二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~

魔法少女どま子

ここまでチートだと気軽に使えません

 俺は残った剣を構えながら、必死に戦略を練った。

 再び《闇の双剣》を発動してもいいのだが、あのトランプに一瞬で砕かれることがわかった以上、ただMPをなくすだけだろう。この戦いでは無駄なことは一切できない。

 同じく《闇の衣》もMP消費の点であまり使いたくない。あれは油断するとすぐにMPを切らしてしまうスキルだ。

 となれば、残された点はひとつ。

 俺は決意を胸に秘めながら、ニヤニヤ笑いを浮かべる古山と対峙する。

「なんだ、まだ他のスキルを隠し持ってるのかい?」

「……まあ、な」

 佐久間との戦いで入手した、スキル《光の魔法陣》。
 これについてはまだ使用したことがないため、どんな効果なのか判然としない。スキルの名前からして、気軽に使うと相手が危ないと思ったからだ。特にこの《闇世界》においては。

 しかしながら、古山章三においてはそんな手加減は一切できまい。

「いくぞ」

 俺は無意識のうちに両腕を天に掲げていた。

 瞬間、俺の手が金色の輝きに包まれる。

「へえ」

 と古山が感嘆の声を発した。

「光魔法か。なるほど、異世界から身につけてきた魔法だね」

 古山も指と指の間にトランプを挟み込むと、やや警戒したように防御の体勢を取る。
 ここで隙を見せないところはさすがといったところか。

 俺は覚悟を決めてスキルを作動した。

 瞬間。
 巨大な星の紋様が、俺の立つ地点を中心として、突如床に浮かび上がった。

 それは虹色の光彩を放ち、部屋全体を眩く照らし出す。

 そこで古山は初めて動揺の表情を浮かべた。まさかここまで攻撃範囲が広いとは思ってもいなかったのだろう。彼がカードをこちらに投げ出す動作が視界の端に映る。

 直後。
 その魔法陣から、虹色の光が浮き出てーー

「やべっ」
 思わず声に出していた。

 ちょっと待て。これ、もしかして部屋そのものをぶっ壊しかねないんじゃ……

 ふいに肩を捕まれる感触があった。振り向くと、同じくなにかを察したらしい彩坂が、切羽詰まった表情で叫んだ。

「いくよ! 《転移》!」

 虹色の光魔法が発生するよりも早く、俺の視界がブラックアウトする。数秒後に視界が戻ったときには、俺はタワーの前に立っていた。

「あ、危なかった……」

 俺の隣で、彩坂がひどく息をきらしながら言う。

 次の瞬間、ガッシャアアアンというすさまじい轟音が響いてきて、思わず俺は身を竦ませた。

 天を見上げると、タワーの頂上部分が虹色の光に飲み込まれ、瓦解しているところだった。

 転移した際、彩坂がタワーから離れた位置にワープしたのは非常に懸命な判断だった。

 なぜならば、タワーの頂上部分が、煙を発しながら地面に落下してきたからである。

「うっひゃ……」

 自分でやっておきながら、さすがにこの威力は予想外だった。下手に使用してしまえば、きっとリベリオンの構成員どころか、無関係な人間まで巻き込みかねない。

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