老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
242話 戦い終えて
 技の余波で巻き上がった大量の煙土が収まると、そこに現れたものは、すべてを出し切りぼろぼろになったルシフェルがハラハラと美しく散っていく姿だった……
「よっしゃーーー!!」
「やったー!」
「ユキムラちゃんソーカちゃんレンちゃんタロちゃんラオちゃんおつかれ~!」
「し、師匠……? だ、大丈夫ですか?」
ユキムラは地に突っ伏して OTZ... とせっかくの強敵撃破にそぐわない負のオーラを背負っている。
「あ、ああ、レンお疲れ様……皆も……お疲れ様……ありがとうね……」
消え入りそうな声で皆にお礼をいうユキムラ、目が死んでいる。
「なんだよユキムラ! もっと喜べよ!」
「……いやさ、さっきの武器、ホントに運が良くてさ……めったにつかない効果がさらにダブルでついててね……いや、仕方ないし、みんな死んでも困るからいいんだけど、使った素材もすごくてね……」
犠牲になった武器の愚痴をそりゃぁもうグチグチと……
「ユキムラさん! ほら、あんなに強い敵の宝箱と、こんな大きなダンジョンの宝がありますよ!」
「……そうか、そうだよね!」
「そうですよ師匠!! また作る時は協力しますから! もっといいもの作りましょう!」
「うんうん! そうだよね! 別に現状一番ってだけでまだまだだもんね!
ごめんね、改めて、皆おつかれー!」
皆に励まされて元気になるリーダー。
愛され系キャラだ。
ボス撃破の宝箱は最後の扉の前に祭壇のような物が作られ飾られているという特別待遇で、ユキムラは興奮を隠しきれなかった。
「おお! なんか凄いね! これは期待できる!」
「師匠、ダメですよ。帰ってから空けましょう。いいものが出たら出たで長くなるんですから……」
「えー、ちょっとだけ覗いていいでしょ?」
「駄目です! この間それでユキムラさんキャンプするって駄々こねて怒られたの忘れたんですか?」
「う……ぐぬぬ……」
「ユキムラちゃんが強く言ったら皆、断れないんだから、大人になりなさーい」
「……はい……」
中身50歳近いおっさんが大人になりなさいと怒られる図である。
宝箱を置かれた台座の裏には最後の部屋への入り口と思われる扉がある。
二人の天使が手をつなぐような装飾がされており、左右へとゆっくりと開いていくと二人の天使が別れを惜しんでいるかのようなノスタルジックな雰囲気を表現しており、非常に素晴らしいとヴァリィをはじめ感心していた。
「こういうのは一度切りだからいいんだよ、何度も見ているとだんだん何とも言えない気持ちになるよ」
ハウスメイクで色々と工夫をこらした家にしても、何度も利用しているうちに煩わしくなるものだということをユキムラは知っていた。
どこか一点、一度切りに使用すると今回のように素晴らしいことは間違いない。
誰しもが一度は通るハウスメイクの失敗の一つだ。
ものすごくゴテゴテした正門からはいると同じくゴテゴテした壁紙に柱、様々な効果をだすギミックが所狭しと置いてあり、落ち着かない……
ユキムラもそんな過去を少し思い出して赤面していた。
部屋の内部は普段のダンジョンと同じスッキリとした白い部屋だ。
中央部には大きな石版が設置されていた。奥には宝箱と最後の扉がある。
石版には美しい和服の女性が描かれている。
「師匠これって……」
「ああ……女神様かな……?」
「ほぉ! 美しいなこれは!」
ラオが石版に近づこうと一歩踏み出したところで恒例の時間停止が起こる。
『ご無沙汰だね、ユキムラ、それに皆さん』
久しぶりの氷と知識の神アイルスの登場だった。
「ご無沙汰してます。珍しいですね」
『ああ、ちょっとアルテスが手を話せないので代わりにお使いだ。
さて、まずはこれをなんとかしないとな』
アイルスが石像の前で手を払うような動作をすると、石像の足元からピシピシと氷が石像を包み込む。
石像全体を包み込んだ氷にアルテスが指でつつくとピシピシとひびが広がり石と一緒にバラバラと剥がれ落ちていく。
なんだか、アイルスの所作一つ一つが美しくて思わず見とれてしまう一同であった。
『おはよう、ヤマト』
石版の中から現れたのは、なんというか描かれていた絵とは少し……いや、だいぶ異なる少女だった。
服装は巫女服みたいな半袖で、ピョーンと台座から飛び降りるとアイルスの側へと着地する。
『なんや、アイルスやん。久しぶりやのー?
ここはどこや? こいつら誰や?』
コテコテの方言だった。
少しきつい感じだけど可愛らしい顔つきの少女はヤマトという女神だった。
アイルスは簡単に現在の状況を説明して白狼隊を紹介してくれた。
『ふーん。なんやけったいな事になっとるな……
ま、ええわ。ウチも協力したる。ああ、そのワンコやな……って、え?』
『白狼隊の一員のタロさんですよヤマトさん』
『あ、ああ……そ、そうやな。うん。
いやー可愛いからビックリしてもうたわ、ははは。
えーこちらの箱やな、失礼しまーす』
タロの首にぶら下がる箱に女神としての力を込めてくれるヤマト、ユキムラは犬好きかぁと高感度を上げていた。
『よっしゃ、でけたで!』
『ありがとう。そしたら皆のところへ行きましょうか』
『おう! ほな、皆きばりやー!』
氷柱が二人を包むと一瞬で消え去り、スピーディに二人もその場から消えていた。
「……ん? あれ? 石版が消えたぞ?」
目の前にあった石版が突然消えた状態になったラオは少し驚いている。
簡単に顛末を教えてあげる。
「おお、あの女神様に会ったのか! いいなぁ!
すげー美人だったろ!?」
「あー、可愛かったかなどっちかって言うと……」
「おおお、いいな! あの姿で可愛いタイプか……女神かぁ……俺も頑張れば会えねーかな?」
なんか夢を見ているようなので、そのままそっとしておく白狼隊でありました。
「よっしゃーーー!!」
「やったー!」
「ユキムラちゃんソーカちゃんレンちゃんタロちゃんラオちゃんおつかれ~!」
「し、師匠……? だ、大丈夫ですか?」
ユキムラは地に突っ伏して OTZ... とせっかくの強敵撃破にそぐわない負のオーラを背負っている。
「あ、ああ、レンお疲れ様……皆も……お疲れ様……ありがとうね……」
消え入りそうな声で皆にお礼をいうユキムラ、目が死んでいる。
「なんだよユキムラ! もっと喜べよ!」
「……いやさ、さっきの武器、ホントに運が良くてさ……めったにつかない効果がさらにダブルでついててね……いや、仕方ないし、みんな死んでも困るからいいんだけど、使った素材もすごくてね……」
犠牲になった武器の愚痴をそりゃぁもうグチグチと……
「ユキムラさん! ほら、あんなに強い敵の宝箱と、こんな大きなダンジョンの宝がありますよ!」
「……そうか、そうだよね!」
「そうですよ師匠!! また作る時は協力しますから! もっといいもの作りましょう!」
「うんうん! そうだよね! 別に現状一番ってだけでまだまだだもんね!
ごめんね、改めて、皆おつかれー!」
皆に励まされて元気になるリーダー。
愛され系キャラだ。
ボス撃破の宝箱は最後の扉の前に祭壇のような物が作られ飾られているという特別待遇で、ユキムラは興奮を隠しきれなかった。
「おお! なんか凄いね! これは期待できる!」
「師匠、ダメですよ。帰ってから空けましょう。いいものが出たら出たで長くなるんですから……」
「えー、ちょっとだけ覗いていいでしょ?」
「駄目です! この間それでユキムラさんキャンプするって駄々こねて怒られたの忘れたんですか?」
「う……ぐぬぬ……」
「ユキムラちゃんが強く言ったら皆、断れないんだから、大人になりなさーい」
「……はい……」
中身50歳近いおっさんが大人になりなさいと怒られる図である。
宝箱を置かれた台座の裏には最後の部屋への入り口と思われる扉がある。
二人の天使が手をつなぐような装飾がされており、左右へとゆっくりと開いていくと二人の天使が別れを惜しんでいるかのようなノスタルジックな雰囲気を表現しており、非常に素晴らしいとヴァリィをはじめ感心していた。
「こういうのは一度切りだからいいんだよ、何度も見ているとだんだん何とも言えない気持ちになるよ」
ハウスメイクで色々と工夫をこらした家にしても、何度も利用しているうちに煩わしくなるものだということをユキムラは知っていた。
どこか一点、一度切りに使用すると今回のように素晴らしいことは間違いない。
誰しもが一度は通るハウスメイクの失敗の一つだ。
ものすごくゴテゴテした正門からはいると同じくゴテゴテした壁紙に柱、様々な効果をだすギミックが所狭しと置いてあり、落ち着かない……
ユキムラもそんな過去を少し思い出して赤面していた。
部屋の内部は普段のダンジョンと同じスッキリとした白い部屋だ。
中央部には大きな石版が設置されていた。奥には宝箱と最後の扉がある。
石版には美しい和服の女性が描かれている。
「師匠これって……」
「ああ……女神様かな……?」
「ほぉ! 美しいなこれは!」
ラオが石版に近づこうと一歩踏み出したところで恒例の時間停止が起こる。
『ご無沙汰だね、ユキムラ、それに皆さん』
久しぶりの氷と知識の神アイルスの登場だった。
「ご無沙汰してます。珍しいですね」
『ああ、ちょっとアルテスが手を話せないので代わりにお使いだ。
さて、まずはこれをなんとかしないとな』
アイルスが石像の前で手を払うような動作をすると、石像の足元からピシピシと氷が石像を包み込む。
石像全体を包み込んだ氷にアルテスが指でつつくとピシピシとひびが広がり石と一緒にバラバラと剥がれ落ちていく。
なんだか、アイルスの所作一つ一つが美しくて思わず見とれてしまう一同であった。
『おはよう、ヤマト』
石版の中から現れたのは、なんというか描かれていた絵とは少し……いや、だいぶ異なる少女だった。
服装は巫女服みたいな半袖で、ピョーンと台座から飛び降りるとアイルスの側へと着地する。
『なんや、アイルスやん。久しぶりやのー?
ここはどこや? こいつら誰や?』
コテコテの方言だった。
少しきつい感じだけど可愛らしい顔つきの少女はヤマトという女神だった。
アイルスは簡単に現在の状況を説明して白狼隊を紹介してくれた。
『ふーん。なんやけったいな事になっとるな……
ま、ええわ。ウチも協力したる。ああ、そのワンコやな……って、え?』
『白狼隊の一員のタロさんですよヤマトさん』
『あ、ああ……そ、そうやな。うん。
いやー可愛いからビックリしてもうたわ、ははは。
えーこちらの箱やな、失礼しまーす』
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『よっしゃ、でけたで!』
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