日常日記

ノベルバユーザー173744

今日は今日とて、美術館にえっちらおっちら

今日は病院に行き、途中合流した妹と美術館に行った。
天皇陛下がご覧になられた『紫舟ししゅう』さんの作品展と所蔵品展『侍の美』があったためだ。
刹那とヒナが興味を持ったのは……言わずもがな……である。

まずは紫舟さんの作品展から入る。
ちなみに入場料無料である。

文字が浮いていた。
長方形の箱の中で踊っていた……躍動していた。
感動する。
横からも確認し、ただ書というものは平面だけではないのだなと思う。
法隆寺の百済観音立像も、表では圧倒されるが、横から見ても美しい。
それに似ていると思った。

そして、感動したのは、

『辛いとき、幸せなときのことば』

という題名の書。
写真は当然撮れないので、スマホではなくメモ帳に書き写した。

『辛いとき
痛いとき
苦しいとき
目の前の
状況に負けず
「有り難い」
と手を合わせたい
幸せなとき
上手くいくとき
嬉しいとき
感情に
振りまわされず
「お蔭様です」と
謙虚でいたい
(『辛いとき、幸せなときのことば』紫舟)』

とあった。

私はまだここまで到達できない……まだ未熟だと思った。



そして、先に行った妹が戻ってきたのだが、いつも以上に不審者だった。

「ねねね、ねーちゃん!甲冑〜!」

半ば引っ張っていかれ、途中のブースを抜けていくと、目の前にででーんと甲冑が四つ並んでいた。

「えー太刀見にきたのに〜」
「あっちにあるよ」
「まぁ、いいか」

と見ていると、渡された企画展の紙には、どの甲冑や太刀が入っているのかない!
と、渋々、一つ目が江戸時代の源平合戦図屏風は置いておいて、二つ目から読み始めるが……。

「くはぁぁ!むかつくむかつく!覚えられんが〜!重文もあるのに〜写真も撮れん〜!」

と呻き、二つ目の兜から前に正座をしボールペンで、メモ帳に書き始める。

「えっと〜?黒漆塗投頭巾形兜くろうるしぬりとうずきんなりかぶと前立銀箔押向兎まえだてぎんぱくおしむかいうさぎ伊佐爾波神社いさにわじんじゃ江戸時代」

黒漆塗りの頭巾型の鎧で、前にあるのはウサギの彫り物という意味らしい。
伊佐爾波神社は、道後温泉の南東にある由緒ある神社である。

そして書いていると、美術館で座っていた学芸員さんに、

「申し訳ございません。ここではボールペンでは書き込み不可です。鉛筆をお持ちしますので」

と言われてしまった。

がーん……知らなかったし、また書き直し〜?

と思っていると、

「簡単な目録の下側が空いてますのでこちらにどうぞ」

と渡された。

ラッキー!これで書かなくて済む!

と見ると、どう見てもエクセルで打ち込んだものを印刷しただけで、ふりがなもなく、制作年は書いてあっても、どう行った経緯でそこに奉納寄進されたかが書かれておらず、渋々書いていった。
鎧は誰のものか書かれていて、太刀と短刀はそれぞれ重要文化財になっていた。

それに残念だったのは書き込むのに夢中で、妹だけが甲冑や太刀をじっくり眺めていたところである。

太刀は2振りとも鎌倉時代のもので、一振りが助包すけかね作、山本義純が豊臣秀吉より拝領、その子の義安が松山藩士となり明治14年、西暦1881年に子孫の義弘が神社に奉納、昭和3年重要文化財指定。
もう一振りは、国行くにゆき作、山城国の来派らいはの刀工、来国行らいくにゆきの作である。伊佐爾波神社の社殿を建造し奉納した伊予松山藩三代藩主松平定長が寛文5年、西暦1665年に奉納。昭和3年重要文化財指定。
短刀は、国弘くにひろ作。筑前左文字派の刀工国弘の作で、伊予松山藩松平家が奉納。大正7年、西暦1918年重要文化財指定。

ちなみに、妹が気に入っていたのは、
『金彩獅子枝菊和製南蛮胴具足(きんさいししえだぎくわせいなんばんどうぐそく)』
豊臣秀吉時代以降西洋から伝来した甲冑の胴を模倣して日本で製作されたもので、
具足は全て揃っているという意味らしい。
なかなかド派手な鎧で、私はもっと渋いほうがいいなと、
皺革包浅葱糸花色具足しぼかわつつみあさぎいとはないろぐそく』を選んだ。
胴は皺革(装飾として皺をつけた革)に包まれ、小札こざね……甲冑を構成する板のこと……を連結する威毛おどしげが浅葱色であることからこう呼ばれる……らしい。
でも書き込みをしているだけで満足だった。

そして、満足感と書き込みをして帰っていると『ひつじのショーン』展をしていた。

「羊〜?何これ?」
「ハァ?ひつじのショーン知らんの?」
「うん、知らん」
「可愛いのに」

と言いながら出ていった。
可愛いが有料。
ついでに見たかったのは、太刀と具足である。
可愛げはないがいいのである。

ちなみに、キティちゃんの電気ケトルが安かったので買って帰ったのだが……使えなかったら、お店に行こうと思う。

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