二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~
俺氏、最強の闇魔法使いだと判明する
俺は佐久間に連れられ、二人で校舎を出た。本拠地に案内してくれるらしい。
見慣れた学校の敷地内を、佐久間はすたすたと歩いていく。わけもわからないまま後ろを歩く俺をあまり気にかけないところが、なんともまあスクールカースト底辺らしいというかなんというか……
「おいどこに行くんだ。駐輪場はそこじゃないだろ」
さすがに耐えられなくなって声をかけた。
佐久間は駐輪場とはまるで反対側、体育館の裏へと歩いていく。テスト期間中のためか、運動部のかけ声はまったく聞こえない。雑草の生い茂る狭い通路を、なにが嬉しくて進み続けなければならないのか。
「いや、ここでいいんだよ」
「……は?」
思わず嫌そうな声を出してしまう。ここが本拠地だとは、ずいぶん質素なものだ。
そんな俺の反応が面白かったのか、佐久間はにやっと笑ってみせると、右腕を掲げた。
瞬間。
金色にきらめく無数の粒子が、突如佐久間の周囲に発生した。
それらは吸い込まれたかのように佐久間の右手に収束され、薄暗い通路で眩い輝きを放ちはじめる。
ーーなんだ?
俺が目を見開く間もなく、佐久間の前方に、光の靄のようなものが出現した。
「異次元空間を開いた。これをくぐり抜けるだけで本拠地に到着する」
「……なるほどな」
わざわざ体育館の裏まで来たのは、単に人気のないところで魔法を使いたかったからだろう。
「しかしおまえの魔法、ずいぶんと光るんだな。俺とはだいぶ違う」
「……ん?」
佐久間はぴくりと眉を動かし、靄に飛び込もうとした足を止めた。きょとんとした顔で俺に訊ねる。
「だいぶ違うって……吉岡の魔法もこうじゃないのか? 普通、魔法を使うときには前兆の輝きがあるはずだが」
「か、輝き……?」
たしかに輝きはするが、俺の場合は蒼くて暗い光が灯るだけだ。佐久間と同じような、目に悪い光り方はしない。
それを告げると、佐久間の目がさらに大きく見開かれた。
「おまえ、まさか闇魔法の使い手か?」
「や、闇魔法……?」
「俺も詳しくは知らないが……たしか、人体を支配し、使役ができると聞いたことがある」
「なんだ、みんなそういう魔法が使えるんじゃなかったのか」
ぼけっとしながら問いかける俺に、佐久間はしばらく呆然とした顔で立ち尽くしていた。
「……普通はみんな光魔法しか使えない。リーダーを除いてはな」
光魔法。また知らない単語が出てきた。
佐久間の顔つきから察するに、闇魔法の使い手というのは、それだけでかなり異質らしい。いわゆるチートってやつか。
たしかにそうかもしれないな、と俺は思った。人体の使役なんて、いかにも使い勝手が良すぎるからだ。
「吉岡。自分のステータスを見たことはあるか」
「いや、まだ……」
というか自分のステータスの見方をそもそも知らない。
「なら教えてやろう。よく覚えておいてほしい」
そうして佐久間から伝えられたステータスは以下の通りだった。
吉岡勇樹 レベル2
HP 70/70 MP 120/120
MA 2100 MD 550
失礼ながら、俺は思わず佐久間のステータスと見比べてしまった。
ーー高い。
まだレベル2にも関わらず、すべての数値が佐久間を上回っている。
かつて彩坂育美は言っていた。俺は最強の魔法使いだと。それは誇張でもなんでもなく、明確な事実だった。
念のために佐久間に確認してみると、MAとはmagic attackーー魔法攻撃力のことで、当人の魔力の強さを意味するらしい。そしてMDはやはりmagic defenseーー魔法防御の略称らしかった。
ということはつまり、外れステータスは存在せず、両方とも高いほうが強いという、単純明快な構造になっているわけだ。
佐久間はやや興奮気味に言った。
「そのステータスに加えて闇魔法まで使えるなんてね。これはいい。きみは最高の人材だ」
見慣れた学校の敷地内を、佐久間はすたすたと歩いていく。わけもわからないまま後ろを歩く俺をあまり気にかけないところが、なんともまあスクールカースト底辺らしいというかなんというか……
「おいどこに行くんだ。駐輪場はそこじゃないだろ」
さすがに耐えられなくなって声をかけた。
佐久間は駐輪場とはまるで反対側、体育館の裏へと歩いていく。テスト期間中のためか、運動部のかけ声はまったく聞こえない。雑草の生い茂る狭い通路を、なにが嬉しくて進み続けなければならないのか。
「いや、ここでいいんだよ」
「……は?」
思わず嫌そうな声を出してしまう。ここが本拠地だとは、ずいぶん質素なものだ。
そんな俺の反応が面白かったのか、佐久間はにやっと笑ってみせると、右腕を掲げた。
瞬間。
金色にきらめく無数の粒子が、突如佐久間の周囲に発生した。
それらは吸い込まれたかのように佐久間の右手に収束され、薄暗い通路で眩い輝きを放ちはじめる。
ーーなんだ?
俺が目を見開く間もなく、佐久間の前方に、光の靄のようなものが出現した。
「異次元空間を開いた。これをくぐり抜けるだけで本拠地に到着する」
「……なるほどな」
わざわざ体育館の裏まで来たのは、単に人気のないところで魔法を使いたかったからだろう。
「しかしおまえの魔法、ずいぶんと光るんだな。俺とはだいぶ違う」
「……ん?」
佐久間はぴくりと眉を動かし、靄に飛び込もうとした足を止めた。きょとんとした顔で俺に訊ねる。
「だいぶ違うって……吉岡の魔法もこうじゃないのか? 普通、魔法を使うときには前兆の輝きがあるはずだが」
「か、輝き……?」
たしかに輝きはするが、俺の場合は蒼くて暗い光が灯るだけだ。佐久間と同じような、目に悪い光り方はしない。
それを告げると、佐久間の目がさらに大きく見開かれた。
「おまえ、まさか闇魔法の使い手か?」
「や、闇魔法……?」
「俺も詳しくは知らないが……たしか、人体を支配し、使役ができると聞いたことがある」
「なんだ、みんなそういう魔法が使えるんじゃなかったのか」
ぼけっとしながら問いかける俺に、佐久間はしばらく呆然とした顔で立ち尽くしていた。
「……普通はみんな光魔法しか使えない。リーダーを除いてはな」
光魔法。また知らない単語が出てきた。
佐久間の顔つきから察するに、闇魔法の使い手というのは、それだけでかなり異質らしい。いわゆるチートってやつか。
たしかにそうかもしれないな、と俺は思った。人体の使役なんて、いかにも使い勝手が良すぎるからだ。
「吉岡。自分のステータスを見たことはあるか」
「いや、まだ……」
というか自分のステータスの見方をそもそも知らない。
「なら教えてやろう。よく覚えておいてほしい」
そうして佐久間から伝えられたステータスは以下の通りだった。
吉岡勇樹 レベル2
HP 70/70 MP 120/120
MA 2100 MD 550
失礼ながら、俺は思わず佐久間のステータスと見比べてしまった。
ーー高い。
まだレベル2にも関わらず、すべての数値が佐久間を上回っている。
かつて彩坂育美は言っていた。俺は最強の魔法使いだと。それは誇張でもなんでもなく、明確な事実だった。
念のために佐久間に確認してみると、MAとはmagic attackーー魔法攻撃力のことで、当人の魔力の強さを意味するらしい。そしてMDはやはりmagic defenseーー魔法防御の略称らしかった。
ということはつまり、外れステータスは存在せず、両方とも高いほうが強いという、単純明快な構造になっているわけだ。
佐久間はやや興奮気味に言った。
「そのステータスに加えて闇魔法まで使えるなんてね。これはいい。きみは最高の人材だ」
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