老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
250話 呪われた都
白狼隊の面々は休日をそれぞれ自由に過ごし、英気をたっぷりと養うことが出来た。
ザンゲツの町の飲食店もソーカに困ったらサナダ商店へ。という暗黙のルールが知れ渡った……
「よし! みんな揃ったね。古都アスカへ行くぞー」
「おー」
この町に住む人間にとって呪われた古都アスカと言うのは畏怖の対象であって、白狼隊たちのようにピクニックに行くみたいに行くところではない。
しかし、ここ数週間の白狼隊の隊員たちはまるで訓練の一環のようにアスカでの戦果を持ち帰ってきている。
しかも、見たこともないようなとんでもないアイテムを持って帰ってくる。
そしてサナダ商店には素晴らしい武具が揃えられていく、数は少ないがアスカでの探索をなりわいとしていた冒険者たちも対死霊用の武具を手に入れてダンジョン攻略を進め、停滞していた雰囲気がガラリと変化している。
特にユキムラは防具に簡単に対死霊属性を付与する魔道具を安価で販売している。
防具自体をもともとある店から購入してもらい、その魔道具によって冒険者たちの安全性を高めるのが目的だ。
そうして深部まで冒険者がもぐれるようになれば、サナダ商店で並ぶ一流の武具を購入することも出来るし、良い武具を地元の店で買って魔道具を使っても良い。
なるべくイナゴのように既存の店を潰すのではなく、共に成長していく経済活動を作ることをユキムラ達は目指している。
同じダンジョンでも白狼隊が潜るダンジョンは異世界レベルなんだが……
アスカまでの道のりはすでに整備が完了されているので、白狼隊のバンのような形状をした車で疾走する。車内ではダンジョン攻略の最終打ち合わせが行われている。
白狼隊のメンバーが全員揃っているし、幾度もの突入で内情にも慣れてきている。
武具面でも完璧な対策を取っている。
それでも一辺の油断もない。
程よい緊張感で、リラックスしている。
何かに挑む場合に最高の心理状況といえる。
あっという間にダンジョン前まで移動を済ませて続々と下車する。
その頃には全員戦士の顔つきとなっている。
「それじゃぁ、今回は最深部攻略まで進もう。
油断せず、しっかりといつも通りやっていきましょう」
ユキムラの号令とともにダンジョン内へと続々と侵入していく。
呪われた古都アスカMD。
死の風穴にラオが作り上げた城下町型のダンジョンだ。
敵の中心はアンデットや死霊系モンスターが多い。
妖術、陰陽術を含め高位な魔法を駆使するモンスターも多く、属性防御は全属性しっかりと組む必要がある。
また、状態異常耐性は十二分に高めておかないと危険だ。
敵の属性は不死、闇、毒、霊と様々だが、聖属性武器が全体的に有効だ。
常時聖属性付与武器はこの世界では貴重だが、白狼隊メンバーはもちろん全員完備している。
必勝の準備を積み重ねてのダンジョン攻略なのだ。
あ
っと言う間に最深部だ。
結局内部に入ったら部隊を2つに分けて一気に攻略していく形を取った。
おかげでかなりの短期間に最深部にまで到達することが出来た。
副隊長達もよく働き、ユキムラ達を支えてくれている。
最深部の最奥の扉の前には敵軍が陣取っていた。
「うわー、怨霊大名だ……面倒くさい……」
「取り巻きも槍2、騎兵4、弓兵2、僧兵2、陰陽術師2……倒すと復活ですよね」
「ああ、だけどこいつは周りを倒してからじゃないとダメージが入らない、定期的に取り巻きを呼び出すけど出来る限り早く取り巻きを剥がして本体を攻撃。それを繰り返すしか無い」
「総力戦になりそうですねユキムラさん!」
「そうだね。みんな、出し惜しみせず最大戦力で当たろう!」
「師匠! 騎馬を自由にさせると面倒なのでアレを使ってもいいですか?」
「ああ、いいよいいよ! ドンドン使おう!
こういうときのための準備だ」
「分かりました!」
レンの言うアレとは陰陽術の中でも符術の一つ。
札を人形に变化させ、簡単な司令も出せる式神を呼び出す物を利用したものだ。
札はレンとユキムラで大量に準備して、それぞれに武具を持たせてある。
「式神召喚!!」
レンは大量の札を空中へと放る。
バサバサと札は敵を囲むように舞い散り、そして式神へと姿を変える。
耐久を重視し、長槍を持つ大量の兵士が大名の両翼に現れる。
この式神が出来ることは一つ、槍衾の形成だ。
広場状の戦場を自由に駆けることで最大の利点を活かす騎馬を正面からの突撃のみに限定させる。
弓兵が式神へと攻撃を始めるが、何も出来ない代わりに防御は硬い。
あまり接近すると大名からの超強力な攻撃で粉砕されるので、あくまで騎馬の行動阻害だ。
「アンチマジックフィールド!」
副将の一人が式神達の前方に魔法を遮断するエリアを作り出す。
これで、大名たちもおいそれと式神によって作られた槍衾を取り除くことはできない。
同時に正面からユキムラ達が襲いかかる。
高レベル帯の魔物は高い知能を有しているので、現状不利になったとは言え正面からの攻撃への対処を的確に行ってくる。
騎兵は槍先のギリギリを左右から突撃を図り、弓兵によってユキムラたちの進行を邪魔し、僧兵や陰陽術師によるバフ、デバフ。
人間のパーティと同じようにそれぞれの仕事をきっちりとこなしてくる。
しかし、白狼隊は鉄の結束による最適化された行動を完璧に遂行していく。
レンの操作で微妙に槍衾の位置を操作し、騎兵の侵入ルートを歪ませ限定させる。
騎兵も槍の変化に即座に反応して突撃の勢いを削がないところは立派だが、限定された場所に突撃を扠せられた時点で騎兵としての利点はない。
待ってましたとばかりに設置型の罠が突然目の前にせり上がり、その足を止められれば後は的でしか無い。魔法と遠距離攻撃の雨を食らって光となって消滅する。
弓兵たちの牽制と槍兵の攻撃はいいコンビネーションと言っていい。
ヴァリィの一振りで弓はことごとく落とされ、ソーカと副隊長らの連続攻撃で槍兵も光となる。
その背後からユキムラと副隊長の合体魔法が打ち込まれる。
高い魔法防御を持つ僧兵と陰陽術師は耐えるが、弓兵は消失する。
そのままユキムラは大名の相手をする。まだ攻撃は与えられないので、強力な大名の攻撃をパーティメンバーに行かないように最前線で盾となって時間を稼ぐ。
その隙にタロが僧兵と陰陽術師を自由にさせないように引っ掛けていき、ソーカ、バリィや副隊長が仕留めていく。レンともう一人副隊長は取り巻きのリポップに備える。
「「降臨! 不浄滅却退魔陣 極!!」」
取り巻きを剥がすと同時に準備されていた複合詠唱型大魔法が発動する。
強力な対死霊設置型魔法が発動し、継続した大ダメージを大名に打ち込んでいく。
ボスとはいえ大魔法による行動阻害は多少影響を受けるため、その一瞬の隙を白狼隊が総力を持って一斉攻撃をする。
そして、リポップの気配がすれば間合いを開いて範囲防御不能攻撃を回避して、もうワンセットだ。
機械のようにその作業を5度繰り返した時、大名も光となって消えていくのであった。
ザンゲツの町の飲食店もソーカに困ったらサナダ商店へ。という暗黙のルールが知れ渡った……
「よし! みんな揃ったね。古都アスカへ行くぞー」
「おー」
この町に住む人間にとって呪われた古都アスカと言うのは畏怖の対象であって、白狼隊たちのようにピクニックに行くみたいに行くところではない。
しかし、ここ数週間の白狼隊の隊員たちはまるで訓練の一環のようにアスカでの戦果を持ち帰ってきている。
しかも、見たこともないようなとんでもないアイテムを持って帰ってくる。
そしてサナダ商店には素晴らしい武具が揃えられていく、数は少ないがアスカでの探索をなりわいとしていた冒険者たちも対死霊用の武具を手に入れてダンジョン攻略を進め、停滞していた雰囲気がガラリと変化している。
特にユキムラは防具に簡単に対死霊属性を付与する魔道具を安価で販売している。
防具自体をもともとある店から購入してもらい、その魔道具によって冒険者たちの安全性を高めるのが目的だ。
そうして深部まで冒険者がもぐれるようになれば、サナダ商店で並ぶ一流の武具を購入することも出来るし、良い武具を地元の店で買って魔道具を使っても良い。
なるべくイナゴのように既存の店を潰すのではなく、共に成長していく経済活動を作ることをユキムラ達は目指している。
同じダンジョンでも白狼隊が潜るダンジョンは異世界レベルなんだが……
アスカまでの道のりはすでに整備が完了されているので、白狼隊のバンのような形状をした車で疾走する。車内ではダンジョン攻略の最終打ち合わせが行われている。
白狼隊のメンバーが全員揃っているし、幾度もの突入で内情にも慣れてきている。
武具面でも完璧な対策を取っている。
それでも一辺の油断もない。
程よい緊張感で、リラックスしている。
何かに挑む場合に最高の心理状況といえる。
あっという間にダンジョン前まで移動を済ませて続々と下車する。
その頃には全員戦士の顔つきとなっている。
「それじゃぁ、今回は最深部攻略まで進もう。
油断せず、しっかりといつも通りやっていきましょう」
ユキムラの号令とともにダンジョン内へと続々と侵入していく。
呪われた古都アスカMD。
死の風穴にラオが作り上げた城下町型のダンジョンだ。
敵の中心はアンデットや死霊系モンスターが多い。
妖術、陰陽術を含め高位な魔法を駆使するモンスターも多く、属性防御は全属性しっかりと組む必要がある。
また、状態異常耐性は十二分に高めておかないと危険だ。
敵の属性は不死、闇、毒、霊と様々だが、聖属性武器が全体的に有効だ。
常時聖属性付与武器はこの世界では貴重だが、白狼隊メンバーはもちろん全員完備している。
必勝の準備を積み重ねてのダンジョン攻略なのだ。
あ
っと言う間に最深部だ。
結局内部に入ったら部隊を2つに分けて一気に攻略していく形を取った。
おかげでかなりの短期間に最深部にまで到達することが出来た。
副隊長達もよく働き、ユキムラ達を支えてくれている。
最深部の最奥の扉の前には敵軍が陣取っていた。
「うわー、怨霊大名だ……面倒くさい……」
「取り巻きも槍2、騎兵4、弓兵2、僧兵2、陰陽術師2……倒すと復活ですよね」
「ああ、だけどこいつは周りを倒してからじゃないとダメージが入らない、定期的に取り巻きを呼び出すけど出来る限り早く取り巻きを剥がして本体を攻撃。それを繰り返すしか無い」
「総力戦になりそうですねユキムラさん!」
「そうだね。みんな、出し惜しみせず最大戦力で当たろう!」
「師匠! 騎馬を自由にさせると面倒なのでアレを使ってもいいですか?」
「ああ、いいよいいよ! ドンドン使おう!
こういうときのための準備だ」
「分かりました!」
レンの言うアレとは陰陽術の中でも符術の一つ。
札を人形に变化させ、簡単な司令も出せる式神を呼び出す物を利用したものだ。
札はレンとユキムラで大量に準備して、それぞれに武具を持たせてある。
「式神召喚!!」
レンは大量の札を空中へと放る。
バサバサと札は敵を囲むように舞い散り、そして式神へと姿を変える。
耐久を重視し、長槍を持つ大量の兵士が大名の両翼に現れる。
この式神が出来ることは一つ、槍衾の形成だ。
広場状の戦場を自由に駆けることで最大の利点を活かす騎馬を正面からの突撃のみに限定させる。
弓兵が式神へと攻撃を始めるが、何も出来ない代わりに防御は硬い。
あまり接近すると大名からの超強力な攻撃で粉砕されるので、あくまで騎馬の行動阻害だ。
「アンチマジックフィールド!」
副将の一人が式神達の前方に魔法を遮断するエリアを作り出す。
これで、大名たちもおいそれと式神によって作られた槍衾を取り除くことはできない。
同時に正面からユキムラ達が襲いかかる。
高レベル帯の魔物は高い知能を有しているので、現状不利になったとは言え正面からの攻撃への対処を的確に行ってくる。
騎兵は槍先のギリギリを左右から突撃を図り、弓兵によってユキムラたちの進行を邪魔し、僧兵や陰陽術師によるバフ、デバフ。
人間のパーティと同じようにそれぞれの仕事をきっちりとこなしてくる。
しかし、白狼隊は鉄の結束による最適化された行動を完璧に遂行していく。
レンの操作で微妙に槍衾の位置を操作し、騎兵の侵入ルートを歪ませ限定させる。
騎兵も槍の変化に即座に反応して突撃の勢いを削がないところは立派だが、限定された場所に突撃を扠せられた時点で騎兵としての利点はない。
待ってましたとばかりに設置型の罠が突然目の前にせり上がり、その足を止められれば後は的でしか無い。魔法と遠距離攻撃の雨を食らって光となって消滅する。
弓兵たちの牽制と槍兵の攻撃はいいコンビネーションと言っていい。
ヴァリィの一振りで弓はことごとく落とされ、ソーカと副隊長らの連続攻撃で槍兵も光となる。
その背後からユキムラと副隊長の合体魔法が打ち込まれる。
高い魔法防御を持つ僧兵と陰陽術師は耐えるが、弓兵は消失する。
そのままユキムラは大名の相手をする。まだ攻撃は与えられないので、強力な大名の攻撃をパーティメンバーに行かないように最前線で盾となって時間を稼ぐ。
その隙にタロが僧兵と陰陽術師を自由にさせないように引っ掛けていき、ソーカ、バリィや副隊長が仕留めていく。レンともう一人副隊長は取り巻きのリポップに備える。
「「降臨! 不浄滅却退魔陣 極!!」」
取り巻きを剥がすと同時に準備されていた複合詠唱型大魔法が発動する。
強力な対死霊設置型魔法が発動し、継続した大ダメージを大名に打ち込んでいく。
ボスとはいえ大魔法による行動阻害は多少影響を受けるため、その一瞬の隙を白狼隊が総力を持って一斉攻撃をする。
そして、リポップの気配がすれば間合いを開いて範囲防御不能攻撃を回避して、もうワンセットだ。
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