俺の高校生活に平和な日常を
第4章 #38「魔封石」
 「………」
 暫く固唾を飲み込んでバードさんの答えを待つがバードさんは苦虫を噛み潰したような表情で口ごもっている。
 「…おい」
 「………」
 沈黙の空気に耐えきれず俺はバードさんに話しかけようとするが返事がない。
 「バードさん?」
 「…zzz」
 「!?」
 今度は梓が呼んでみるのだがあきれたことに眠りこけていやがった。イヤ、本当は寝たふりをしていたと言うべきか。その行動に怒りを感じた俺はバードさんの身体ごと首根っこをおもいっきり掴まえた。
 「ゔっ!?ががっ…」
 「お兄ちゃん!?落ち着いて!」
 バードさんが苦悶している表情を見て梓が止めに入ってきた。しかし俺の握力は緩むことはない。
 「こんなヤバイって時なのにふざけやがって!いいから早く教えろよ!」
 「ぐっ、がががっ…」
 怒りが込み上げてくるとだんだん手の力が強くなり一層強く首を締めていく。このままだと本気で絞殺しそうだが今の俺は怒りでそんなことどうでもよくなっていた。
 「そいつは喋らないわよ」
 「ええ?」
 そんな時、不意に一言呟くイーリスちゃんの声が聞こえた。俺はその言葉の意味が分からず思わず視線を後ろに向けた。それと同時に脱力したかのように力がスッと抜けバードさんは俺の手からスルッと流れ落ちていった。
 「バードさん!だ、大丈夫!?」
 その瞬間を見逃さず下で優しくキャッチする梓。その時には俺は我に返ってきた。
 「ハア…ハア…、マジで…しぬとこ…だった…ぜ…」
 「わ、わりい」
 息苦しさを感じながらも呼吸を整えようとしているバードさんを見て思わず謝罪の言葉が出てきた。無論それに対し目をギラつかせながら「こんの野郎!」と威嚇してきた。
 「それよりイーリスちゃん。さっきなんて言った?」
 俺は軽く謝罪を済ませて話を戻そうと再びイーリスちゃんの方に視線を向けた。
 「そいつが言おうとしていたのは『魔封石』の事を言ってるのよ」
 「まふうせき?」
 「………」
 あっさりと話してくれたのはいいが、聞きなれぬワードが出てぽかんとしていた。チラッとバードさんを見るとさっきまで苦悶の表情を浮かべていたが、今度は難しい表情で黙秘していた。
 「大量の魔力を小さな石に注ぎ込んで作り上げたその石にはあらゆる力を封じ込める力があると言われているのよ」
 「へ〜、そんなんあるんだ?」
 バードさんのことはおかまいなしに話を進めるイーリスちゃんはその魔封石とやらの説明をしてくれた。話を聞くとどうやら魔封石は100年に一度しか生成されず世界で100個あるかないかしかないらしい。そしてそれを管理しているのがバードさんのようなコントラクターだと言う。
 「そしてその魔封石は一度しか使うことが出来ないのよ。一度使用すると封じた力と共に消滅してしまうのよ」
 「大がかりの割にはなんかショボいな」
 「ショボいゆ〜な」
 俺の反応にようやくバードさんの返しが返ってきた。だんだんいつもの調子が戻ってきそうだ。
 「強力な魔法程、制限が厳しいのよ」
 まあそういうものか。RPGでも強力な魔法は大量のMPを消費する。キャラのMP値が少ないと一回しか使えないなんてこともよくある。そういう風に考えれば納得できるな。
 「ってか、何でそー言わずに寝たフリなんかしたんだよ?」
 俺はそう言いながら視線をバードさんの方に向ける。首を絞めたのは悪いことをしたがそもそもこいつが寝たフリという古典的な逃避なんてするから思わず手が出てしまったのだ。
 「それは…」
 「私の前だと言いだせなかったんでしょ?」
 「?」
 言いだせなかった?イーリスちゃんの前では言えない程の理由があったということか?一体、どういうことなんだ?
 「気づいてたのか?」
 「当然よ。魔封石がコントラクターに管理させる理由なんて1つしか考えられないもの」
 さっきから2人、いや1人と1羽か(めんどくさいから2人でいっか)。2人が何やら話が通じているようだが、俺達にはさっぱりわからない。梓も何のことか分からずぽかんとしてるし。
 「ちょっとまてよ!2人とも何の話を…」
 「それにその魔封石は元々、魔女を封じる為に作られたものだから」
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