二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~
異世界に行ったら顔が変わってました
目を覚ます直前の記憶を辿ってみる。
わけのわからない場所に迷い込んでいた。わけのわからない連中をぶっ殺していた。そして、わけのわからないままに少女と話していた。
そのときの少女の言葉に引っかかるものがあった。
ーーこれからあなたを異世界に招待しますーー
数秒の黙考ののち、俺はあっと声をあげた。
つまり、いま俺のいるこの世界こそが、少女の言う「異世界」なのではなかろうか? もちろんなんの確証もないが、そうでなければ、死んだはずの母親が生きている理由が思いつかない。
異世界。パラレルワールド。
巷で有名な異世界転移ってやつを、まさか俺が果たしてしまったのか。
であれば、現実世界とは色々と違う点があるかもしれない。
なぜ俺が異世界転移なぞしなければならなかったのかーー理由は不明である、少女はいつかわかると言っていた。
いまはその言葉を信じる以外にない。
そこまで考えて、俺は思わず乾いた笑みを浮かべた。
元の世界へ戻ろうとせず、異世界転移したことにワクワクしている自分がいる。
その未練のなさに苦笑を禁じ得なかった。元の世界では、俺はずっと否定され続けていた。俺を認めてくれる人なんて、父親以外にいなかった。だから嫌気が差していたのかもしれない。苦しみながら生きていくことに。
さて、こちらの世界ではどうやって生きていくか……
あくびを噛みしめながら、枕の脇にあったスマートフォンを手に取る。ちなみにスマホそのものは、前世界で俺が使っていたものとまったく同機種であった。
ーーのだが。
「なんだこりゃ」
思わず驚嘆の声をあげてしまう。
ラインの着信数が見たこともない数になっていた。それも公式アカウントやスパムじゃない。多くの友人から大量のメッセージが届いている。
それだけじゃない。
「女子、多くね?」
またしても呟いてしまう。
メッセージの送り主のなかには、女性と思わしきアカウントが多数存在するのだ。アイコンをプリクラ、もしくは自撮りにしており、しかもみんな、なかなかに美人だ。俺も元世界ではラインくらいやっていたが、自画像をアイコンにするなんて考えもしなかったし、そもそも友達数が一桁だった。しかしこの世界の吉岡勇樹には、三桁もの友人アカウントが存在している。
これって、もしかしてリア充ってやつではーー?
ある種の予感がひらめき、俺は駆け足で自室を出た。一階に降りて洗面台に駆けより、鏡で自分の姿をチェックする。
「マジかよ……」
驚愕のあまり数歩引いてしまった。
イケメンだ。そりゃあもう、イケメンが目の前に立っていたのである。
わずかに茶色がかった髪に、白く透き通った素肌。前世界では一重だったが、いま鏡に映っている俺の瞳は二重。しかも凛とした輝きをたたえており、自分の顔ながら思わず見取れてしまう。鼻筋もしっかりと高く、前の俺とは似ても似つかない。
イケメンだ。なんか少女漫画にでも出てきそうなくらいにかっこいい。
「マジかよ……」
自分のほっぺたをつねってみると、鏡面に映っている男も同じ仕草をする。やはりこの男は俺で間違いないのだが、しかし。
「マジかよ……」
信じられず、今度は反対側の頬をつねってみる。やはり結果は同じだった。
「……あんた、マジかよマジかよって何してんの」
母に見られていた。
わけのわからない場所に迷い込んでいた。わけのわからない連中をぶっ殺していた。そして、わけのわからないままに少女と話していた。
そのときの少女の言葉に引っかかるものがあった。
ーーこれからあなたを異世界に招待しますーー
数秒の黙考ののち、俺はあっと声をあげた。
つまり、いま俺のいるこの世界こそが、少女の言う「異世界」なのではなかろうか? もちろんなんの確証もないが、そうでなければ、死んだはずの母親が生きている理由が思いつかない。
異世界。パラレルワールド。
巷で有名な異世界転移ってやつを、まさか俺が果たしてしまったのか。
であれば、現実世界とは色々と違う点があるかもしれない。
なぜ俺が異世界転移なぞしなければならなかったのかーー理由は不明である、少女はいつかわかると言っていた。
いまはその言葉を信じる以外にない。
そこまで考えて、俺は思わず乾いた笑みを浮かべた。
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その未練のなさに苦笑を禁じ得なかった。元の世界では、俺はずっと否定され続けていた。俺を認めてくれる人なんて、父親以外にいなかった。だから嫌気が差していたのかもしれない。苦しみながら生きていくことに。
さて、こちらの世界ではどうやって生きていくか……
あくびを噛みしめながら、枕の脇にあったスマートフォンを手に取る。ちなみにスマホそのものは、前世界で俺が使っていたものとまったく同機種であった。
ーーのだが。
「なんだこりゃ」
思わず驚嘆の声をあげてしまう。
ラインの着信数が見たこともない数になっていた。それも公式アカウントやスパムじゃない。多くの友人から大量のメッセージが届いている。
それだけじゃない。
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またしても呟いてしまう。
メッセージの送り主のなかには、女性と思わしきアカウントが多数存在するのだ。アイコンをプリクラ、もしくは自撮りにしており、しかもみんな、なかなかに美人だ。俺も元世界ではラインくらいやっていたが、自画像をアイコンにするなんて考えもしなかったし、そもそも友達数が一桁だった。しかしこの世界の吉岡勇樹には、三桁もの友人アカウントが存在している。
これって、もしかしてリア充ってやつではーー?
ある種の予感がひらめき、俺は駆け足で自室を出た。一階に降りて洗面台に駆けより、鏡で自分の姿をチェックする。
「マジかよ……」
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イケメンだ。そりゃあもう、イケメンが目の前に立っていたのである。
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自分のほっぺたをつねってみると、鏡面に映っている男も同じ仕草をする。やはりこの男は俺で間違いないのだが、しかし。
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