老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
68話 楽しい鉱山見学
「おはようございますユキムラ殿、おお、そちらがお話ししていたソーカ殿ですな、なるほど噂に違わぬお美しさ、ユキムラ殿がうらやましい」
サルソーと合流する。相変わらず顔はおさるさんだがダンディな装いだ。
タロは馬車でお留守番。一応領主の館の人が遊んでくれているようだ。
ソーカは消え入りそうな声でそんな関係じゃないです……と耳まで真っ赤にしながらうつむいている。
鉱山へは街の中から直接入ることが出来る。
アイスフロントの街は街の一部に山腹を含んでおり、立体的な作りになっている。
街の中心的な産業は当然鉱山から出た物を加工する工業だ。
良質の武具や鋼製道具の産出はプラネテル王国随一だ。った。
「ところでユキムラ殿、最近サナダ街からなかなか質の高い製品がこちらにも伝わってきております。
あの辺りはそこまで開発された鉱山もなかったように覚えておりますが……」
道中にさっそくサルソーからの探りが入る。
「旧セカ村の近くの山脈部に良質な鉱石を期待できる鉱脈を見つけまして、そこからの産出を現在軌道に載せたいと努力しているところなんですよ」
「おや、確かオークが出現して難儀していたように伝え聞いてますが……」
サルソーはなかなか優秀な耳を持っているようだ。
「ええ、オークが近くの森林内に集落を作りましたが、我らサナダ隊が殲滅いたしました」
ソーカが代わりにに答える。
「ほほぉ、サナダ街は優秀な兵をお持ちのようだ。
オークの集落を落とすとなると規模にもよりますが、小隊くらいは欲しいですな」
小隊とは30~60人くらいの集団、中隊は60~250、大隊となると300~1000くらいだ。
その上にもあるがこの世界における兵に動員できる人数となると大隊規模が最大と言える。
サルソーはしたたかにサナダ街の兵数を探りに来ているのだ。
都市防衛人数を確保しつつ遠方の村を救済し、オークの村を殲滅するのにどれくらいの人数を割けるのか、たくさんの情報を得る質問を投げかけたのだ。なかなかにやり手だ。
しかしユキムラの答えはサルソーの予想を大きく狂わせるものになる。
「いやー、実は村の安全確保に隊員達は着いてもらって、私がオーク村を殲滅しました」
正直サルソーは馬鹿にされたのかと思ってしまった。
目の前の美青年があまりにも自然にそう言うものだから、怒りさえも覚えないほど、それほど突飛な話だった。
「見ますかー、凄いですよ師匠の戦いは!」
レンが意気揚々と動画再生装置を取り出し、《オークロード部分を消した》動画を皆に見せる。
サルソーはもちろん、お付の兵隊たちも食らいつくように画面を見つめている。
ちょうど近くに軒先で飲食ができるパン屋が開いていたのでお茶と軽食を注文して皆で移動する。
誰一人画面から目をそらさずに団子に移動しているのに店の人が呆れていた。
「「おお! おおおおお!!!」」
街角の一角で衛兵たちが何かに夢中になって大声を上げている。
周りの町民もなんだなんだと集まってくる。
「どーぞどーぞ」
レンは周囲の人にも見えるような大型の映写機のような魔道具で、お店の壁面に戦いの動画を写している。
周囲の画像を記録させる技術も映写する道具も古くからあるが、教会とかギルドとか特殊な場所にしか無いため、このような大衆が目にすることは初めてと言っても良かった。
サナダ街では一般化し始めた映画館という娯楽施設の走りは、この出来事だったと後の歴史学者は分析している。
「も、もう一度だ!」
戦闘自体は凄まじい速度で行われているので動画としては短いが、見る人がどんどん膨れ上がるし、衛兵は何度も見たがるわで結局それなりの時間をその店で過ごした。
途中から飲み物や軽食を商魂たくましく売る人も出てきてちょっとしたイベントになった。
「ユキムラ殿はかの剣聖に匹敵するほどの腕前をお持ちのようだ!
いやー、いいものを見させてもらった」
探りを入れていたことなんてすっかり忘れてしまって動画にのめり込んだサルソー、もう細かなことを考えるのは止めたようだ。
ユキムラを変に探るより、友となったほうが実が大きい、というより。
サルソーが単純に気に入ってしまったのだ。
衛兵たちも崇拝にもにた尊敬の視線をユキムラへと向けている。
レンは反り返っている、倒れるぞ。
「いや、すまぬ。すっかり夢中になってしまった。
早速鉱山へと向かおう!」
ようやく本日のメインイベントである鉱山見学へと出立する。
街の一番奥の長い坂を登りきった先に鉱山地帯がある。
鉱石を出荷するトロッコや働く人々で活気が溢れている。
「ここは石炭、鉄鉱石だけでなくミスリル、氷結石、そして何と言ってもアイシクルメタルが出る」
「アイシクルメタルに氷結石!」
ユキムラのスイッチが入る。
「基本的に鉱山で働く人間は登録制で鉱山ギルドへ所属してもらう。
今日は3人にビジターとして証をお渡ししよう」
衛兵の方が首掛けのギルド証を渡してくれる。
「これによって採掘量なども管理され、希少な採掘をしたものには報奨金を出している。
もちろんこの証がないものの侵入は最悪死罪だ」
ニコニコしているけどそこだけは目が笑っていなかった。
鉱山の運営など学ぶ点は多い、
それに自分のところで得られない鉱物の情報にユキムラは楽しみで仕方がなかった。
サルソーと合流する。相変わらず顔はおさるさんだがダンディな装いだ。
タロは馬車でお留守番。一応領主の館の人が遊んでくれているようだ。
ソーカは消え入りそうな声でそんな関係じゃないです……と耳まで真っ赤にしながらうつむいている。
鉱山へは街の中から直接入ることが出来る。
アイスフロントの街は街の一部に山腹を含んでおり、立体的な作りになっている。
街の中心的な産業は当然鉱山から出た物を加工する工業だ。
良質の武具や鋼製道具の産出はプラネテル王国随一だ。った。
「ところでユキムラ殿、最近サナダ街からなかなか質の高い製品がこちらにも伝わってきております。
あの辺りはそこまで開発された鉱山もなかったように覚えておりますが……」
道中にさっそくサルソーからの探りが入る。
「旧セカ村の近くの山脈部に良質な鉱石を期待できる鉱脈を見つけまして、そこからの産出を現在軌道に載せたいと努力しているところなんですよ」
「おや、確かオークが出現して難儀していたように伝え聞いてますが……」
サルソーはなかなか優秀な耳を持っているようだ。
「ええ、オークが近くの森林内に集落を作りましたが、我らサナダ隊が殲滅いたしました」
ソーカが代わりにに答える。
「ほほぉ、サナダ街は優秀な兵をお持ちのようだ。
オークの集落を落とすとなると規模にもよりますが、小隊くらいは欲しいですな」
小隊とは30~60人くらいの集団、中隊は60~250、大隊となると300~1000くらいだ。
その上にもあるがこの世界における兵に動員できる人数となると大隊規模が最大と言える。
サルソーはしたたかにサナダ街の兵数を探りに来ているのだ。
都市防衛人数を確保しつつ遠方の村を救済し、オークの村を殲滅するのにどれくらいの人数を割けるのか、たくさんの情報を得る質問を投げかけたのだ。なかなかにやり手だ。
しかしユキムラの答えはサルソーの予想を大きく狂わせるものになる。
「いやー、実は村の安全確保に隊員達は着いてもらって、私がオーク村を殲滅しました」
正直サルソーは馬鹿にされたのかと思ってしまった。
目の前の美青年があまりにも自然にそう言うものだから、怒りさえも覚えないほど、それほど突飛な話だった。
「見ますかー、凄いですよ師匠の戦いは!」
レンが意気揚々と動画再生装置を取り出し、《オークロード部分を消した》動画を皆に見せる。
サルソーはもちろん、お付の兵隊たちも食らいつくように画面を見つめている。
ちょうど近くに軒先で飲食ができるパン屋が開いていたのでお茶と軽食を注文して皆で移動する。
誰一人画面から目をそらさずに団子に移動しているのに店の人が呆れていた。
「「おお! おおおおお!!!」」
街角の一角で衛兵たちが何かに夢中になって大声を上げている。
周りの町民もなんだなんだと集まってくる。
「どーぞどーぞ」
レンは周囲の人にも見えるような大型の映写機のような魔道具で、お店の壁面に戦いの動画を写している。
周囲の画像を記録させる技術も映写する道具も古くからあるが、教会とかギルドとか特殊な場所にしか無いため、このような大衆が目にすることは初めてと言っても良かった。
サナダ街では一般化し始めた映画館という娯楽施設の走りは、この出来事だったと後の歴史学者は分析している。
「も、もう一度だ!」
戦闘自体は凄まじい速度で行われているので動画としては短いが、見る人がどんどん膨れ上がるし、衛兵は何度も見たがるわで結局それなりの時間をその店で過ごした。
途中から飲み物や軽食を商魂たくましく売る人も出てきてちょっとしたイベントになった。
「ユキムラ殿はかの剣聖に匹敵するほどの腕前をお持ちのようだ!
いやー、いいものを見させてもらった」
探りを入れていたことなんてすっかり忘れてしまって動画にのめり込んだサルソー、もう細かなことを考えるのは止めたようだ。
ユキムラを変に探るより、友となったほうが実が大きい、というより。
サルソーが単純に気に入ってしまったのだ。
衛兵たちも崇拝にもにた尊敬の視線をユキムラへと向けている。
レンは反り返っている、倒れるぞ。
「いや、すまぬ。すっかり夢中になってしまった。
早速鉱山へと向かおう!」
ようやく本日のメインイベントである鉱山見学へと出立する。
街の一番奥の長い坂を登りきった先に鉱山地帯がある。
鉱石を出荷するトロッコや働く人々で活気が溢れている。
「ここは石炭、鉄鉱石だけでなくミスリル、氷結石、そして何と言ってもアイシクルメタルが出る」
「アイシクルメタルに氷結石!」
ユキムラのスイッチが入る。
「基本的に鉱山で働く人間は登録制で鉱山ギルドへ所属してもらう。
今日は3人にビジターとして証をお渡ししよう」
衛兵の方が首掛けのギルド証を渡してくれる。
「これによって採掘量なども管理され、希少な採掘をしたものには報奨金を出している。
もちろんこの証がないものの侵入は最悪死罪だ」
ニコニコしているけどそこだけは目が笑っていなかった。
鉱山の運営など学ぶ点は多い、
それに自分のところで得られない鉱物の情報にユキムラは楽しみで仕方がなかった。
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