闇夜の世界と消滅者
二十五話 迷宮探索5 従者
【龍宝玉】。この世界で生きている限り、誰もが必ずと言っていいほど聞いたことのある単語であろう。
それは、この世界を統括する神たちのご神体であり、この世界のバランスを保っているものである。
「龍宝玉が狙われている、ね…………確かにあれは最高クラスの【幻魔級】だし、単体でも強力なモノではあるが……ウロボロスはなんであれを欲したんだ?」
武器や防具にも同様にランク付けされており、低いから順に【低位級】・【中位級】・【上位級】・【最高級】・【国宝級】・【幻魔級】・【極神級】とされている。
龍宝玉は【幻魔級】の中でも最高クラスを誇るものであり、生半可な力では触れるどころか近づくことすらできない。
そんな代物を、ウロボロスは欲しているのだ。いったい何を考えているのかわからない。
「戀はどう思う?」
「うーん……龍宝玉の力ってのは確か魔力貯蔵、魔力解放だったよな? マジックアイテムとしてはかなり強いほうだとは思うが、【幻魔級】としてはゴミといっても過言じゃない」
「でも、それだけがアレの力すべてじゃないって気づいてるでしょ?」
思わず戀は押し黙る。
その通りだった。
確かに、龍宝玉を表面上見れば、【幻魔級】というよりは【中位級】がせいぜいである。
それが本当の能力であったなら。
龍宝玉には、噂ではなく本当に神の力----神力が宿っている。
神力とは、魔力の上位互換、いわゆる神の魔法である。
神力の威力はすさまじく、神力で火矢を放った場合、おそらくではあるが、あたり一面が一瞬で焦土と化す。
もし神力が闇ギルドの手に渡れば、世界はすぐにでも破壊と虐殺に見舞われることだろう。
「早急にでも学園に戻って対策を練りたいが、そうしている時間もない。どうするか……」
龍宝玉ほ保護しようにも、神獣に認められなければ触れるどころか近づくことすらできない。
「君の部下を使えばいいんじゃないか?」
確かにそれは名案である。だが…………
「俺の今の立場は組織を除隊された身だ。安易にシルフィードを動かすことはできない」
しかし、闇ギルドの足止めはしなければならない。
「あんまり使いたくはなかったんだが、仕方ない…………麗、クロード、ルナ」
戀が呟く。すると、突如として背後に三つの気配が現れた。
「お呼びですか、マスター」
三人のうち、真ん中にいた女性が戀に歩み寄る。
その姿は、忍びとメイドを合体したような恰好をしている。
身長は戀よりも高く、長い髪をポニーテールで括っている。
その姿は総じてかなりの美人だというのがわかる。
まあ、身長が高いと言っても、165cmと平均的であり、戀の身長が低いだけで対して高くないのだが。
「麗。今から至急ベルクリオ学園に向かってくれ。賊が攻めてくるという情報が入った」
「賊ですか。もしや闇ギルドですか?」
麗の聡明さに感心しながらも、その言葉に同意を示す。
「ああ、その通りだ。名前は『ウロボロス』。どういった公正なのかは知らないが、俺たちの邪魔になりそうだからな。今回は全力で潰せ」
「かしこまりました。マスター」
戀のその過激な発言に麗は恭しくお辞儀をし、ふと気づけばすでにその気配は消えていた。
戀は残った二人に目を向ける。
一人は銀色の髪に金色の目を持つ少年。小柄だが隙を一切見せないような、シャープな印象を受ける。
もう一人は金色の髪に銀色の目を持つ少女。背丈は少年と変わらないが、少々細い体をもつ。
戀は二人に向かって指示を飛ばす。
「クロード、ルナ。お前らはメルガリアに行って総隊長に今回のことを報告してこい。あと、本家にも事情を説明して警戒しておくように言っておけ」
戀の指示に二人はうなずき、その場を離れる。
「さて、これでなんとかなるかな?」
「何とかしてもらわないと困る。少なくとも、俺たちが神獣にあって認めてもらうまでは頑張っても売らうしかない」
そういって戀は溜息をつき空を仰ぐ。
夜はまだ明けそうにない。
それは、この世界を統括する神たちのご神体であり、この世界のバランスを保っているものである。
「龍宝玉が狙われている、ね…………確かにあれは最高クラスの【幻魔級】だし、単体でも強力なモノではあるが……ウロボロスはなんであれを欲したんだ?」
武器や防具にも同様にランク付けされており、低いから順に【低位級】・【中位級】・【上位級】・【最高級】・【国宝級】・【幻魔級】・【極神級】とされている。
龍宝玉は【幻魔級】の中でも最高クラスを誇るものであり、生半可な力では触れるどころか近づくことすらできない。
そんな代物を、ウロボロスは欲しているのだ。いったい何を考えているのかわからない。
「戀はどう思う?」
「うーん……龍宝玉の力ってのは確か魔力貯蔵、魔力解放だったよな? マジックアイテムとしてはかなり強いほうだとは思うが、【幻魔級】としてはゴミといっても過言じゃない」
「でも、それだけがアレの力すべてじゃないって気づいてるでしょ?」
思わず戀は押し黙る。
その通りだった。
確かに、龍宝玉を表面上見れば、【幻魔級】というよりは【中位級】がせいぜいである。
それが本当の能力であったなら。
龍宝玉には、噂ではなく本当に神の力----神力が宿っている。
神力とは、魔力の上位互換、いわゆる神の魔法である。
神力の威力はすさまじく、神力で火矢を放った場合、おそらくではあるが、あたり一面が一瞬で焦土と化す。
もし神力が闇ギルドの手に渡れば、世界はすぐにでも破壊と虐殺に見舞われることだろう。
「早急にでも学園に戻って対策を練りたいが、そうしている時間もない。どうするか……」
龍宝玉ほ保護しようにも、神獣に認められなければ触れるどころか近づくことすらできない。
「君の部下を使えばいいんじゃないか?」
確かにそれは名案である。だが…………
「俺の今の立場は組織を除隊された身だ。安易にシルフィードを動かすことはできない」
しかし、闇ギルドの足止めはしなければならない。
「あんまり使いたくはなかったんだが、仕方ない…………麗、クロード、ルナ」
戀が呟く。すると、突如として背後に三つの気配が現れた。
「お呼びですか、マスター」
三人のうち、真ん中にいた女性が戀に歩み寄る。
その姿は、忍びとメイドを合体したような恰好をしている。
身長は戀よりも高く、長い髪をポニーテールで括っている。
その姿は総じてかなりの美人だというのがわかる。
まあ、身長が高いと言っても、165cmと平均的であり、戀の身長が低いだけで対して高くないのだが。
「麗。今から至急ベルクリオ学園に向かってくれ。賊が攻めてくるという情報が入った」
「賊ですか。もしや闇ギルドですか?」
麗の聡明さに感心しながらも、その言葉に同意を示す。
「ああ、その通りだ。名前は『ウロボロス』。どういった公正なのかは知らないが、俺たちの邪魔になりそうだからな。今回は全力で潰せ」
「かしこまりました。マスター」
戀のその過激な発言に麗は恭しくお辞儀をし、ふと気づけばすでにその気配は消えていた。
戀は残った二人に目を向ける。
一人は銀色の髪に金色の目を持つ少年。小柄だが隙を一切見せないような、シャープな印象を受ける。
もう一人は金色の髪に銀色の目を持つ少女。背丈は少年と変わらないが、少々細い体をもつ。
戀は二人に向かって指示を飛ばす。
「クロード、ルナ。お前らはメルガリアに行って総隊長に今回のことを報告してこい。あと、本家にも事情を説明して警戒しておくように言っておけ」
戀の指示に二人はうなずき、その場を離れる。
「さて、これでなんとかなるかな?」
「何とかしてもらわないと困る。少なくとも、俺たちが神獣にあって認めてもらうまでは頑張っても売らうしかない」
そういって戀は溜息をつき空を仰ぐ。
夜はまだ明けそうにない。
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