ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件【三部作】
16-143.お宝が見つかるといいな
「ヒロさん、私の魔法バリアは、他の魔法使いの人が使うようなものではありませんわ。周囲に風を纏わりつかせているだけ。攻撃魔法は、その風を変化させて使っていますの。極一部の特殊魔法を除けば、バリアを貫通して攻撃している訳ではないのです。普通の攻撃魔法を使おうと思えば、当然バリアを解除しなくてはいけませんわ」
エルテの風魔法は攻防一体のものだった。風のスクリーンで身を守ると同時に、それを変化させて攻撃に転ずることもできる。スティール・メイデンの襲撃を受けた時、ロッケンの魔法弾を悉く打ち落とした魔法も、防御バリアを担っていた風のスクリーンを変化させたものだ。戦闘時にこれほど頼りになる魔法はない。それだけに、その威力が保証できないというのは残念という他なかった。
「ヒロ、なに湿ったこといってんだ。バリアは背後にだけありゃいいのさ。正面と横は、隊列を組んでカバーすればいいだけだ。そんな事いったら、魔法使いが居ねぇパーティは冒険なんざ一切出来なくなる。どうせ、見えない真後ろなんざぁ攻撃したって当たりっこねぇよ」
ソラリスがからからと笑う。さすがはベテラン冒険者だ。ヒロの心配など問題にしない。ソラリスはかつて剣士だった頃、ロンボクのパーティに入っていたと言っていた。きっとパーティの戦闘方法も熟知しているのだろう。ヒロの気持ちは固まった。
「分かった。エルテ、君の申し出を受けさせて貰う。だがちょっと準備する時間が欲しい。三日後にエマの街で防具を調達する。そこで落ち合うことでいいかい」
ヒロは少し時間を呉れるようエルテに申し出た。三日後というのは、エマの道具屋、カダッタの所で注文したミスリルの鎖帷子が出来上がる日だ。いくら、ソラリスや黒衣の不可触であるエルテが同行するとはいえ、フォーの迷宮は未攻略迷宮なのだ。何が起こるか分からない。ヒロは当然、鎖帷子を装備して、フォーの迷宮に行くべきだと考えた。
「ありがとうございます。それで十分ですわ。宜しくお願いいたします」
エルテは深々と頭を下げた。
「では、契約成立ですね。報酬は……」
シャロームが手を差し伸べる。
「もしも、レーベの秘宝が見つかったら……無論、レーベの秘宝を売却する訳にはいきませんが、相応の額をお支払いします。私は他のお宝もあると踏んでいるんですがね。そちらは売却できるだろうと見ています。無くても迷宮探索の相場くらいはお約束しますよ」
「オーケーだ。お宝が見つかるといいな」
ヒロはシャロームの手をがっちりと握った。
 
「現代アクション」の人気作品
書籍化作品
-
-
23252
-
-
2813
-
-
2
-
-
29
-
-
1512
-
-
59
-
-
58
-
-
4
-
-
4503
コメント