老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
246話 作戦開始!
各町へと散った白狼隊分隊は町での基盤をすぐに築き始める。
幾度となく行ってきた作業なので、すでにレンやソーカによってマニュアル化されており、スムーズに店舗開設や町役への手続き、町を納める領主などへの誠実な説明や対応を迅速に進めていく。
白狼隊のもたらす商品や知識は喉から手が出るほど欲しい物であるのは間違いないため、どの街の領主もすぐに受け入れてくれる。
幾人かはいい顔をしなかったが、大抵は冒険者ギルドなどからの搦手で籠絡されていく。
まるで悪者の様に表現したが、私心無く、街の安全、町の人々の快適な生活のためというユキムラの思いを理解してもらえる頃には、すっかり町での地位を確立している。
行政面、冒険者ギルドなどでの信頼を勝ち得るのにそこまで時間を必要としなかった。
そもそも冒険者ギルドへ行けば異質な能力で次から次へと依頼をこなしてしまう。
普通の冒険者と圧倒的な差がついている。
その姿を見て白狼隊への入隊を希望する冒険者はあとを絶たなかった。
本格的な攻略は足並みを揃えるが、そういった新規隊員を訓練するためにダンジョン上層部への侵入は許されるようになる。
上層と言ってもレベルが天地ほど違う。10階まで行って帰ってくれば何度か潜ればすぐにレベル500程度には到達する。
ユキムラ達の作成するダンジョンは、一度退出すると24時間のクールタイムが必要になった。
そして、新たに侵入したダンジョンは前とは別の物となる。
つまり10階層までの宝なら何度でも取ることが出来る。
宝があるのかはランダムだが、一個でもあれば、それは『レベル1000越えの人間が作ったダンジョンの宝』なのだ……
「いやー、なんでこの方法を、今まで思いつかなかったんだろ……最下層まで行って戻れば良いのか……」
「クリアするともう特殊なダンジョンにはならないですからね……」
「最下層まで行くと神様がいらっしゃるわけですから、そこまで行って戻るのはなんとなく私は気がひけるような気がするんですが……」
「今は仕方ないけど、基本的に神様たちの開放は急いだほうが良いと思うのよね~」
「わんわん!」
皆、通信機で夜の現状報告を行っている。
議題は、今の途中で引き返すことを利用したMDでの金策、ユキムラがVOをやっていた頃はMD金策、日課とか呼ばれていた方法だ。
もちろんVO内では何度でもクリアできるので毎日クリア報酬をもらえるところまでが金策だ。
ところが、今のところこの世界でのMDは神を開放した時点で再入場はできなくなってしまう。
そこで、最下層まで行って戻ればいいという抜け道のような方法が上がるわけだ。
「そうだねぇ、適度に現地で加わった隊員のレベル上げも終わったら。
攻略してしまおうか、まだあと2つでかいのが残っているわけだし」
「ホキド街からダンジョンまでの道があと1週間ほどで完成するので、そこら辺でもいいですか師匠?」
「ああ、そこは大変だったみたいだから合わせるよ。
他のみんなが良ければ、一週間後にダンジョン攻略ということで」
「ユキムラさんソーカ隊は問題ありません」
「ヴァリィ隊、同じく問題なし」
「ワン!」
「よし、そしたら一週間後だ! 各自準備は十二分に!
それじゃぁ、また明日の夜に」
ホキド町はテンゲン国で最も北にある街で、ダンジョンである永久凍土ダンジョンの影響で一年中極寒という不思議島になっている。
ついでにソーア火山のあるタケハ町は一年中夏のように暑い。
ダンジョンと街の往復だけでもかなりの負担になるために早い段階からレンは街道整備を始めていた。
具体的には半地下街道だ。
魔道具による雪の融解が可能な屋根部分で囲われた、整備された通路をわずか2ヶ月で完成させてしまった。
これにより、馬車の利用が可能になり、遭難などの危険性がほぼ皆無となった。
これにはホキド町でダンジョン攻略をなりわいとしていた冒険者たちも空いた口が塞がらなかった。
不人気ダンジョンの利点が減ることにはちょっとの不満を持つものもいたが、白狼隊の組織の凄さに逆らうよりも巻かれたほうが利口だと、すぐに慕ってくれるようになる。
街の暮らしも劇的に改善され過ごしやすくなっており、街道が完成する頃には誰一人不満を漏らすものはいなかった。
「それじゃぁ、MD内では連絡取れないから、引く時は躊躇せずに絶対に退くように。
皆の成功を祈ってるよ」
通信機を通したユキムラの声に白狼隊隊士の皆さんは感動に涙をぐっとこらえている。
主要メンバーの5人から直接お声がけを頂くだけでも大変な名誉と考えられ、その5人特にユキムラを神格化する風潮が出来つつあった。
ユキムラはそういう扱いを受けることを非常に嫌いだし、他の4人も不愉快であるという情報は意図的に白狼隊隊員に流された。もちろん黒幕はレンなのだが……
それでもひっそりと崇拝にも似た尊敬の念はみな一様に持っているのであった。
各白狼隊部隊の隊員は独特の空間の歪み、MDの入り口に突入していく。
戦闘を各隊の副隊長が、最後尾をユキムラ達白狼隊メンバーが務める。
ダンジョンへ侵入しない隊員は彼らの無事を祈る。
今第二次ダンジョン攻略作戦が開始される。
幾度となく行ってきた作業なので、すでにレンやソーカによってマニュアル化されており、スムーズに店舗開設や町役への手続き、町を納める領主などへの誠実な説明や対応を迅速に進めていく。
白狼隊のもたらす商品や知識は喉から手が出るほど欲しい物であるのは間違いないため、どの街の領主もすぐに受け入れてくれる。
幾人かはいい顔をしなかったが、大抵は冒険者ギルドなどからの搦手で籠絡されていく。
まるで悪者の様に表現したが、私心無く、街の安全、町の人々の快適な生活のためというユキムラの思いを理解してもらえる頃には、すっかり町での地位を確立している。
行政面、冒険者ギルドなどでの信頼を勝ち得るのにそこまで時間を必要としなかった。
そもそも冒険者ギルドへ行けば異質な能力で次から次へと依頼をこなしてしまう。
普通の冒険者と圧倒的な差がついている。
その姿を見て白狼隊への入隊を希望する冒険者はあとを絶たなかった。
本格的な攻略は足並みを揃えるが、そういった新規隊員を訓練するためにダンジョン上層部への侵入は許されるようになる。
上層と言ってもレベルが天地ほど違う。10階まで行って帰ってくれば何度か潜ればすぐにレベル500程度には到達する。
ユキムラ達の作成するダンジョンは、一度退出すると24時間のクールタイムが必要になった。
そして、新たに侵入したダンジョンは前とは別の物となる。
つまり10階層までの宝なら何度でも取ることが出来る。
宝があるのかはランダムだが、一個でもあれば、それは『レベル1000越えの人間が作ったダンジョンの宝』なのだ……
「いやー、なんでこの方法を、今まで思いつかなかったんだろ……最下層まで行って戻れば良いのか……」
「クリアするともう特殊なダンジョンにはならないですからね……」
「最下層まで行くと神様がいらっしゃるわけですから、そこまで行って戻るのはなんとなく私は気がひけるような気がするんですが……」
「今は仕方ないけど、基本的に神様たちの開放は急いだほうが良いと思うのよね~」
「わんわん!」
皆、通信機で夜の現状報告を行っている。
議題は、今の途中で引き返すことを利用したMDでの金策、ユキムラがVOをやっていた頃はMD金策、日課とか呼ばれていた方法だ。
もちろんVO内では何度でもクリアできるので毎日クリア報酬をもらえるところまでが金策だ。
ところが、今のところこの世界でのMDは神を開放した時点で再入場はできなくなってしまう。
そこで、最下層まで行って戻ればいいという抜け道のような方法が上がるわけだ。
「そうだねぇ、適度に現地で加わった隊員のレベル上げも終わったら。
攻略してしまおうか、まだあと2つでかいのが残っているわけだし」
「ホキド街からダンジョンまでの道があと1週間ほどで完成するので、そこら辺でもいいですか師匠?」
「ああ、そこは大変だったみたいだから合わせるよ。
他のみんなが良ければ、一週間後にダンジョン攻略ということで」
「ユキムラさんソーカ隊は問題ありません」
「ヴァリィ隊、同じく問題なし」
「ワン!」
「よし、そしたら一週間後だ! 各自準備は十二分に!
それじゃぁ、また明日の夜に」
ホキド町はテンゲン国で最も北にある街で、ダンジョンである永久凍土ダンジョンの影響で一年中極寒という不思議島になっている。
ついでにソーア火山のあるタケハ町は一年中夏のように暑い。
ダンジョンと街の往復だけでもかなりの負担になるために早い段階からレンは街道整備を始めていた。
具体的には半地下街道だ。
魔道具による雪の融解が可能な屋根部分で囲われた、整備された通路をわずか2ヶ月で完成させてしまった。
これにより、馬車の利用が可能になり、遭難などの危険性がほぼ皆無となった。
これにはホキド町でダンジョン攻略をなりわいとしていた冒険者たちも空いた口が塞がらなかった。
不人気ダンジョンの利点が減ることにはちょっとの不満を持つものもいたが、白狼隊の組織の凄さに逆らうよりも巻かれたほうが利口だと、すぐに慕ってくれるようになる。
街の暮らしも劇的に改善され過ごしやすくなっており、街道が完成する頃には誰一人不満を漏らすものはいなかった。
「それじゃぁ、MD内では連絡取れないから、引く時は躊躇せずに絶対に退くように。
皆の成功を祈ってるよ」
通信機を通したユキムラの声に白狼隊隊士の皆さんは感動に涙をぐっとこらえている。
主要メンバーの5人から直接お声がけを頂くだけでも大変な名誉と考えられ、その5人特にユキムラを神格化する風潮が出来つつあった。
ユキムラはそういう扱いを受けることを非常に嫌いだし、他の4人も不愉快であるという情報は意図的に白狼隊隊員に流された。もちろん黒幕はレンなのだが……
それでもひっそりと崇拝にも似た尊敬の念はみな一様に持っているのであった。
各白狼隊部隊の隊員は独特の空間の歪み、MDの入り口に突入していく。
戦闘を各隊の副隊長が、最後尾をユキムラ達白狼隊メンバーが務める。
ダンジョンへ侵入しない隊員は彼らの無事を祈る。
今第二次ダンジョン攻略作戦が開始される。
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