ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件【三部作】
19-162.魔法が駄目でも剣は関係ない筈だ
「ヒロさん……」
エルテだけでなく、ソラリスとリムもヒロを見つめていた。彼女達の言いたいことは分かっているとばかりヒロは説明した。
「あの炎のマナ吸引力と範囲を確認したんだ。手が届く距離で、俺の魔法の盾は壊れ始め、エルテの青い珠は変形した。つまり、それくらい近づくと、一気にマナが吸い取られるんじゃないかと思う。エルテに青い珠で掛けて貰ったのは、あの炎から逆にマナを吸い取れないか試してみたんだ。永久の火からマナを奪い取ることができれば、魔法発動も楽になると思ったんだがな……」
「それで、マナを吸い取る綱引きをさせたのですね、ヒロ様」
「でもエルテの青玉は消えちまったぜ」
「そう。永久の火がマナを吸い取る力は予想以上に強いみたいだ。永久の火の傍では青い珠は使えないだろうし、通常魔法も影響を受けてまともに発動できないと思う。エルテが言った通りだ」
ヒロの言葉にソラリスが腰に指した剣の柄をポンと叩く。ヒロはその意図を直ぐに察した。
「うん。魔法が駄目でも剣は関係ない筈だ。青い炎に近づかないように進もう」
ヒロはホールの奥に目をやった。奥の壁に先へと進む通路が見える。
「あそこからだな」
ヒロの問いかけにソラリスが頷く。
「行こう」
ヒロの言葉に、一行は奥に進んだ。
◇◇◇
目的は第三階層。地図に記されているのはそこまでだ。地図には、第三階層最深部に何かを示す印がある。まずはその正体を確認することだ。
地図に従って迷宮を進む。通路の所々に、半分壁に埋まった皿が設けられていて、例のマナを吸い取るという青白い炎がゆらりと輝いている。
角に来る度に、ソラリスがアリアドネの種を落としていく。曲がる前と曲がった後に一つずつ。種は緑の蛍光色を発して居所をアピールしていく。
ヒロ達はソラリスの先導で迷宮深くを進む。いくつ角を曲がっただろうか。体感では結構歩き回った気がするが、よく分からない。同じような景色が続くからか、時間感覚が麻痺してくる。
やがて一行は、二つ目のホールのような空間に出た。
「ソラリス。ここで小休止しよう」
「ん。そうだね」
ヒロ達は、ホールの中央で煌々と光る燭台の炎を避け、壁際に腰を降ろした。
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