俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第4章 #11「佐藤和彦生誕祭2016 〜後編『誕生日会、開幕の夜の部』〜」

 「おお〜〜!!」

 テーブルいっぱいに広がる料理の数々。ジューシーな骨つきチキンに山盛りポテト。皿いっぱいに入れられたポテトサラダetc…

 「ふふ♡どれも美味しそうですね♪」

 「………」

 「イーリスちゃん。ヨダレ出てるよ!?」

 イーリスちゃんがヨダレを垂らしてしまう程いい匂いが家の中を満たしていた。

 「アレ?そういえば有紗ちゃんは?」

 「!?」

 イーリスちゃんのヨダレを拭きながら梓は有紗がいないことに気づいた。

 「あら?夏目さんもいらしてたんですか?」

 正直今この2人を合わせるのはマズイ気がする。それに俺と有紗が同居しているのはだがそんなことを考えていたすぐ後だった。

 「あ、有紗ちゃん!ご飯出来てるよ!」

 最初に気づいたのは梓だった。自分の部屋から普通に出て来よったわ。

 「!?」

 「夏目さん、こんばんは♪」

 流石の有紗も一瞬、思考が停止したようだ。みのりは悪びれる様子も見せず笑顔で挨拶を交わした。

 「な、なん…で、アンタが…こんなとこに…」

 怒りを抑えるあまり有紗の身体は震えていた。だが言葉には怒りの感情がにじみ出てしまっているが…

 「なんでって…お友達の家に訪問するのに理由なんか必要でしょうか?」

 みのりはまた人を煽るような発言をする。素直に理由を述べればいいものの何で一回、誤魔化そうとしてるんだよ。

 「それにしてもまさかお二人がそんな間柄だったなんて…ちょっと羨ましいです」

 「「なっ!?」」

 みのりの一言に俺と有紗のリアクションはリンクするかのように驚いた。

 「ど、どう言う意味だよ!?」

 「言葉の通りの意味ですけど」

 「イヤ、分かるかー!?」

 分からないからこっちは聞いているのだがみのりには全く理解できていないのか?はたまたこれも芝居か?(おそらく後者の方が高いだろうが…)

 そんなこんなで俺達は気まずい雰囲気の中、俺の誕生日会が始まった。

 「では改めて、お兄ちゃん!お誕生日おめでとー!!」

 梓が仕切るようにお祝いの言葉を述べると同時にみんなからの祝いの拍手を受けた。

 「ありがとーみんな!まさか今年はこんな賑やかに祝って貰えるとは思ってなかったよ。ホントありがとう!」

 俺は素直な気持ちをみんなに伝えた。本当に今年は良い誕生日を迎えれたよ。

 「やっぱりお祝いの日はみんなで祝った方が忘れない良い思い出になりますものね♪」

 「ああ、ホントその通りだよ」

 俺はみのりの意見に賛同した。誕生日くらいは大勢とは言わずとも何人かと一緒に過ごしたいものだ。それが今年、ようやく叶ったのだ。

 「そういえばまだ渡してませんでしたね。和彦君。これは私からです!」

 「ん?何?」

 するとみのりから綺麗な包装紙に包まれた小さめの箱を渡された。どうやら誕生日プレゼントらしいが一体何が入っているのか?想像がつかない。

 「開けていいの?」

 「ええ。もちろんですよ」

 俺はみのりの返答を聞いて早速中身を確認する為、包装紙を剥がしに取り掛かった。何だか高級そうな包装紙だった為、丁重に剥がす俺。結局、少し破いてしまった箇所もあるが何とか出来る限り綺麗な状態にして剥がすことが出来た。そして俺は期待を膨らませながら小さな箱の蓋を開けてみた。形は長方形の形をしているが厚みはそこまでなかった。一体何だろうか?

 「おお!?こ、これは…」

 中に入っていたのはまさかの長財布だった。黒い革でツヤツヤとしており綺麗に磨かれていることが俺にも分かった。

 「本当はアニメグッズとかゲームソフトとかを考えていたんですけど、和彦君は結構集めてるイメージがありましたから被らないものを考えていたらいつの間にかこんな粗品になってしまいました」

 「粗品だなんてそんなこと無いよ!よく分かんないけど、スゲーいいヤツそうじゃん!」

 俺はまさかのサプライズプレゼントに少し興奮気味になっていた。財布のことを全く詳しくない俺でもこの財布が高価なものだというのは一目瞭然いちもくりょうぜんだった。

 「ええ。そちらの財布、確か10万程だったと思います」

 「じゅ、じゅじゅじゅ10万!?」

 俺と梓はあまりの額に驚愕した。相場は分からんがいくら何でも10万は高過ぎだろ!?使ってみようかな?とか思ってたけど、高過ぎて使いづらいわ!

 「みのりさん。ひょっとしてあの時デパートで…」

 すると梓が何か思い当たるかのようなセリフを言い始めた。

 「ええ。有名なブランドさんがそこにお店を出してることを思い出しまして前から一度、行ってみようかと思ってたんですけどね。まさかこんなにお高いとは思いませんでしたけど」

 それでも買ってしまうのかよ!?まあ吸血鬼一家とはいえ一応家柄は相当なお金持ちっぽそうだからな。今思ったけど、みのりの両親は何の仕事してんだろう?

 「イーリスちゃん。私達も…」

 「んん?」

 俺が10万もする長財布に目を奪われていると梓がイーリスちゃんと小言で何か話をしていた。

 「イキナリあんなに高そうなもの見せられてちょっと出しにくくなっちゃったけど、お兄ちゃんはいこれ」

 すると梓とイーリスちゃんから今度は包装紙だけに包まれている物を梓とイーリスちゃんからそれぞれ一つずつ渡された。イーリスちゃんが視線を合わしてくれないながらも俺は2人からプレゼントを受け取った。

 「みのりさんのヤツよりは大分安物になっちゃったけど、それは私達からだよ」

 受け取ってみると大きさに比例して重量はそこまで重く感じなかった。触った感じからするにタオルかTシャツのどちらかだろう。

 「ありがとう梓。イーリスちゃんもありがとうね」

 「えへへ♡」

 「…ん」

 俺が感謝の言葉を述べると梓は照れ笑いするとイーリスちゃんはそっぽを向きながらも小さく返事を返した。

 「じゃあ開けさせて貰うよ」

 「はい、どうぞ」

 梓の了承を得た俺は包装紙をみのりの時と同じく綺麗に剥がした。対等な扱いをしないと失礼に値すると思ったからな。綺麗に剥がし終えると早速中身を取り出してみた。

 「…お、おう。こ、これは…」

 取り出してみると中には予想通りTシャツが入っていたのだがどうやら自分達でオリジナルTシャツを作って来てくれていたようなのだが、Tシャツに描かれている文字が何故か2人共、『I♡AZUSA』と『I♡E-RIS』と描かれていた。

 「私は辞めた方がいいって言ったのに」

 するとイーリスちゃんが小言で苦言を言ってきた。確かにこれは流石に…

 「可愛くて良いと思ったんだけどなぁ」

 「私も可愛いくて良いと思いますよ」

 梓はちょっと残念そうな顔をしてきた。そんなことをされると思っていることなど、言える訳がない。一応みのりがフォローを入れてくれたが…

 「イヤ、ありがとう。ちゃんと着るよ」

 「ホント!えへへ♡良かった♡」

 「別に私のは着なくてもいいけど」

 まあ部屋着でなら一回ぐらいは着てもいいかなと思いありがたく受け取ると2人の反応は正反対な反応をとった。

 「あ!それより早く食べないと折角作ったのに冷めちゃう!」

 「そういえばそうだな!早く食べようぜ!」

 梓の一言でふと並べられた料理に目がいった。確かに折角俺の好きなものばかり作ってくれた梓の料理が冷めてしまうのはもったいないし失礼に値する。俺が更に付け加えるように言うとみんな料理に手を伸ばし始めた。

 ---30分もすると梓の料理はほとんど完食していた。

 「もうそろそろいいかな?今ケーキ準備するからちょっと待ってて!」

 「おっ!キタキタ!!」

 待ちにまったりケーキの時間がやってきた。腹八分ぐらいまできてはいたがやはり甘いものは別腹だ。

 「ひょっとして今年も手作りか?」

 「うん。今年も頑張って作ってみたの」

 そうなのだ。毎年誕生日ケーキというと我が家では梓の手作りケーキの意味をいうのだ。

 「毎年梓ちゃんが作ってるんですが!?それは楽しみですね」

 梓がキッチンにケーキを取りに行くとみのりは関心するかのようなセリフを梓に向けて言ってきた。俺がみのり達が座っている方を見ると密かにイーリスちゃんも楽しみにしているかのように身体をソワソワさせていた。

 「お待たせしました!」

 すると梓がキッチンから例年を超える十号はありそうな大きなチョコレートケーキを持ってきた。(一体我が家の小さなオーブンでどうやって作ったのだろうか?)一見重そうにも見えるがちゃっかりケーキが密かに浮いているのが見えた。なるほど、便利かつ誰にも分からないように上手く魔法を使っているな。梓が魔法少女だと分からなければ気づきはしなかっただろう。

 「これ本当に梓ちゃんが作ったんですか?スゴーい!お店で買ったものと寸分の違いもないですね!」

 あまりの出来栄えにみのりのリアクションが大きくなった。それはそうだろう。本当に手作りで作ったとは思えない出来栄えなのだ。

 フワフワしたチョコレートを混ぜたスポンジ生地の上に更にチョコレートでコーティングしておりチョコレート好きにはたまらないチョコレートケーキなのだ。(ドヤッ!)

 「じゃあローソク付けるね」

 そう言って梓はズボンのポケットから市販の誕生日ケーキ用のローソクの入った小袋を取り出すと俺の年齢、つまり16本分をケーキに刺していきそこにもう片方のポケットからチャッカマンを取り出し火を灯していった。

 「じゃあ、せーの」

 電気を消すとローソクの灯りがいっそう眩しく輝いていた。そして梓の合図と共にバースデーソングを合唱した。(主に梓とみのりしか歌っていないが)

 「お兄ちゃん!お誕生日、おめでとう!!」

 歌い終わると俺はローソクの火をひと吹きで消した。消すと部屋が一瞬で真っ暗になった。すぐに部屋の電気を点けると梓の祝福コメントと共にクラッカーが鳴らされた。今年は人数が増えている為、クラッカーの紙吹雪の量も例年以上の量だった。

 「今日はホントにありがとう。お陰で今年の誕生日は一生忘れられない年になったよ」

 俺は再びコメントを言うと自然とみんなから拍手を受けた。なんか照れくさいな。

 「ふふ♡照れてる和彦君ってなんか可愛いですね♪」

 「ホントですね。お兄ちゃんってば可愛い♡」

 「そ、そんなことより早くケーキ食おうぜ!」

 俺は2人に冷やかされ誤魔化すように取り皿をみんなに配布していった。そして俺から順番でケーキを1人一個ずつ取り美味しくケーキをいただいたのだった。

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