老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
83話 鳥獣決戦
「やっぱ空飛ぶのは厄介だね、フライ使ったとこでスピードは段違いだから不利になるだけだし。
叩き落とすにしても距離があって拘束できないだろうしねー」
ユキムラは空中で繰り広げられる超高速戦闘を見上げていた
「タロは凄いですね」
タロは空中であることを物ともせず、空を蹴り走り廻っていた。
「早すぎて射撃も出来ないです」
翼竜も高速で移動し、それを上回る速度で飛び交うタロ、射撃による援護なんて不可能だ。
タロと翼竜の鳥獣対決を下から見上げるような状態になっている3人だった。
「ボス属性だとそもそも拘束系魔法もまず効かないからねー」
「タロも張り切ってますからこのまま任せちゃいましょう」
「しっかし、タロはほんとに強いなー。勝てるのかな俺……」
下から見上げてると巨大な翼竜が、レーザー光線と化したタロに身を削られていく、必死に翼竜も頑張っているが、空の支配者は完全にタロ。一方的な展開になってしまっている。
なんか分身とかしてるし、為す術もなく片翼を折られた時点でゲームセットだった。
錐揉み状態で地面に墜落してそのまま翼竜は息絶えた。
「タロお疲れってでっかくなったなぁ!」
戦いを終えて地上へと降り立ったタロを迎えに行く、驚くことにタロは明らかにライオンを二回りぐらい大きくしたぐらいに成長している。
「くーん」
一鳴きするとシュルシュルと普通の大型犬くらいのサイズに戻っていく。
ああ、なるほど戦闘時はちょっと大きくなっちゃうんだね。
「あ、いつものタロに戻った」
レンがタロの首に抱きつく。
「タロは強いなぁ、解体はレンがやっていいかな?」
「わふ」
よろしい。という感じで頷くタロ。
ユキムラはレンに解体の指導を行う。
レンはユキムラの教えをしっかりと守ってかなり良い状態の戦利品を手に入れることができた。
「さて、これでたぶんイベントはおしまいだろう。村へ報告して王都へと向かおうか」
ユキムラは山の麓で作業をしながら声をかける。
「師匠何してるんですか?」
登山用の魔道具を片付けながらユキムラが何かしているのに気がつくレン。
「ああ、偽善なんだろうけど。簡単な墓碑をね」
小さな墓碑と線香のまがい物みたいな物に手を合わす。
「俺の故郷ではこうして死者を弔うんだよ」
レンもソーカもユキムラに習い手を合わせる。
人が生きていくことは罪深いことなのだと忘れないようにする。
生きていく上でそれだけは忘れないようにしよう、ユキムラは心に留め置くことにする。
「そしたら、行こうか」
まずはフラット村へと向かう。
今回の結果を報告しないといけない。
その道程でユキムラは昔のことを思い出していた。
親が死んだ後の喪失感、しかしその死を受け入れるよりも前に現実は彼にもっと厳しい仕打ちをした。
自称親戚、宗教団体、NPO法人 etc.
悲しみに落ちる前にたくさんの様々な悪意をぶつけられて、結局両親の死ときちんと向き合えなかった気がする。
ユキムラの心が壊れる前に宗像が現れてくれなかったら、たぶんユキムラもそこで命を落としていたかも知れなかった。
「そういえば、宗像さんは心配しているのかな……?」
「ユキムラさん? 大丈夫ですか?」
ソーカが心配そうに見つめていた。
何でそんなに心配しているのかユキムラはわからなかったが、自分の頬を涙が流れていることに気がつく。
「あれ? なんで泣いてるんだ俺……」
なぜか涙は止まらなかった。
「おかしいな……ははは……」
すっと後ろから抱きしめられる。暖かいソーカの腕が優しくユキムラを包んでくれる。
その心地よさがユキムラの心に自然に流れ込んでくる。
「大丈夫ですよ、私は側にいます……」
ああ、自分は幸せものだ。ユキムラは強く思った。
この世界に来て、自分を師匠と慕って1ミリの疑いもなく信頼してくれるレンという少年。
そして自分を好きと言ってくれ、そばに居てくれると言ってくれるソーカという女性に出会えた。
「わうん」
「ああ、そうだなタロも一緒にいてくれるな」
それにサナダ街の人々や、今までであった沢山の人々。
ユキムラは確かにこの世界につながりを作って、そして生きていた。
「ありがとう、ソーカ、タロ、レン。俺は幸せものだよ」
「ラブラブはできませんが僕だってずっと師匠といますからね!」
「ら、ラブラブって……はは、ハハハハハ、ハハハハハハハハッ!」
ユキムラは心の底から笑いが溢れた。
俺はこの世界で幸せだ。
だから俺はこの世界の皆に幸せになってもらうために頑張るんだ!
決意を新たにするユキムラだった。
村で事の顛末を説明すると大層喜んでもらえた。
今後の村の発展を祈って魔石を幾つか親善の証として置いていくことにする。
礼をするのはこちらなのにと固辞されたが、できればあの山を大切にしてほしい旨も伝えて受け取ってもらった。
この村ではこれから年に一度、北の山へお供えを持って訪れる習慣ができる。
麓の塚は村の安全の証として長い間大切にされていくことになっていく。
こうしてようやく王都へ向けて出発することになる。
少し回り道をしてしまったがあと2日ほどで王都へと到着する。
王都へついたら脇目も振らずに女神解放クエストを進めていかなければならない。
ユキムラの中のガイアがそう呟くのであった。
叩き落とすにしても距離があって拘束できないだろうしねー」
ユキムラは空中で繰り広げられる超高速戦闘を見上げていた
「タロは凄いですね」
タロは空中であることを物ともせず、空を蹴り走り廻っていた。
「早すぎて射撃も出来ないです」
翼竜も高速で移動し、それを上回る速度で飛び交うタロ、射撃による援護なんて不可能だ。
タロと翼竜の鳥獣対決を下から見上げるような状態になっている3人だった。
「ボス属性だとそもそも拘束系魔法もまず効かないからねー」
「タロも張り切ってますからこのまま任せちゃいましょう」
「しっかし、タロはほんとに強いなー。勝てるのかな俺……」
下から見上げてると巨大な翼竜が、レーザー光線と化したタロに身を削られていく、必死に翼竜も頑張っているが、空の支配者は完全にタロ。一方的な展開になってしまっている。
なんか分身とかしてるし、為す術もなく片翼を折られた時点でゲームセットだった。
錐揉み状態で地面に墜落してそのまま翼竜は息絶えた。
「タロお疲れってでっかくなったなぁ!」
戦いを終えて地上へと降り立ったタロを迎えに行く、驚くことにタロは明らかにライオンを二回りぐらい大きくしたぐらいに成長している。
「くーん」
一鳴きするとシュルシュルと普通の大型犬くらいのサイズに戻っていく。
ああ、なるほど戦闘時はちょっと大きくなっちゃうんだね。
「あ、いつものタロに戻った」
レンがタロの首に抱きつく。
「タロは強いなぁ、解体はレンがやっていいかな?」
「わふ」
よろしい。という感じで頷くタロ。
ユキムラはレンに解体の指導を行う。
レンはユキムラの教えをしっかりと守ってかなり良い状態の戦利品を手に入れることができた。
「さて、これでたぶんイベントはおしまいだろう。村へ報告して王都へと向かおうか」
ユキムラは山の麓で作業をしながら声をかける。
「師匠何してるんですか?」
登山用の魔道具を片付けながらユキムラが何かしているのに気がつくレン。
「ああ、偽善なんだろうけど。簡単な墓碑をね」
小さな墓碑と線香のまがい物みたいな物に手を合わす。
「俺の故郷ではこうして死者を弔うんだよ」
レンもソーカもユキムラに習い手を合わせる。
人が生きていくことは罪深いことなのだと忘れないようにする。
生きていく上でそれだけは忘れないようにしよう、ユキムラは心に留め置くことにする。
「そしたら、行こうか」
まずはフラット村へと向かう。
今回の結果を報告しないといけない。
その道程でユキムラは昔のことを思い出していた。
親が死んだ後の喪失感、しかしその死を受け入れるよりも前に現実は彼にもっと厳しい仕打ちをした。
自称親戚、宗教団体、NPO法人 etc.
悲しみに落ちる前にたくさんの様々な悪意をぶつけられて、結局両親の死ときちんと向き合えなかった気がする。
ユキムラの心が壊れる前に宗像が現れてくれなかったら、たぶんユキムラもそこで命を落としていたかも知れなかった。
「そういえば、宗像さんは心配しているのかな……?」
「ユキムラさん? 大丈夫ですか?」
ソーカが心配そうに見つめていた。
何でそんなに心配しているのかユキムラはわからなかったが、自分の頬を涙が流れていることに気がつく。
「あれ? なんで泣いてるんだ俺……」
なぜか涙は止まらなかった。
「おかしいな……ははは……」
すっと後ろから抱きしめられる。暖かいソーカの腕が優しくユキムラを包んでくれる。
その心地よさがユキムラの心に自然に流れ込んでくる。
「大丈夫ですよ、私は側にいます……」
ああ、自分は幸せものだ。ユキムラは強く思った。
この世界に来て、自分を師匠と慕って1ミリの疑いもなく信頼してくれるレンという少年。
そして自分を好きと言ってくれ、そばに居てくれると言ってくれるソーカという女性に出会えた。
「わうん」
「ああ、そうだなタロも一緒にいてくれるな」
それにサナダ街の人々や、今までであった沢山の人々。
ユキムラは確かにこの世界につながりを作って、そして生きていた。
「ありがとう、ソーカ、タロ、レン。俺は幸せものだよ」
「ラブラブはできませんが僕だってずっと師匠といますからね!」
「ら、ラブラブって……はは、ハハハハハ、ハハハハハハハハッ!」
ユキムラは心の底から笑いが溢れた。
俺はこの世界で幸せだ。
だから俺はこの世界の皆に幸せになってもらうために頑張るんだ!
決意を新たにするユキムラだった。
村で事の顛末を説明すると大層喜んでもらえた。
今後の村の発展を祈って魔石を幾つか親善の証として置いていくことにする。
礼をするのはこちらなのにと固辞されたが、できればあの山を大切にしてほしい旨も伝えて受け取ってもらった。
この村ではこれから年に一度、北の山へお供えを持って訪れる習慣ができる。
麓の塚は村の安全の証として長い間大切にされていくことになっていく。
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