俺の高校生活に平和な日常を
第5章 #1「バカでも風邪はひく」
 「ぶえぇっくしょぃっ!!」
 「お兄ちゃん、大丈夫?」
 「大丈ぶあぁくしょいっ!!」
 ああ。朝から本当に最悪な気分だ。頭いてーし寒気がするしくしゃみと鼻水が止まんねーし。典型的な風邪だな。
 原因は明白だ。なんたって昨日突然海中に飛ばされて最悪海の藻屑にされるところだったからな。まあ藻屑にされるよりかはマシなのだろうが。
 「一応風邪薬置いとくからお昼食べたらちゃんと飲んでね」
 「ああ…」
 梓はそう言って俺の机に風邪薬と水とスポーツ飲料のペットボトルを置いて部屋を出て行った。賢明な判断だと思う。これ以上部屋に残って梓に風邪が移るような事があったら大変だしな。
 「びゃくしょいぃ!!」
 そんな事を思っていたら再びくしゃみが出た。ダメだ。今日は何も考えずに大人しく寝よう。
 俺は軽く鼻をかんでから仰向けになって眼を閉じた。起きてから少し時間が経って眠気が若干薄れてきていたが、こうして何も考えず眼を閉じてればすぐに眠りにつけるだろう。
 「………」
 そういえば有紗は大丈夫なのか? 何も考えずに寝ようとした矢先、ふとそんな事が脳裏によぎった。
 いくら丈夫な肉体を持っているとはいえ全身ずぶ濡れなうえ裸で1日放置されれば風邪ぐらいひいててもおかしくないか。いや、案外大丈夫なのか?
 「…ちょっと見てくるか」
 なぜか有紗の事が気になってしまい身体をフラつかせながらも有紗の部屋へと向かった。
 部屋を出ると家には物音1つしない程に静まり返っていた。梓は今買い物に出かけてるから今家に居るのは俺と有紗の2人の筈だ。有紗は食事・風呂・トイレ以外は部屋からあまり出ないからまだなんとも言えんな。
 ---コンコン
 有紗の部屋に着いた俺はドアを2、3回ノックしてから少しの間部屋の前で待機した。何度も正当防衛を受けているうちは警戒に警戒を重ねあっちから開けてもらうように気を配るようになった。
 「……」
 しかし1分待てど開けてくれる様子はない。仕方ないと思い俺はドアに手をかけた。というかフラフラの状態で1分も待たされている身としてはこれ以上待ってられないし様子を見に来ただけだからとっとと済ませたいという気持ちになってきていた。
 「有紗ー、入るぞー」
 一応念を押して声をかけてから開けようとしたが返事すら返ってこない。もうここまでしたんだから開けてもいいよな? 万が一着替え中だったとしても俺は悪くないよな? そう自分に言い聞かせ意を決してドアを開けた。
 「…失礼しまーす」
 俺は恐る恐るドアを開けるが目の前に着替え中の有紗の姿が見えた、と思ったがそこには誰もいなかった。どうやら体調が悪いせいか一瞬、幻覚を見ていたようだ。あぶないあぶない。こんな状態で顔面パンチなど受けたらマジで死にかねない。
 「どっか出かけた…ん?」
 俺は安心して中へ入って行くとベットに視線が移った。そのベットに誰か寝ているのが見えたからだ。
 「…スー…スー…」
  そこには小さな寝息をたてた有紗の姿があった。やはり風邪を引いているようで顔が赤く額に熱さまシートが貼られていた。
 それにしてもピンク色のパジャマとはまた知られざる一面を見てしまったような気がするな。
 「……」
 しかしそんな一面よりも気になってしまう。暑いせいなのかパジャマのボタンは全て外されてパジャマと同色のブラがチラリと見えてるしズボンに至っては脱ぎ捨てられておりパンツ丸出しのあられもない姿を晒しているのだ。そんな姿でいられるとムラム…ドキドキして直視出来ない。
 おそらく毛布をかけた状態だったからそんな状態になれたのだろうがその毛布はベットの下に放り捨てられている。これはこれで新しい一面を見た気がする。
 「…しょーがねー」
 俺は独り言のように呟くと恐る恐る下に落ちている毛布を手に取り有紗に気づかれないように優しくかけてあげた。
 「おやすみ有紗」
 そして聞こえるか聞こえないかの声量でおやすみの挨拶をしてフラフラの状態で部屋を出て行った。
 結局、最後まで何も起こることなく俺は眠りについたのだった。
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