2度目の人生を、楽しく生きる

皐月 遊

41話 「特訓開始」

「遅かったね、どうしたの?」

あれから俺とクリスは猛ダッシュで待ち合わせ場所に向かったが、勿論間に合う訳がなかった。

「いや、実はさ…」

俺はセレナ達に先程までソーマとザックの戦いを見ていた事を伝えた。

嘘をつくとあとあと面倒だからな。

「ソーマ…さん? って確か、試験の時にルージュと一緒にいた人だよね? 白髪の…」

「そうそう」

セレナとフィリアは既にソーマに会っていて、クリスも先程ソーマを見た。

って事はアリス以外は全員会ったことがある訳か。

「そのソーマさんって人はどんな方なんですか?」

アリスが俺に聞いてくる。

「んー……性格が悪い奴だな」

「せ、性格が悪いんですか…?」

「あぁ、何かと俺に文句言ってきやがったしなあいつ」

半端野郎だのなんだのと…

「ははは…それで…その方は強いんですか?」

「……強いな、クリスも分かってると思うけど、ソーマとザックは明らかに俺らよりも強い」

俺がそう言うと、アリスを含めた女子3人が驚いた顔をした。

「え、確かルージュってザックって人に対戦挑まれてたよね…?」

「そうなんだよなぁ……どうすればいいんだろ…」

ザックに勝てる自信はない、見た感じザックは直感で動くタイプだ。

頭を使うタイプじゃない為、今までの騙す戦い方は通じない。

…嫌だなぁ…

「…負けたくないなら必死に特訓するしかないわね」

フィリアの言う通りだ。 俺は別に負けたい訳じゃない。

戦うなら勿論勝ちたい。 

「そうだな、特訓するしかないな! せっかく剣魔学園に入ったんだ、強くならなくちゃな」

「ならさ、今から早速特訓しない? さっき3人でこの学園にある施設について話してたんだけど、どうやら決闘場とかあるみたいなの」

学園内に決闘場か…まぁ日本で言う体育館みたいな物なのか?

とにかく決闘場があるのはありがたい。

「セレナな案は勿論ありがたいけど…皆はいいのか? 」

俺の予定に一方的に付き合わせるのは嫌だ、皆が嫌と言うなら勿論止める。

「僕は賛成だよ、君とザックの戦いは見たいしね」

「私も賛成です。 ルージュさんが負けるのは見たくないですし」

「私は別にどっちでも…皆に合わせるわ」

どうやら皆賛成のようだ。

完全に俺の都合なのに、こいつらには感謝しないとな。

「皆賛成みたいだから、早速行こう!」

セレナがそう言い、俺達は歩き出した。

決闘場の場所はアリスが知っているらしく、アリスが案内する事になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「結構遠いんだな」

今俺達がいるのは初等部校舎の裏にある道だ。

周りには建物はなく、オブジェや花などが植えられている。

「ですね、もうすぐのはずなんですが…あ、ありました!」

あれから歩き続けて大分経ったが、ようやく目の前に建物が見えてきた。

目の前にあったのは、いかにも決闘場! と言う雰囲気の建物だった。

外見はコロッセオのように壁に覆われていて、中が見えない。 本当に使えるのか?

「あ、入り口の所に人がいます」

アリスの言う通り、入り口付近に門番の様な人がいた。

その人は俺らを見つけると

「なんだ君達は」

俺は前に出て、門番と話す。

「俺達この決闘場を使いたいんです」

そう言うと、門番は俺の顔をジロジロと見ている。

「見た事ない顔だな。 何年生だ」

「初等部一年です。 今日入学しました」

俺がそう言うと、門番は納得したように頷いた。

「なるほど、新入生か。 いいだろう、決闘場を使うといい、ただし、剣は持ち込み禁止だ。 備え付けの木刀を使ってもらう」

「分かりました」

なるほど、真剣じゃ怪我するかもしれないもんな。

俺達は門番に頭を下げ、中に入った。

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決闘場の中は思った通り広かった。

地面は土で、壁に囲まれており、ギャラリーもある。

「んじゃ、早速はじめるか」

俺は木刀を持ち、軽く準備運動をする。

「特訓って言っても、一体何をするんだい?」

クリスがそう言うと、フィリアが

「とりあえず適当に戦闘すればいいんじゃないかしら」

そう言った。 確かにそれが1番手っ取り早いな。

「じゃあまずは僕から行こうかな」

どうやら1人目はクリスが相手をしてくれるようだ。

クリスは腰から杖を取り出し、構える。

「ルージュ、準備はいいかい?」

「おう、いつでもどうぞ」

「では…石連弾ロック・マシンガン!」

クリスが杖を振り、石連弾が放たれる。

魔術は本来、杖を使わなくても撃てる、なら杖を使うメリットは何か。

それは、単純に威力が上がるのだ。 

例えば杖を使わずに石連弾を撃つとする、杖を使わない場合、
石連弾の消費魔力は1、威力は3だ。

だが杖を使うと消費魔力は1、威力は5になる。

もちろん消費魔力を増やせば威力はいくらでもあげられるが、魔力が少ない人は杖を使うのがいいだろう。

「石連弾か! なら俺も石連弾ロック・マシンガン!」

クリスの石連弾を俺の石連弾で相殺する。

俺は魔力が多いからいくらでも威力をあげられる。 燃費は悪いけどな。

「まだまだ行くぞクリス! 火球ファイアー・ボール‼︎」

「土壁‼︎」

クリスは土壁で火球をガードする。

甘いなクリス、それじゃあ俺の姿は見れないぞ。

「次はこちらの番……だ…?」

クリスが土壁を解き、前を見るとそんな声を出した。

「まだまだ、ずっと俺の番だ!」

俺は右手を上にあげ、俺の頭上には数個の火の玉が出来ている。

「行くぜクリス、隕石雨メテオ・レイン‼︎」

数個の火の玉がクリスに降り注いだ。

もちろん当てる気はない、全部クリスの真横に落とした。

クリスは尻餅をついており、隕石雨が当たってない事を確認すると。

「ははっ……やっぱり強いな君は…」

そう言ってきた。

「では次は私です!」

アリスは、クリスと入れ替わるように俺の前に出てきた。

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