日常日記

ノベルバユーザー173744

悲しみの心を癒せ梅花香

ふと、詠んだ句である。

梅花香ばいかのこうは、梅の花の香り、ではなく『六種むくさ薫物たきもの』。
練り香の一種である。
季節は春。

『六種の薫物』は、他には荷葉かよう侍従じじゅう菊花きっか落葉らくよう黒方くろぼうがあり、荷葉が夏、侍従が秋、菊花、落葉が秋、冬、黒方が冬や祝いごとを意味する。

香道はいつか勉強してみたいと思っていたが、昔、あるゲームとコラボしたお香が発売された京都のお店に行ったことがある。
ほのかに薫るお香の匂いは優しく、そして、練り香だけではなく、香袋、線香、そして和紙に香を焚き染め、花柄に染め形にした、手紙の中に挟むものもあり、風情があるなぁと感動した。

ちなみに私が好きなのは菊花である。
そのゲームの好きな攻略キャラの好みのお香だったのと、『後伏見院宸翰薫物方ごふしみいんしんかんたきものほう』の一部に、『きくのはなむらうつろふ色 露にかほり水にうつす香にことならず』とあって、香の香りがフワッと広がり、気に入ったのである。

昔は実は、香水が嫌いだった。
叔母がプンプンと薔薇の香水をさせて自分のお店の喫茶店で仕事をしていたときに、せっかく、喫茶店でコーヒーや口にする食べ物の味を楽しみたいだろうに……と思っていた為である。

その場にあった香りを纏うならまだしも、喫茶店に石鹸やちょっとしたフワッとただようなら許されても、お店の換気を申し出るほどの香りは必要ないと思ったのである。

今でも自分にはまとう香りはわからないが、ただ、もし年を重ね、自分に許されるのなら、訪問着を着て、菊花の香りをまとって歩きたいものである。



題名の句は、『苦しみ』か『悲しみ』か迷ったことはここだけの話である。

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