俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第3章 #26「救世主」

 ---数時間後

 「ん、んん〜」

 梓はうなような声をあげゆっくりと目を開けた。

 「大丈夫か梓?」

 「お兄…ちゃん?」

 意識は少しずつだが取り戻しつつあるようだ。

 「ここ…は?」

 「見ての通り梓の部屋だよ」

 梓は俺にそう言われると周囲を見渡した。そして自分の部屋だと確認が取れたみたいでその後ゆっくりと上半身を起こした。

 「私…確か…お腹を…」

 そう言うと梓は俺がいるにも関わらず自ら服を捲り上げた。傷を確認したいとはいえもう少し気をつけないとな梓よ。

 「…あれ?」

 しかし腹の傷は跡形も無く消えていた。無論火傷の跡も綺麗に消えていた。

 「お兄ちゃん、コレって…」

 「傷ならイーリスちゃんが治してくれたんだよ」

 「イーリスちゃんが!?」

 そう。あの時イーリスちゃんは必死に梓に回復魔法をかけた。だがそれは一筋縄ではいなかった。何故なら梓の傷は思いのほか深かったのだ。

 「くっ…」

 慣れない回復魔法に悪戦苦闘するイーリスちゃん。その上自分がした事に後悔していて精神的に不安定の状態でやっている為、うまく回復に集中出来ずにいた。

 何とかしてあげたい気持ちはあったが俺にはかけられる言葉が見つからなかった。そんな時だった。

 「何チンタラしたんだよ!」

 俺達は声がする方に向くとそこには地面に叩きつけられていたバードさんがズタボロになりながらも何とか体を起こしていた。

 「うるせ〜なー!今イーリスちゃんが一生懸命やってんだろう!」

 「そんな回復魔法じゃあ幾らかけたって傷なんか塞がらねーよ!」

 「何?」

 「いいか!回復魔法にも種類があってなー、傷を治す魔法とか魔力を回復させる魔法とかに分かれててお前の使ってる魔法は魔力を回復させるだけだ!」

 「そうなのか?」

 俺には魔法の事はサッパリ分からない為、イーリスちゃんに聞いてみた。

 「私にも分からない。でも回復魔法はこれぐらいしか使えないから…」

 「ええ!?」

 って事はこのままだと梓がヤバいんじゃねーのか?

 「…仕方ねーなー」

 そう言うとバードさんはイーリスちゃんの頭に乗っかってきた。一体何をするつもりなんだ?

 「どうするつもりだよ!」

 「本当はこんな事したくねーけど、今から俺がこいつに魔法を教えてやる!」

 「はあ!?」

 何を言ってんだこの鳥は!今から教えるってそんな事可能なのか?と俺は疑いの目をバードさんに向けた。

 「安心しろ。お前等には好き放題された事に腹は立っているが今回は緊急事態だがら大目に見てやる!とりあえず梓を治す事が先決だ!早くやるぞ!」

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