二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~

魔法少女どま子

相変わらずのチートっぷり

 俺は表情を引き締めると、両腕を左右に突きだした。

 轟然たる魔力が俺の全身から迸る。虹色の細い光線が、俺の周囲にふわりと現れる。

 スキル《光の魔法陣》。

 その恐るべき攻撃力と攻撃範囲により、前回使用したときはリベリオンのタワー頭頂部すら破壊してしまったチート技。

 相手は光魔法の使い手だし、手加減すれば即死にはなるまい。自分がやったことの愚かしさを、死なない程度に思い知らせてみせる。

 ごう、と。
 俺のいる場所を起点として、星の紋様が広がっていく。

 それだけで何かを察したらしい育美が、仲間を連れて範囲外に転移する。取り残されたテロリストだけが、頭にクエスチョンマークを浮かべて立ち尽くす。

 やがて、ゴゴゴゴゴ……という轟音が響いてくるにつれ、さすがに危険だと判断したらしい。俺のカンストステータスも相俟って、テロリストたちがわあわあと逃げ出していく。

 だが、魔法陣の攻撃範囲は広い。それこそ《転移》でもしなければ、すぐには脱出することはできない。

 逃がさない。
 自分たちの暴虐がいかに民を苦しませ、恐怖させたか。それを知らずに自分だけ逃げるなんて都合のいいことはさせない。

 その後は一瞬の出来事だった。

 星の紋様から、虹色の閃光が天に向けて発せられ。
 逃げまどうテロリストたちを、容赦なく飲み込んだ。

 数秒後、視界が元に戻ったときには、範囲内にいたすべてのテロリストが地面に伏していた。みなHPを一桁にまで低下させている。

「ぐっ……馬鹿な、古山さん以外にこんな使い手がいたとは……!」

 そんなぼやき声が聞こえた。

 全員、立ち上がることはできないようだった。
 みな身体の一部から血液をぽたぽたと垂らし、懸命に起きあがろうとしているようだが、こらえきれなくなったように気を失った。

「あ、相変わらず恐ろしい力ね……」

《転移》して戻ってきたらしい彩坂が唖然と告げた。リベリオンのメンバーも戻ってきたようだ。

 この周辺の敵は一通り滅したらしい。
 さっきまでの喧噪はどこへやら、一気に静寂が降りてくる。燃えさかる火炎の音だけがごうごうと響いている。

「あ……あの、お兄ちゃん」

 ふいに足をつつかれた。
 目を向けると、さきほど助けた親子の娘が、満面の笑みを浮かべていた。

「ありがと……助けてくれて!」

 俺は軽く笑みを浮かべると、女の子の手にぽんと頭を置いた。

「たいしたことはしてないさ。でもまだ危ないから、安心はするなよ」

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