二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~

魔法少女どま子

ここではやることなすことが大概チート

 ぐるりと敵側のステータスを確認してみる。

 全員がレベル5前後だった。
 数値的にもたいした者はいそうにない。

 ただし、佐久間祐司のように、ステータスの低さと引き替えに異能を持っている可能性は否定できない。つまり、一秒たりとも油断はできない。

 俺は高城に小声で言った。

「……異空間を『創造』してくれないか」

 それだけで何のことか察したのだろう。
 高城は小さく頷くと、素早く右腕を天に突き上げた。金色に輝く光の粒子が、きらきらという音を響かせながら、高城の拳に収束されていく。

 敵グループは警戒したように各自身構えた。

 だが、この魔法は彼らへの攻撃が目的ではない。

 収束された光が、一際強く脈打った。眩いばかりのその輝きに、俺も思わず目を細めてしまう。

 そして目を開けたときには、そこはもう見慣れた通学路ではなかった。

 周囲は濃密な霧に包まれており、遠くを見通すことはできない。さきほどまで確かに存在していた通行人、住宅……すべてのものが、ここにはない。つまり、まったくの無空間。

「……な、なんだこれは!」
「あいつの手、光ってたぞ!」
「変な魔法だ!」

 リベリオンの構成員が口々に騒ぎ立てる。

 それも無理からぬことだ。ここは俺にとっての異世界であり、すなわち「闇」の世界。そこに住む彼らは、光魔法など見たことがないだろう。

 そう、これが、かつて佐久間祐司が俺の前でやってみせた、『異次元空間の創造』だ。

 警察署での戦いにおいて、俺たちは甚大なる物的損害を発生させてしまった。特に署長室の修理はかなり大変だろう。魔法をぶっ放すというのは、それだけまわりに与える被害も大きい。

 俺もすこしは反省した。

 魔法を使う前に異次元空間を創造する。
 そうすれば、周囲の人々や、建物などを巻き込まずに済む。

 未知の魔法を見て、彼らの戦意は急激に低下したようだ。それでなくても、奴らよりはるかにレベルの高い俺もいる。

 どよめきを発する構成員に向けて、俺は決然と言い放った。 

「逃げるのなら別に構いやしない。……いや、むしろそうしてほしい」

「……な、なんだと!」

 構成員のひとりが声を張り上げる。

「おまえ、俺たちを舐めてるんじゃあるまいな!」

「ちげーよ。無駄に戦ってHPを減らしたくないだけだ」

 その発言に構成員たちは互いの顔を見やった。死にたくないのは彼らも一緒だろう。 

 だがその数秒後、リーダー格と思われる生徒が苛立ったように声を張る。

「馬鹿かおまえたちは! 昨日古山さんに言われたばかりだろう! くそったれなリア充どもに復讐したくはないのか!」

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