老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
140話 状況確認
「あれ……ここは……?」
「ユキムラさん!!」
「あら~、なんで目が覚めるのかしら……」
「うぉふうぉふ!」
タロは嬉しそうに皆の周りを飛び回る。
ユキムラも皆のもとに駆け寄って、全員を抱きしめる!
「皆! 無事なんだね!」
「し、師匠! そう言えば奴は!? 街は!?」
「いろいろ説明しなきゃいけないことはあるし、ヴァリィに聞きたいこともある。でも、もう少しこのまま……」
ユキムラの頬を温かい涙が溢れていた。
「ユキムラさん良かった、無事なんですね……良かった……」
ソーカも涙を流しながらユキムラに抱きついている。
しばらく皆でお互いの存在を確かめ合うようにくっついていた。
ユキムラも落ち着いたのでアイテムボックスを出そうとするが、そこで初めて自分たちが普通の服しか着ていないことに気がつく。
「ああ、そうか。まだ存在しないものだもんなぁ」
仕方がないので傍にあった小さな湖のほとりの石に腰掛けて話をする。
「皆はどこまで覚えているのかな?」
「えっと、金色の奴が出て、気がついたら体が動いて……そこまでですね」
「私も同じです。ユキムラさんが殺されるって感じて思わず飛び出してしまって……」
「私は、確か市庁舎でユキムラちゃん達に報告してそのまま多分建物ごと……」
「ワン!」
タロの切られた、というか切った足も元通りになっている。
いつの間にかタロの首輪にクロノスの時計がくくりつけられている。
本人も気にしていないし可愛いので預けることにする。
「そうだね、皆あいつらに殺されたんだ。んで、今はあの時から5年前のゲッタルヘルン帝国の何処かに居るらしい。帝国で起きた事を止めるのが目的なんだけど、そこらへんはヴァリィが知ってるかな?」
「そうね、話さなければいけないことがたくさんあるわ……」
それからヴァリィに知らされたことは驚愕に値する情報だった。
ゲッタルヘルン帝国皇帝ゲッタルヘルン・フォン・バテウスがオークションのために停戦に応じたことがきっかけだったようだ。
第一皇子であるゲッタルヘルン・フォン・ファウストが王国など侵攻して全てを奪えばいいと言い出し、軍事クーデターを起こした。
あの謎の軍団を率いてあっさりと実権を握った新皇帝ファウストはその軍勢を率いてプラネテル王国を強襲、完全に虚を突かれたプラネテル王国はあっさりとゴルゲン砦を突破される。
そこからが恐ろしいのだが、帝国の謎の軍団は恐ろしい速度で王国全土に同時侵攻を展開した。
開戦からわずか4時間で謎の軍勢が各都市に現れ、圧倒的力で全てを破壊していった。
一般兵はサナダ隊が組織的に当たれば相手にできると言うぐらいに強力で、さらに、そいつらを率いている異形の騎士たちの力が圧倒的だった。
ヴァリィも大怪我を負いながら1人は倒したが、次の者にはたとえ万全でも相手にならなかったほど力の差があったそうだ。
ユキムラ達に襲いかかった金色の騎士は、どうやらそいつらよりも圧倒的強さなようだ……
ユキムラは考えていた。
VOでも時間戻りしての大陸めぐりは同じなのだが、あっさり文章で表現される壊滅を自らの身体で体験するとあのようなことになるのか、と。
どこかゲームって言う頭があったが、それが緩んだネジのようなものだと思い知らされた。
今から始まるだろうクエストはVOでいう皇位簒奪クエに近い。
魔族が第一皇子をそそのかしてクーデターを起こして他国へ侵攻する。
来訪者は時の女神クロノスの力で3ヶ月前の帝都に戻り、アドベンチャークエストをこなしていくと黒幕である魔族の手先との対決になり、その後は第二皇子が皇帝となる。
そのクエの犯人も証拠も全てわかっているが、今回のコレがそれと同じかはわからない。
あまり過去の記憶に捕われないように柔軟に事に当たっていこう。ユキムラは褌を締め直す。
時間は5年間。しかし、迂闊に直接対決をしてしまうとあの黒い、女神たちが【穢れ】と呼んでいたものの対策ができない。
5年という時間でこの帝国である程度の力と発展をさせ、女神たちの報告を受けて企みを暴露するのがいいだろう。話し合いの末そう決定する。
「まずは現在地を確認しないとな、武器も防具もないから気をつけないとね」
「ユキムラちゃんは材料あれば武器とか作れるわよね?」
「ああ、そこら辺の石とかで作業道具作れそうだね」
話しながらユキムラは近くの石を手に取る。
石の台の上でスキルによって石の彫刻ナイフへと姿が変わる。
その間にヴァリィが近くの木を一本へし折ってくれた。
こうして全員ウッドプレート、ウッドソード、木の杖、木の棍を手に入れた。
「なんの加護もないから戦闘は初心に戻って丁寧にね」
「はい! なんか不謹慎ですがワクワクしちゃってます」
「私も、なんか冒険してる感じです」
「私も昔を思い出すわー……そう言えばユキムラちゃん、私達ここで5年過ごすわよね?
サナダ街の人達とずれるわよね?」
「あ、えーっと。成長はすれども老化せず。って言う状態で事をなすと、もとのサナダ街にいた状態に戻るって言ってました。ここの俺達は仮初めの存在だそうです」
「身分示すものも無くなってしまいましたからねぇ……ケラリス教国から巡礼の旅に来ているってことにしましょうか」
レンの提案でこの国で行動する白狼隊の身分はケラリス教国からの信者という事になる。
教会さえあれば、現実的な方法(現金)で教徒の証をもらえる。
ケラリス教国はどの国とも争うことがないため色々と便利だったりする。
今後の方針は決まった。
「ワン!」
タロが耳をピクピクさせている。
「どうしたタロ?」
ガサッ、湖の反対側の草むらが揺れる。
草むらを掛け分けて女の子が飛び出してくる。必死の形相だ。
「タロ! 俺らも行くぞ!」
タロは水の上を走ってまっすぐと少女に向かっていく。
草むらから続いてツヤツヤとした甲羅を持つ甲虫が飛び出してくる。
どうやら少女を追っているようだ。
新しい地へ来ると、あたらしいイベントが起きる。
「ユキムラさん!!」
「あら~、なんで目が覚めるのかしら……」
「うぉふうぉふ!」
タロは嬉しそうに皆の周りを飛び回る。
ユキムラも皆のもとに駆け寄って、全員を抱きしめる!
「皆! 無事なんだね!」
「し、師匠! そう言えば奴は!? 街は!?」
「いろいろ説明しなきゃいけないことはあるし、ヴァリィに聞きたいこともある。でも、もう少しこのまま……」
ユキムラの頬を温かい涙が溢れていた。
「ユキムラさん良かった、無事なんですね……良かった……」
ソーカも涙を流しながらユキムラに抱きついている。
しばらく皆でお互いの存在を確かめ合うようにくっついていた。
ユキムラも落ち着いたのでアイテムボックスを出そうとするが、そこで初めて自分たちが普通の服しか着ていないことに気がつく。
「ああ、そうか。まだ存在しないものだもんなぁ」
仕方がないので傍にあった小さな湖のほとりの石に腰掛けて話をする。
「皆はどこまで覚えているのかな?」
「えっと、金色の奴が出て、気がついたら体が動いて……そこまでですね」
「私も同じです。ユキムラさんが殺されるって感じて思わず飛び出してしまって……」
「私は、確か市庁舎でユキムラちゃん達に報告してそのまま多分建物ごと……」
「ワン!」
タロの切られた、というか切った足も元通りになっている。
いつの間にかタロの首輪にクロノスの時計がくくりつけられている。
本人も気にしていないし可愛いので預けることにする。
「そうだね、皆あいつらに殺されたんだ。んで、今はあの時から5年前のゲッタルヘルン帝国の何処かに居るらしい。帝国で起きた事を止めるのが目的なんだけど、そこらへんはヴァリィが知ってるかな?」
「そうね、話さなければいけないことがたくさんあるわ……」
それからヴァリィに知らされたことは驚愕に値する情報だった。
ゲッタルヘルン帝国皇帝ゲッタルヘルン・フォン・バテウスがオークションのために停戦に応じたことがきっかけだったようだ。
第一皇子であるゲッタルヘルン・フォン・ファウストが王国など侵攻して全てを奪えばいいと言い出し、軍事クーデターを起こした。
あの謎の軍団を率いてあっさりと実権を握った新皇帝ファウストはその軍勢を率いてプラネテル王国を強襲、完全に虚を突かれたプラネテル王国はあっさりとゴルゲン砦を突破される。
そこからが恐ろしいのだが、帝国の謎の軍団は恐ろしい速度で王国全土に同時侵攻を展開した。
開戦からわずか4時間で謎の軍勢が各都市に現れ、圧倒的力で全てを破壊していった。
一般兵はサナダ隊が組織的に当たれば相手にできると言うぐらいに強力で、さらに、そいつらを率いている異形の騎士たちの力が圧倒的だった。
ヴァリィも大怪我を負いながら1人は倒したが、次の者にはたとえ万全でも相手にならなかったほど力の差があったそうだ。
ユキムラ達に襲いかかった金色の騎士は、どうやらそいつらよりも圧倒的強さなようだ……
ユキムラは考えていた。
VOでも時間戻りしての大陸めぐりは同じなのだが、あっさり文章で表現される壊滅を自らの身体で体験するとあのようなことになるのか、と。
どこかゲームって言う頭があったが、それが緩んだネジのようなものだと思い知らされた。
今から始まるだろうクエストはVOでいう皇位簒奪クエに近い。
魔族が第一皇子をそそのかしてクーデターを起こして他国へ侵攻する。
来訪者は時の女神クロノスの力で3ヶ月前の帝都に戻り、アドベンチャークエストをこなしていくと黒幕である魔族の手先との対決になり、その後は第二皇子が皇帝となる。
そのクエの犯人も証拠も全てわかっているが、今回のコレがそれと同じかはわからない。
あまり過去の記憶に捕われないように柔軟に事に当たっていこう。ユキムラは褌を締め直す。
時間は5年間。しかし、迂闊に直接対決をしてしまうとあの黒い、女神たちが【穢れ】と呼んでいたものの対策ができない。
5年という時間でこの帝国である程度の力と発展をさせ、女神たちの報告を受けて企みを暴露するのがいいだろう。話し合いの末そう決定する。
「まずは現在地を確認しないとな、武器も防具もないから気をつけないとね」
「ユキムラちゃんは材料あれば武器とか作れるわよね?」
「ああ、そこら辺の石とかで作業道具作れそうだね」
話しながらユキムラは近くの石を手に取る。
石の台の上でスキルによって石の彫刻ナイフへと姿が変わる。
その間にヴァリィが近くの木を一本へし折ってくれた。
こうして全員ウッドプレート、ウッドソード、木の杖、木の棍を手に入れた。
「なんの加護もないから戦闘は初心に戻って丁寧にね」
「はい! なんか不謹慎ですがワクワクしちゃってます」
「私も、なんか冒険してる感じです」
「私も昔を思い出すわー……そう言えばユキムラちゃん、私達ここで5年過ごすわよね?
サナダ街の人達とずれるわよね?」
「あ、えーっと。成長はすれども老化せず。って言う状態で事をなすと、もとのサナダ街にいた状態に戻るって言ってました。ここの俺達は仮初めの存在だそうです」
「身分示すものも無くなってしまいましたからねぇ……ケラリス教国から巡礼の旅に来ているってことにしましょうか」
レンの提案でこの国で行動する白狼隊の身分はケラリス教国からの信者という事になる。
教会さえあれば、現実的な方法(現金)で教徒の証をもらえる。
ケラリス教国はどの国とも争うことがないため色々と便利だったりする。
今後の方針は決まった。
「ワン!」
タロが耳をピクピクさせている。
「どうしたタロ?」
ガサッ、湖の反対側の草むらが揺れる。
草むらを掛け分けて女の子が飛び出してくる。必死の形相だ。
「タロ! 俺らも行くぞ!」
タロは水の上を走ってまっすぐと少女に向かっていく。
草むらから続いてツヤツヤとした甲羅を持つ甲虫が飛び出してくる。
どうやら少女を追っているようだ。
新しい地へ来ると、あたらしいイベントが起きる。
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