転生先は現人神の女神様

リアフィス

67 祈らず直接言えばいい

騎士達用の寮は作ったし、学園についても順調。
吸血鬼一行が予想以上に優秀で、楽できている。
しかし、当然色々とお仕事はある訳で……。
ぞろぞろと色々な種族がやってくるわけだ。当然左右から。東はしょっちゅう小競り合いしてるもんだから、それから逃れる為に。西は差別から逃れるために。
そうなると住む所は別に問題ないのだが、仕事だよ仕事。農業やりたきゃ南行って来い! それ以外はうちでもいいな。
特に冒険者はダンジョンに潜ればいいし、ランクがそこそこなら治安維持の仕事をしてもいい。それと同時に冒険者ギルド職員も数が必要になる。
更に冒険者達を対象とした店の店員やら、学園の雑用係的な仕事もあるな。
なんだかんだあるか。
農家だけは南に行ってくれ。うちにはない。下手な貴族よりおいしい野菜作る農家の方が立場上だからな、ファーサイスは。一回農家に囲んでボコられてるバカ息子を見たわ。当然見なかったことにしたが。
貴族には貴族の繋がりがあるように、農家には農家の繋がりがある訳で。


「陛下、現状で1番多いのは冒険者達からの『娼館欲しい』です。それと、奴隷商を作らせて欲しいというのも来ていますね」
「ふぅん……。奴隷商は我が国には不要だな。この国での重犯罪奴隷はわらわが生涯使い倒す予定だからな」
「では奴隷商は拒否で。娼館はいかがいたしますか?」
「うむ。娼館ねぇ……作るにしてもギルド地区の端っこだなぁ。ファーサイスにはなかったっけか」
「はい、あそこにはありませんね。過去にあったようですが、色々問題があり現在はありません」
「まあ、治安と……裏……か」
「はい」
「国の者もこの会話は聞いているだろうし……そうだなぁ……。約束が守れるなら作ってもいいか」
「約束ですか?」
「利用者と娼館側にな。まずギルド地区の東端にでも娼館の裏通りでも作ろう。そこは結界を張り、未成年は中を見ることができない。当然通る事もできなくする」
「隔離するんですね」
「未成年だけな。ルールは簡単だ。結界の外に出るときには身なりを整えてから出てくる事。逆に極端に言えば結界内なら素っ裸でも構わん。娼婦も出てくる時にはちゃんとした格好をする事。それらを守れる者だけ利用を許可しよう」
「切り替えができるなら構わないと……」
「うむ。金銭が発生してる分需要はあるわけだから否定はしない。ただ、当然未成年の子供達もいるため、結界による隔離はさせてもらう。そして結界外だろうが結界内だろうが我が国には変わりない為、悪巧みしよう物なら捕まえるからそのつもりで。他はどうか知らんが、我が国で裏の存在は許さないからな」
「では、その条件を飲める所のみ受け入れという事で」
「うむ。ルールが守れない者は結界に弾かれると思え。後で通りを作っておこう。ああ、後娼館はシャワーの設置を義務付けよう」
「分かりました。シャワー必須ですね」
「うむ。後は?」
「後は―――」

国の運営は……忙しい。
『国民は知る権利がある』という事で、執務室での会話は基本的に神都へ垂れ流しである。誰でも聞ける。
それはつまり……『しょうかんってなにー?』という子供の質問が親にされ、あたふたする事件があったようだ。頑張れ両親。



別に私の仕事でも無いのだが、冒険者として少々活動しておこうか。
人類強化計画……ダンジョン中盤辺りの素材をギルドに卸すとしよう。中盤まで行ける者は少ないからな。終盤はドラゴンとかなので論外だ。分身体で十分だな。

生成された15歳分身体(冒険者用)はギルド本部へと向かう。
服の星晶シリーズ……は本体が着ているので、白黒紫の3色を使用したゴシックドレスを魔力生成する。
武器は月杖・エーレンベルクは本体に持たせておいて、蛇腹剣・ウロボロスを本体から受け取り、腰に装備している。
冒険者嘗めてんのかー! って格好だが《物理無効》だし……。

分身体は保有エネルギーが無くなると消滅するから、着ている服とか装備は全部その場に落ちてしまう。そう考えると装備は無い方が良い。これもまた分身体が戦闘には向かないと言われる理由でもある。
そもそも戦闘できるほど動かせないというのもあるが。
《多重存在》であるルナフェリアの場合は、一般的に言われる『分身体』とは別物である。


「お、陛下いいところに来た」
「何か問題?」
「まあ、問題っちゃ問題だ」
「ほう?」
「自業自得ではあるのだが、戻ってこないものが多い」
「ふむ……。まあ、ダンジョンだからな」
「そいつらは大体新人で、うちに来てから一月ぐらいの者が多い」
「ああ、うん。それだけで大体分かる」

『稼げる』と『倒せる』を混同して勘違いした奴らだろうな。後、来てから一月で慣れて調子に乗ったんだろう。

本来冒険者は魔物を『倒して』それを売り『稼ぐ』のが基本と言うか、それこそが冒険者って感じだ。正確には護衛やらペット探しやらの仕事もあるが。
だがこの創造のダンジョンは少々特殊。
『稼ぐ』だけなら最初の方の香辛料と鉱石で稼げるのだ。このぐらいの階層ならウルフやゴブリンレベルしか出ない。
鉱石はともかく、香辛料はルナフェリア……つまり女帝が直々に指示し、国も関わっているため安定した値段で買い取って貰える。稼げるのだ。
これで冒険者としての常識……『倒して稼ぐ』と勘違いして階層を進むとそこで死ぬわけだ。

「まあ、陛下にどうこうって訳じゃなく愚痴のようなもんだがな。これは俺らギルド職員の仕事だし」
「まあ、案ぐらいはあるが」
「お、なんだ?」
「あの受付でダンジョン品買い取っているだろう? どれがいくらだったかちゃんと教えてやるのはどうだ? そうすれば勘違いはしないだろう」
「ふむ……。最低でも割合は教えるべきか、会議で話してみるとしよう」

創造のダンジョンは1層から10層の間で香辛料と鉱石が採れる非常に素晴らしいダンジョンだ。
ただし、他のダンジョンより全体的に敵の湧きが多い。その代わりトラップを警戒する必要がない。
下の階層で採取して稼ぐか、上で魔物を倒して稼ぐか……と言いたいところだが、正直上の階層は人類お断り状態である。その為中層で採取しつつ、魔物素材も持ち帰るのが理想である。
とは言え、正直持ち帰るのが困難なのだが。《時空魔法》は制御難易度が高く、"インベントリ"や"ストレージ"の容量は魔力依存だ。あんな竜でもなんでもぽんぽんしまえるルナフェリアがおかしいのである。

「という訳で、実はあまり活かせてない」
「……そればっかりはねぇ」

いや、できなくもないんだ。カバンに宝石付けて"エンチャント"してあげればいいだけである。ただ、そのマジックバッグがどれだけの価値があるかは言わずもがなだろう。
冒険者、商人、職人……欲しい者達は多いだろう。当然軍事利用も可能。
色々渋る理由はあるが1番は……。

「現状作れるのはわらわだけだろうな。面倒だ。まあ、"インベントリ"と"ストレージ"を組んだマジックバッグを生産ギルドに持ち込んでおこう。すぐに真似するやつが出るだろ。出回るまで待ってな」
「おう、助かる!」
「ただ、結構な値段すると思うぞ?」
「そればっかりはしょうがないな」
「では、それに関しては本体の方でやっておく」
「よろしく頼む。……と言うか、分身体か」
「冒険者用分身体。中層辺りにでも行って、素材を持ち帰ろうかとね」
「ほう、そりゃありがたい」
「S、A、Bは数が少ないしな。……冒険者らしいこともしたいことだし」
「行けるのが少ない挙句に敵もでかかったりでほとんど持ち帰れんからな……。陛下がたまに行ってくれるだけでも、丸々持ち帰ってくれるから皆歓喜してるぞ?」
「持てないと優先度低い所から捨てられるか」
「その優先度が基本『高く売れるか』だからなぁ。生産ギルドや商業ギルドからしたらやっぱ満遍なく欲しいわけよ。うちはどこだろうと卸すだけで稼げるから良いと言えばいいんだがな」
「マジックバッグが出回るまでの辛抱だな。じゃあ行ってくる」
「おう!」



その頃本体はマジックバッグを生産ギルドに持ち込み、特許として登録。
"インベントリ"か"ストレージ"を宝石に込め、"空間拡張ディメンションエクステンション"も宝石に込め、2つをリンクさせカバンに付ける。
これで容量は"空間拡張ディメンションエクステンション"に依存し、"収納インベントリ"か"無限収納ストレージ"として使用できるマジックバッグが完成する。
容量により大中小と規格を決めておく。粗悪品、詐欺対策だ。細かい決まりは生産ギルドに丸投げし、そのまま神都をぶらつく。

「おや、ここの店は新しいはずだな。見ていくか」

密かに後ろを付いてくるブリュンヒルデと新しく始まった店に入る。
ブリュンヒルデに開けられた扉を抜けると、薬の微妙な臭いと棚に並べられたポーション類に目に入る。

「ふむ、薬局か」
「品揃えも多いですし、よく掃除されていますね。建物のサイズもでかいと言って良いでしょう。立地的に考えても優秀な方のお店かと」
「そのようだな」

店の一角に生産ギルドから発行される調合部門Aランクの証が飾られている。
魔眼でぱっと確認する感じ、どれもしっかりと作られておりダメな物は見つからない。どれも複数用意されている。在庫も十分な様だ。
良く見本として1個だけ本物を置き、それは見本だからと裏から粗悪品を売るという手口もあるらしい。まあ、簡単に思いつく手ではあるな。
この店は裏の在庫も店頭に置かれている薬も、全部ちゃんとした物のようだ。それが当然なのだが。それに、調合部門Aランクならそんな事する必要もなく稼げる。

「おや、いらっしゃいま……へ、陛下!?」
「うむ、覚えがなかったので見させて貰っているぞ」
「陛下は新しいお店を全部チェックしているので」
「そうだ、だからあまり気にするな。ちゃんとしっかり作られているようだしな。堂々としていればいい。作った物に自信があるのだろう?」
「それは勿論です。素材から道具まで毎回チェックしてから作ります」
「全部安定しているようだからな。大したものだ」
「ありがとうございます」

ただ、ちらっと気になる物が数点ある。対応はしといた方がいいかもしれんな。

「ところでヒルデ、この薬は一般的な物か?」
「それは……ああ、はい。結構一般的ですね」
「店主、この薬はどのぐらいの頻度で売れる?」
「疲労回復の薬ですか。それはそれなりに売れます。材料費は安めで作成難易度はそれなり、効果は優秀と作成者側からはいい練習です。消費者側からしたら1本は持っておきたい物ですね」
「ふぅむ……。店主、これを売る時注意をすることを義務付ける」
「注意……ですか?」
「あまり飲みまくるのは止めさせろ。この薬一応副作用があるようだからな」
「副作用ですか!?」
「この薬は《神聖魔法》"リラクゼーション"の下位互換だな。ただ、魔法と違って疲れその物は残る。あまり頼りすぎるとぶっ倒れるぞ」
「なる……ほど……」
「覚えがあるようだな。売るなとは言わんからちゃんと休むよう言っておけ」
「分かりました」

"リラクゼーション"は体から疲れを取り除く魔法だ。ただし、難易度は上級に位置する。現状世界で《神聖魔法》の上級レベルを扱える者は少ない。と言うか私の身内ぐらいだろう。この時点で神々の怒りを察するべきなんだがな……。
私達がいない間は聖女とされていたジェシカだけだ。エブリンも中級までだった。

材料は安いが加工が難しめ。訓練としては丁度いいらしいので量を作るだろう。
よって、売値は安めになり普通に買える値段に落ち着くと。《神聖魔法》だと軽く出せない値段になるので、この魔法薬は丁度いいのだろう。

それはそうと、他にも数点指摘しておき店を出る。

「さて、次はどこに……ちっ。遂に面倒なのが来たか」
「面倒なのですか?」
「法国の者だ」
「ああ、遂に教会でも作りに来ましたか」
「許可しないがな。そもそも入国拒否してもいいぐらいだ」
「しかもあの教会ってこちらが費用出すんですよね」
「え、維持費は?」
「当然維持費もですが?」
「ハッ」
「鼻で笑いましたね。分かりますが」


謁見の間で待ち構えることしばらく、アクウェス法国の者がやって来た。物凄い居心地が悪そうにな。
なぜかって? 精霊達に睨まれてるからな。さぞ居心地が悪いことだろう。

横に役職として宰相に位置する吸血鬼の姫であるエステルとブリュンヒルデが横に控え、眷属である騎士達が5人ずつ分かれて並ぶ。
座っているのでシロニャンは頭の上ではなく膝の上だ。
すぐ右側に月杖・エーレンベルクも浮かんでいる。
ジェシカやエブリンは冒険者ギルドに避難。ベアテとエマニュエルは当然興味なし。セラフィーナも関係ないのでここにはいない。
そして契約精霊である8人が周囲にいて睨んでいる。
正直こちら側は全員殺気立っている。エステルとか国落とされてるし。

対する向こう側はやたら豪華な聖職者のローブを着た1人と、それよりは控えめなローブを着た3人の計4人。
その宝石必要か? 聖職者? 冗談きついな。欲塗れじゃないか。少なくとも私の知っている聖職者とイメージする聖職者とはかけ離れているな。

お決まりの挨拶を済ませ、さっさと本題に入る。

「して、何用だ?」
「この国に教会を作る許可を頂きたくまいりました」
「ほう?」
「それで、この国はどうも亜人が多いように思うのですが?」
「そうか? 亜人と言われる者達はそんな多くないと思うが」
「いえいえ、こちらに来るまでの間ほとんど人間を見なかったように思うのです」
「そりゃあそうだ。一種族なんかちらほら見かける程度だ」

おやおや、一纏めにされたのがお気に召さないのかな? 顔が歪んでいるぞおっさん。表情に出る時点でこっちを嘗めてるのが丸わかりだな。
こちらは誰一人表情を変えていな……宰相以外一切動いてないぞ。

「教会の建設を許可して頂ければ様々なサポートをお約束しますが?」
「様々なサポートと言うのを具体的に聞こうか」
「1番大きな事は《神聖魔法》という旧回復魔法を使える者の派遣となります。更にこの国はできて間もない。大国であるアクウェス法国が後ろ盾になりましょう」
「それで、何を求める?」
「そうですね……。この国で採れる果実は美味とお聞きしました。その果実を定期的に頂きたい。それと精霊様にアクウェス法国に来てもらいたいのですが?」
「ふむ、なるほどな。では答えをやろう。…………断る」
「! ……教会の建設や後ろ盾を断ると?」
「いらん。どう考えても不要だ。そもそも貴様は勘違いをしている」
「……勘違い?」
「そうだ。情報収集不足もいいところだ」

女神である私の言うことは聞くが、表向きは女神と言っていないので私に言われても困る。
そしてこの国は精霊達の為に建てたのが始まりだ。精霊達が出ていく訳がない。
更にこの国で採れる果実『女神の雫』だが、売ってるのはあくまで精霊達や妖精達が消費しきれなかった物を私が貰っている極一部だ。法国にやるもんはねぇよ。
碌に情報収集していない時点でなぁ……時間の無駄もいいところだ。

「そもそも我が国は既に周囲4大国に認められている。今更法国の後ろ盾なんぞいらんわ。距離的にも役に立たんしな。そして何より……そうだな、わらわからではなく本人達から聞けばいい。リュミエール、来て欲しいそうだぞ?」
「ご冗談を。あんなところに何しに行けと」
「だそうだぞ」
「ああ、いえ。行ってもいいですね。更地に戻しましょう」
「「「「なっ……!?」」」」
「お前達精霊に嫌われている自覚無かったのか? いや、無いから今の状況なわけか。あったらとっくに止めてるだろうしな。誰だって自国を滅ぼされたくはないだろうし」
「折角お呼びのようですし? 行ってきましょうか」
「シルヴェストルあれ試そ! ルナ様が言ってた合成魔法? 合体魔法?」
「炎と竜巻?」
「それそれ!」

フィアフルストームか……。
右手に"テンペスト"、左手に"プロミネンス"。合わせて"フィアフルストーム"とか言ってたな。実際使うと洒落にならんから言ってただけだ。

「そこに水も混ぜましょうかー」
「「どうなるの?」」
「お前達の規模だと水蒸気爆発かなぁ。更地どころかクレーターだな」
「ま、まままっ待ってくれ!」
「もう何百年も待っているのですが?」
「「「「…………」」」」

冷や汗ダラダラだな。自業自得だが。法国は既に崖っぷちなんだよ。
まあ、どうせ変わらないだろうが。
ハハハハ、この4人が知ったところで国は変わるまい。

「まあ、何はともあれうちには不要だ。信仰の対象がそこらを漂ってるのだから教会も聖堂もいらんよ。祈らず直接言えばいいからな」
「……分かりました。そのように報告します……」

当然この会話は神都に拡散されている。
よし、解散!


神都アクロポリスには神殿が2つ存在する。
1つは中央にあるルナフェリアが住む大神殿。
もう1つは冒険者ギルド本部として使用されている創造神殿。
いずれも法国は無関係だ。

そして、実はそのどちらも祈るためのスペースが存在している。
とは言え精霊信仰である聖堂はない。精霊には直接言えばいいからだ。
民の中には神々を信仰する者もいるだろう。その者達の為に開放されている。

そして、そのどちらにも立像が存在している。
創造神殿にあるのはどちらかと言うとダンジョン用のあれなので、基本的に大神殿を使用する。国のど真ん中にあるのもそうだが、創造神殿は冒険者が多いから。

大神殿の礼拝堂、祈るための部屋に5柱の立像が存在する。超リアルな立像だ。
当然製作者はルナフェリア。そして実際に見たことあるので当然似ている。と言うか一柱は自分だし。
創造神様を中心に、4柱を横に作ってある。素材は大神殿や創造神殿に使われている物質だ。
当然お祈りだけの部屋であり、お金も一切受け取っていない。税も使っていない。劣化もしないし魔法でお掃除も楽々、維持費とかは不要である。
神々の信仰者はここで祈り、精霊信仰者は漂っている精霊に直接礼を言う。

法国は我が国に不要である。
熱心な信仰者には直接《神聖魔法》を与えればいいのだから。



中庭でのんびりしているとシロニャンが動き出した。

「ちゅいちゅい!(遂に倒した!)」
「うん?」

膝からぴょんとジャンプし、空中で光に包まれ、収まった時には白銀の竜の翼と尻尾の生えたちびっこがいた。ふふんと胸を張っている。

「ドラゴニュート……では無いですよね?」

ブリュンヒルデのその言葉が気に入らなかったようで、むすーっとしていた。

「あれは人に竜の血が流れているが、シロニャンのは竜が人の姿を取っているな」
「……つまり竜なんですね」
「しかも神竜だな」
「……ダアト!?」
「うむ」

純正竜の上に古代竜が存在する。
火 赤のゲブラ
水 青のケセド
風 緑のネツァク
土 黄のティファレト
光 白のケテル
闇 黒のビナ
そして、頂点に立つ神竜ダアトだ。

竜種はSSSにぶち込まれているが、ぶっちゃけ人類に測れないだけだ。
SSSのセラフィムに合わせると上位純正竜はSSぐらいだろう。古代竜が同格に位置する。ダアトはその上だな。

シロニャンはむふーとした後、ルナフェリアの膝の上によじ登りスリスリしていた。ルナ家のペットは甘えん坊である。

撫で撫で。

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