二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~

魔法少女どま子

最強の闇魔法使いへ成り上がり

 不思議な気分だった。

 かつて俺は散々いじめられてきた。
 もう人間など信じられなくなっていた。

 だけど。
 この絶体絶命の窮地を救ってくれたのもまた人間だった。

 だからこそ、胸から奇妙な感覚が沸いてくる。

 一度は人間嫌いになった俺だけれど。
 だけど。

《 レベルが上がりました。

 吉岡勇樹 レベル99

 HP 41/999 MP 78/999
 MA ∞ MD ∞》


「…………!」
 思わず飛び跳ねてしまった。

 いま視界に表示されたステータスに、俺は二つの意味で驚いた。

 ひとつは、レベル90以上のステータスが存在していたこと。古山でさえレベル90でストップしているのだから、それより上はないと思っていた。

 もうひとつは、俺はいま、なにもしていなかったということだ。

 レベルを上げるためには、魔法を積極的に使うか、あるいは同じ異能者を倒すしかない。しかし俺は、レベルアップの直前には一切そのようなことをしていない。

「そ……んな、どういうことだ……」

 俺の前方で、古山が青い顔であとずさる。

「僕でさえ辿りつけなかったレベルに……いったいなぜ……」

 わからない。
 ただ、ひとつだけ言えることがあった。

 人の温かさ。
 胸から迫り寄せる奇妙な感覚。

 それを味わったとき、俺のステータスは正真正銘の最強に成り上がった。

 俺はふらふらと立ち上がりながら、切れた唇の痛みをも無視して言い放った。

「力だけが強さじゃない……ってことかもな。おまえには一生わからんだろうが」

「わけの……わからないことを……!」

 古山は眉根を寄せ、憤怒の形相で俺を見据えた。そのまま片手を掲げ、無数のガラス片を《使役》する。

 そこから先は一瞬の出来事だった。目にも止まらぬスピードで、それこそ無限にある破片たちがいっせいに襲いかかってくる。

 だが。

「効かねえよ……」

 俺はぼそりと呟いた。

 たかだかMA9999ごときで、防御力が無限大数の俺を屈せるわけがない。

 俺はゆっくりと右手を突き出し。
 すべての魔力を込め。
 全力でもって、闇の可視放射を放った。

 最初に俺が使用した魔法。
 初めて異能者を倒したときも、俺は可視放射を使った。

 だが、あのときとは威力もスピードも違う。

 攻撃力∞の闇の光線は、瞬時にして古山の身体を呑み込み。

 そして、その命を、実にあっけなく喰らい尽くした。

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