の前にして、さらに信じられなくなるという不思議な現象に陥っていた。
「大変失礼な質問になると思うのですが、白狼隊の他の隊士の方々よりも皆さんお強いのですよね?」
「そうですね、隊長格5名でも頑張れば一人で対応できますね」
「な、なんと……」
ユキムラは控えめにそう答えたが、実際には全隊士が相手でもユキムラ一人で勝利は可能だ。
「白狼隊の皆様もそうでしたが、アレほどの力をどのように手に入れるのですか?」
「あ、それならライコさんも一緒に訓練参加しますか?」
「え!? よろしいのですか?」
「もちろんですよ、もし他にも参加したい人がギルドでいたらどうぞいらしてください」
あまりのトントン拍子にライコも肩透かしを食らってしまう。
「なんというか、その……よろしいのですか? 自分たちの優位を簡単に譲るような提案を……」
「ええ、特に優位でいなければいけないわけでもないですし、できれば皆が脅威と立ち向かえる力を手に入れて欲しいと思っているので」
あっけらかんとそう話すユキムラにライコはもう驚きを通り越してしまった。
大変魅力的な商品を扱うサナダ商会のトップであり、非常に強力な冒険者達である白狼隊のトップである人間が、私心無く、単純に皆のために行動している。
話を聞けば聞くほどそうとしか思えない。
それは大変素晴らしくライコにとってもありがたいことだが、そんな人間をライコは見たことがなかった。それでも、今、目の前に確かにそういう人間がいる。
しばらくユキムラと話したライコはすっかりユキムラを気に入ってしまっていた。
「本日は大変有意義な時間が過ごせました。
貴方と知り合えたことは私にとって大きな財産になる。
これからもよろしくお願いします。
ギルドは常に公平でいますが、私個人は貴方への協力を惜しみません」
帰り際の握手は最初の握手よりも力強かった。
ギルドとの協力体制は確立された。さらに各町から届く宝達がそれをさらに強力なものにしてくれるだろう。
国相手の交渉はギルドを通じてダンジョンの宝の内訳が届いてからになる。
各町の宝の管理を手伝っている仲間たちからの連絡で、一月以内ほどで本部へと宝が移送されるだろうという話だった。それまでは人材育成を継続して時間を待つことにする。
「それで今は龍の巣への道はどうなってるのかな?」
「整備は開始されたばかりなのでまだまだですが、我々が参加すれば数日で完了すると思います。
そうすれば都から数時間でダンジョンまで到達できるようになります」
「そしたら早速、明日から協力して終わらせちゃおう。
各メンバーとの打ち合わせや訓練もして、攻略時期も決めちゃおう。
ライコさん達も連れて行かないとね!」
普通のこの世界の人が、訓練で新しい扉を開けてグングン強くなっていくのを見るのはユキムラにとってこの上ない楽しみだった。
VOでも新人がどんどんゲームに嵌っていくのを見ていくのが楽しみだったりした。
もちろんそんな熱意あふれる人たちも一人二人と引退していくのも見てきたが、それでもハマって上手になっていく姿はどんな時も嬉しいものだった。
「そういうわけで、まぁしばらくはこの町で滞在することになるので僕達の家も久々に購入しよう!」
「分かりました。手配しておきますね」
「あ、それでねレン。土地だけ買ってもらってもいいかな?
ハウスビルドしたくてね。ダメかな?」
「もちろん大丈夫ですよ! それで探しておきますね」
「道作りはソーカちゃんと私で終わらしといちゃうわねぇー」
「おまかせください! お家は楽しみにしておきますねユキムラさん」
「ワン!」
「任せといてよ!」
レンはすぐに土地の手配を行う。
このテンゲンという都市は、中央に帝が住む天守。なぜかここは日本式城郭になっている。
その周囲を堀で囲まれ二の丸が本丸を囲うように作られている。
本丸は行政区画となっており生活サービス全般にかかわるものはここに集まっている。
本来の意味での本丸とはかけ離れた区画わけだ。
この二の丸は比較的裕福な人が暮らしている。
さらに堀の外が三の丸。庶民の街だ。
石垣に掘り造りなのに、建物は中華風というちぐはぐさも面白いとユキムラは思っている。
レンはいくつかの土地をすぐにピックアップしてくれたが、ユキムラが選んだのは三の丸。
中央大通りから裏に入ってすぐの、元々は劇場があったが失火で焼け落ちて、劇場自体は二の丸に再建されたという比較的広い土地だ。
失火のあったところは縁起が悪いとされ、周囲を含めて広めの土地を購入できた。
いつもニコニコ現金払いですぐに所有権がサナダ商会へと渡る。
ここら辺の口利きはレンの根回しの賜物だ。
こうして、翌日の予定は決まる。
ユキムラ、うっきうきの久しぶりのハウスビルディングである。
自分を赤子扱いした白狼隊のトップが目の前にいる人の良さそうな美青年。
そして隔絶した実力者達が、まだ幼の残る少年。美しい女性。強いて言えば一番強そうに見える男性、ただ口調はオカマ口調だ。そして可愛らしく愛らしく神々しくもある犬。
聞いていたことは聞いていたが、実際に実物を目の前にして、さらに信じられなくなるという不思議な現象に陥っていた。
「大変失礼な質問になると思うのですが、白狼隊の他の隊士の方々よりも皆さんお強いのですよね?」
「そうですね、隊長格5名でも頑張れば一人で対応できますね」
「な、なんと……」
ユキムラは控えめにそう答えたが、実際には全隊士が相手でもユキムラ一人で勝利は可能だ。
「白狼隊の皆様もそうでしたが、アレほどの力をどのように手に入れるのですか?」
「あ、それならライコさんも一緒に訓練参加しますか?」
「え!? よろしいのですか?」
「もちろんですよ、もし他にも参加したい人がギルドでいたらどうぞいらしてください」
あまりのトントン拍子にライコも肩透かしを食らってしまう。
「なんというか、その……よろしいのですか? 自分たちの優位を簡単に譲るような提案を……」
「ええ、特に優位でいなければいけないわけでもないですし、できれば皆が脅威と立ち向かえる力を手に入れて欲しいと思っているので」
あっけらかんとそう話すユキムラにライコはもう驚きを通り越してしまった。
大変魅力的な商品を扱うサナダ商会のトップであり、非常に強力な冒険者達である白狼隊のトップである人間が、私心無く、単純に皆のために行動している。
話を聞けば聞くほどそうとしか思えない。
それは大変素晴らしくライコにとってもありがたいことだが、そんな人間をライコは見たことがなかった。それでも、今、目の前に確かにそういう人間がいる。
しばらくユキムラと話したライコはすっかりユキムラを気に入ってしまっていた。
「本日は大変有意義な時間が過ごせました。
貴方と知り合えたことは私にとって大きな財産になる。
これからもよろしくお願いします。
ギルドは常に公平でいますが、私個人は貴方への協力を惜しみません」
帰り際の握手は最初の握手よりも力強かった。
ギルドとの協力体制は確立された。さらに各町から届く宝達がそれをさらに強力なものにしてくれるだろう。
国相手の交渉はギルドを通じてダンジョンの宝の内訳が届いてからになる。
各町の宝の管理を手伝っている仲間たちからの連絡で、一月以内ほどで本部へと宝が移送されるだろうという話だった。それまでは人材育成を継続して時間を待つことにする。
「それで今は龍の巣への道はどうなってるのかな?」
「整備は開始されたばかりなのでまだまだですが、我々が参加すれば数日で完了すると思います。
そうすれば都から数時間でダンジョンまで到達できるようになります」
「そしたら早速、明日から協力して終わらせちゃおう。
各メンバーとの打ち合わせや訓練もして、攻略時期も決めちゃおう。
ライコさん達も連れて行かないとね!」
普通のこの世界の人が、訓練で新しい扉を開けてグングン強くなっていくのを見るのはユキムラにとってこの上ない楽しみだった。
VOでも新人がどんどんゲームに嵌っていくのを見ていくのが楽しみだったりした。
もちろんそんな熱意あふれる人たちも一人二人と引退していくのも見てきたが、それでもハマって上手になっていく姿はどんな時も嬉しいものだった。
「そういうわけで、まぁしばらくはこの町で滞在することになるので僕達の家も久々に購入しよう!」
「分かりました。手配しておきますね」
「あ、それでねレン。土地だけ買ってもらってもいいかな?
ハウスビルドしたくてね。ダメかな?」
「もちろん大丈夫ですよ! それで探しておきますね」
「道作りはソーカちゃんと私で終わらしといちゃうわねぇー」
「おまかせください! お家は楽しみにしておきますねユキムラさん」
「ワン!」
「任せといてよ!」
レンはすぐに土地の手配を行う。
このテンゲンという都市は、中央に帝が住む天守。なぜかここは日本式城郭になっている。
その周囲を堀で囲まれ二の丸が本丸を囲うように作られている。
本丸は行政区画となっており生活サービス全般にかかわるものはここに集まっている。
本来の意味での本丸とはかけ離れた区画わけだ。
この二の丸は比較的裕福な人が暮らしている。
さらに堀の外が三の丸。庶民の街だ。
石垣に掘り造りなのに、建物は中華風というちぐはぐさも面白いとユキムラは思っている。
レンはいくつかの土地をすぐにピックアップしてくれたが、ユキムラが選んだのは三の丸。
中央大通りから裏に入ってすぐの、元々は劇場があったが失火で焼け落ちて、劇場自体は二の丸に再建されたという比較的広い土地だ。
失火のあったところは縁起が悪いとされ、周囲を含めて広めの土地を購入できた。
いつもニコニコ現金払いですぐに所有権がサナダ商会へと渡る。
ここら辺の口利きはレンの根回しの賜物だ。
こうして、翌日の予定は決まる。
ユキムラ、うっきうきの久しぶりのハウスビルディングである。
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