日常日記

ノベルバユーザー173744

懸賞に当たったど〜!

夜20時ごろ、宅配業者がきてくれた。

雨も降ってるのにお疲れ様でした。
って、あれ?宅配を頼んだ品が届くのは明日の午後のはず〜?

と首をかしげ、玄関を開けた。
すると、縦40×横40×高さ40センチ(それぞれ略)の大きな箱。
何じゃぁぁ?こりゃぁぁ?

と目を丸くするが重かったら悪いので、慌てて、紙を預かり、

「フルネームですか〜?」

と問いかけると、

「苗字で結構です」
「はい。本当にありがとうございます」

と丁寧にお礼を言い受け取ったが、表は大きいのに中はスカスカで、ちょうど真ん中が開いていた。
業者さんを見送り、鍵をかけ、部屋に戻ると、取っ手の横にでかでかと《植物》と赤い文字で書かれ↑が付いていた。

「ん?何やろ〜?」

と送り主を見ると、とあるDIYショップが系列の本社からで、ふたを開けると、シュンキクやチンゲンサイの苗のようなポットが4つ入っていた。
箱は立派だがショボい……。

と内心思ったが、中の発送しましたと言う紙を開けて見ると、唖然とした。

《ケールッコラ》2
《チンゲンルッコラ》2

と書かれている。

「ケールッコラ?チンゲンルッコラ?何じゃそりゃ?」

懸賞マニアだが、送ったものは即忘れる。
で、思い出すのは届いてからである。
なので、時々妹や弟から、苦情で、

「姉ちゃん。うちに、何でアクション映画のチケットが?」
「俺はアン○ンマン!一回なんて、箱開けたら人形やで、ぬいぐるみ!恥ずかしいけんやめぇや〜!」

と言われるが、即、

「書くのは姉ちゃん!ハガキ代も姉ちゃん!他に当たったら食べ物とかジュースとかお菓子とか、限定シャツとか、サイン色紙とか、全部渡しとるやん。文句は聞かんでー?」

と返すので黙る。
姉は弟妹や家族の好みは全て知り尽くしているのである。
しかし、ある程度父の趣味もあり植物の名前に苗の形は覚えているが、どう見ても名前も中途半端だし不思議である。
そのため、箱から苗を出し、そこに差し込まれていた名札の裏を見ると、

『ケールとワイルドルッコラを品種交配したケールッコラです』
『チンゲンサイとワイルドルッコラを品種交配したチンゲンルッコラです』

と書かれ、育て方が書かれていた。

「……困ったぞ?」

眉間にシワがよる。

昔は実家の屋上に畑があり、そこに植えておくと父が世話をしてくれたのだが、今年の末に引っ越す。
自分のベランダは多肉植物のようにある程度水もほどほど、日もほどほどでないと育たない。
特にこれからの季節は無理である。

「当たるとは思わなかったぜ……」

呟く。
ハーブ系は大好きで現在も育てているが、日当たりに問題があり、よく育つ種類、無理な種類があり、ルッコラは無理だった。
でも、その頃は体力もあり、育てる気満々だったらしい。

「当時の自分を殴ろうか……」

遠い目になりかけるが、ハッとする。
いい所を思い出したのである。
即電話。

「も〜しも〜し〜ぃ?ひーなーちゃーん」
「なぁにぃ〜?ねーちゃん」

姉妹は元合唱部。
何故か、普通にもしもしと言えばいいのに、オペラのように、間延びした声で、語尾が上がる。
それに、普通のイントネーションは平坦で最後に上がる。
関西系だがのんびりとしている。

「あのねぇ?ひなのうちって、プランター置けるかなぁ?」
「何?突然」
「えっ?懸賞で苗が当たったんよ〜。野菜の苗。ねーちゃんち、東であまり日当たり良くないやろ?ひなのうちって南向きやん?ふつうサイズのプランター置けんかなぁって」
「うーん。あんまり置きたくないんやけど……」
「いやぁ、姉ちゃんとこも植えるんよ?それが二種類が二個、4つ苗が当たってね?一個ずつこっちでも植えようかとおもて。いかんかなぁ?あんまり大きくはならんよ?多分チンゲンサイとかくらいよ。トマトみたいにはならんと思う」

前もって言っておく。
ひな様は、ピーマンは大好きだがトマトは嫌い。
弟はナスは好きだがイモ、かぼちゃが大嫌い。
刹那は体質的にタケノコ、トウモロコシを口にできない。
大好物でも!
ついでに、辛いものやシナモン、ニッキ、山椒、生姜にミョウガ、キムチと言った刺激物も禁止されている。
ハッカはないと生きていけない。

「……うーん。じゃぁ、日当たりは最高だから、良いよー」
「やったぁ!ありがとう!ひなやさしー!」
「でも、時々面倒見に来るんだよ〜?」
「ほーい!ひなちゃんありがとう〜」

はっきり言おう。
刹那はシスコンである。
そして懸賞魔王である。

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