老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

7話 平和なゴブリン村に訪れた悲劇

 俺はゴブ蔵、このゴブレント村の若頭だ。
 今俺は一つの問題を抱えている。
 斥候に出していた、ゴブ太、ゴブ由、ゴブ夫がいつまで経っても戻ってこない。
 近くにある人間の村の奴らに殺られたんじゃと、リーダーがご立腹だ。
 確かにいままでも何度か小競り合いがあったが、すこし怪我をするぐらいで逃げてきた。
 しかし、3人も若い衆を殺されたとなれば、後はもう命のやり取りしか残ってねーじゃねーか!

 無事に帰ってくれればそれが一番なんだが……、ゴブ太は来月父親になる。
 ゴブ夫もこの間やっとゴブ魅から色良い返事をもらえたと、酔っ払いながら話していた。
 みんなこれからの男たちなんだ。
 ゴブ由はなんか俺を見る目が怖いしクネクネしてる。

 話は戻るが、戦は出来る限り避けたい。
 かくいう俺も家にゴブ香が待っている。あと最愛の娘ゴブ華。
 目に入れても痛くないまだ3歳の娘だ。
 今日もはやく見張りを交代して家に帰りたい……

 村へ続く獣道に人影が映る。
 おお! 帰ってきたのか!?
 目を凝らすとゴブリンではない、あれは……人間だ!? 人間が攻めてきた!!
 すぐに警鐘を、と言っても紐に木札をぶら下げただけだが、それを力いっぱい振る。
 カランカランと頼りない音が村に張ってある紐から鳴り出す。
 すぐに木と葉で作られたテントから仲間たちが武装して集まってくれる。
 人影から目を離さずにいたが人間は一人、あれでは殺られに来ただけじゃないか。馬鹿だな。

 リーダーから状況を教えろと言われ、無謀にも人間が一人で襲撃してきたと伝えると大笑いだ。
 お前たちに任せると自分のテントに戻ってしまった。
 すでにサーケの実臭かったから、また若いゴブリンとお楽しみに戻るんだろう。
 ゴブリンは強さが全て、ゴブ吉が好きだったゴブ奈もリーダーに惚れてしまった。
 可哀想なゴブ吉。
 しかし、今は目の前の人間を倒そう。
 あいつを倒したら俺も今日の仕事は終わりの時間だ。
 家に帰って最愛の家族とサーケの実でも噛りながらゆったりと過ごそう。

 近づいてきた、さぁ野郎どもアイツを血祭りに上げるぞ!
 俺は全員に檄を飛ばす。



 大量のゴブリンがユキムラに向かって襲いかかるのであった。




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 ゴブリンの魔石✕87
 リーダーゴブリンの魔石
 ゴブリンの首かざり✕12
 石斧✕12
 石槍✕8
 石剣✕15
 錆びた短剣✕4
 森の地図(浅層)
 古びた杖
 スチールソード+2
 ヒールバングルs1

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 アイテムポシェットが結構埋まってしまった。
 リーダーの武器、精錬武器だったっけ? 
 忘れたなぁ……このイベントあんまりうまくないから長いことやってなかったからなぁ。
 スロット付きヒールバングルはありがたいな、まぁMP少なくて数回しか使えないけど。
 自分にじゃなくてNPCに使えたりしたら便利そうだからありがたくもらっておこう。

 周りの森に延焼が広がらないように注意しながら村に火を放つ。
 こうしておかないで沢山の血しぶきや死の気配などを放おっておくと、アンデッドが発生してしまうことがある。
 神聖魔法でもあればこの場を浄化してアンデッドの発生は防げるが、もちろん今はそんなものはない。

 遥かにレベルの高いゴブリンを沢山倒したからレベルは跳ね上がってくれた。
 BLv8→32だ、最初の頃は余剰経験値が切り捨てになっちゃうんだよね……もったいない。
 JobLvも9まで到達した、これは予想外。
 さすがにこのレベル差で戦うことゲームでは出来ないもんなぁ。
 大体40あたりで10になるからこれはかなり美味しかった。
 そういえば蜘蛛倒したからステータス見れるようになってるな。

 ヒデオは自分のステータスをチェックする。
 適当にポイントを振る。

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 ユキムラ サナダ

 JOB:凡人
 BLv 32
 JLv 9 

 力   55
 素早さ 1
 体力  1
 知性  1
 器用さ 1
 幸運  1

 JOBスキル:足捌きLv10 片手剣Lv10 パリィLv10
     クリティカルLv9 カウンターLv9 

 一般スキル:採取Lv2 調理Lv2 作成Lv2 調合Lv2 釣りLv2 解体Lv2

 称号:ゴブリンスレイヤー

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 ステータスは

 力: 物理攻撃力
 素早さ: 回避、攻撃速度(頻度)
 体力: 最大HP 物理防御力
 知性: 魔法攻撃力 魔法防御力 最大MP
 器用さ:命中力 武器使用時補正
 幸運: 通常攻撃時クリティカル確率上昇 防御時回避補正

 こんな感じになっている。
 正直防御は全てパリィでやるので回避も防御力もいらない。
 全てクリティカルなので命中率もいらない。
 武器補正も微々たるものだからいらない。
 強制クリティカル攻撃をしているのでクリティカル確率上昇もいらない。
 結果、このステータスの振り方になる。
 もちろん序盤だからこその振り方だ。

 VOは150までは赤ちゃん、500で小学校、1000で中学校、3000で高校、
 5000で大学、10000からスタートと言われている。
 まぁそのせいで最後の方はとんでもないレベル上げインフレが起きて終わりに拍車をかけたんだけど。
 なんたって凡人以外は最初のチュートリアル的なの終わるとレベル2000位になって……
 いや、やめよう。

 そう考えると、古き良きVOだった頃のバランスなのかな?
 懐古厨じゃないが、流石に40年もプレイしていると過去の良かった思い出にすがりたくなることも……
 まぁ、たくさんあった。

 話はそれたがヒデオはいずれ村が壊滅する火種となるゴブリン村の掃討を完了する。
 レンの母サリーを助けるクエストの残り時間は14:50まだまだ余裕がある。
 でも早くサリーさんを楽にさせてあげよう。
 火の勢いが治まっていくのを確認してヒデオは元ゴブリンの村を後にする。

 このヒデオの行動が世界に与える影響は、誰にもわからなかった。

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