俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第4章 #34「2人の少女」

 俺はゆっくりと声のする方へ向かって行った。言っておくが変な期待はしていない。単純に気になっただけだ。

 「ははは」

 「ふふ」

 段々声が聞き取りやすくなってきた。2人共笑ってる。ガールズトークに華を咲かせているようだ。今の俺達の状況だとその笑い声がちょっと腹ただしくも思えてくるがまあいい。

 「ははは」

 「ふふ」

 さっきから笑いが止まらんなあ。何がそんなに面白いのか?変な友達の変人エピソードでも語っているのか?

 「ここら辺…かな?」

 2人の談笑する声が近づいて来ていた。俺は草木に隠れながら囁くように独り言を呟いた。

 「………」

 そして恐る恐る顔を出し声の主の顔を見ようと考えた。だがはたから見たら風呂を覗き見しようとする変態みたいだな。覗き魔ってこんな気分なのかな?

 「んっ…」

 ギリギリ見える位置を調整していると俺の視界にとうとう人の姿を捉えた。

 「……?」

 俺の視界に入ったのは女の子2人。しかもおそらく中学生くらいだろう。ん?中学生の女の子2人?こんな所にか?

 一旦俺は再び草木に隠れ頭の中を整理する。今確かに視界に入ったのは女の子2人だった。2人共中学生っぽかった。しかもどっかで見たことあるような…

 「イヤイヤイヤ、流石にそんなバカな…」

 中学生の女の子というとあの2人を思い出すが2人がこんな所にいるとは考えにくい。だってあの2人は今お泊まり会に行ってる所だろ?こんな地図にも載っていないような場所にいるわけがない。

 「…もう一回見るか?」

 一応確認の為、もう一度覗いて見た。

 「………」

 俺は女の子の容姿を確認する為、ただひたすらに凝視した。

 ピンク色のフリル付きワンピースを着た黒髪ショートカットの女の子と黒のゴズロリドレスを着た金髪碧眼の女の子。…どこかで見た事ある容姿だな。

 見覚えのある女の子2人は楽しそうにお茶会を開いていた。オシャレな店でしか見た事無いようなガラスのテーブルに一面に広がるフランス菓子の数々、ガラスの椅子に腰掛けまったりしながら2人は紅茶らしきものを飲んでいた。

 「………」

 なんか羨ましい。こっちは死にかけた思いをし身も心も衰弱しかけているのにあの2人は優雅にお茶会なんかしてやがる。ぶっちゃけ俺も混ざりたい。

 ん?まてよ。あの2人なら別に隠れる必要ないのではないのか?

 「そうだよ。隠れる必要ねーじゃねーか!」

 なんなら事情を説明すればなんとかなるかもしれない。そう思うと希望の光が見えてきた。

 「…よし」

 覚悟なんか必要ない。ただ何も知らずにたまたま遭難してたまたま歩いたら2人を見つけたフリを装えばいい(まあ実際そうなのだが)。俺はスッと立ち上がり2人の元へ歩いて行く。今見た光景は忘れて新鮮味な感じで…

 カチッ

 「ん?カチッ?」

 なんか変な音がしたのだが、などと思っていた瞬間だった。

 「あばばばば!?」

 急に足元から電気が流れるような感覚が襲ってきた。その感覚が一気に脳天まで届き俺の身体は感電しているのを見に感じていた。

 「ふう、ようやくかかったようね」

 かかった?まさか俺、罠にはめられた?

 「気配を隠しているようだったけど、甘いわね」

 そう言って金髪碧眼の女の子はティーカップをテーブルに置きこちらに向かって来る。

 「どうやって侵入したのか知らないけど、もしあなたがスパイか何かのたぐいなら帰すわけには…?」

 何の話をしているのか分からないが何か勘違いしているという事だけは理解した。だがそれを伝える前に俺の身体は感電によりバッタリ倒れ気をほぼ失いかけていた。

 「どおイーリスちゃん?捕まえ…お、お兄ちゃん!?」

 どうやらもう1人の女の子が後を追うように追いかけて来て俺を見に来たようだ。そしてその子の一言を微かに聞き届けながら俺の意識はまた消えていくのだった。

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