異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第62話四対百
カグヤさんは強かった。流石は島長と呼ばれているだけあって、その実力は未知数。
「どうしたカエデ、その程度で妾を倒そうとしているのか?」
「くっ」
俺は彼女を倒そうとは考えていなかった。いくら裏切ったとはいえど、彼女には何度か世話にもなっている。その彼女を倒そうだなんて考えられない。
それに俺は、この彼女の行動に違和感を覚えていた。
「カグヤさんは、カルマに手を貸したんですよね」
「一度だけの約束じゃがな。しかしその効力は十分効いておる」
「ならどうして、直截ポカルミ村の場所を教えなかったんですか?」
彼女はモカがポカルミ村にいるのを知っている。なら、先ほどみたいに回りくどい事をさせずとも、村を直接攻められるようその場所を教えてしまえばいい。
「それは……」
「まさかとは思いますけど、カグヤさん、あなたは……」
「しゃがめ、カエデ!」
俺がある言葉を口にしようとしたと同時に、別の声がする。俺は声の指示に従うと、その頭上を剣が通過する。
「なっ! 何故お主がここにおる」
「モカ様の報告を受けて、助けに来たんだよ」
「ポチ!」
俺を助けに現れたのはポチだった。どうやらモカは無事ポカルミ村に辿り着けたらしい。それが分かってホッとしたのも束の間、ポチは俺に槍を渡してくる。
「カエデ、戦えるな」
「え、でも、カグヤさんとはやっぱり戦うわけには」
「心配するなそいつは偽物だ」
「なっ!?」
その言葉に驚いたのは俺ではなく、偽物と呼ばれた本人だった。
(そうか、そういう事か)
「本物のカグヤさんは今モカ様達が追っている。恐らくカグヤさんが裏切ったと私達に認識させるために偽物を作ったんだろうな」
「な、何を言っておる、妾は正真正銘この島の長、カグヤじゃ。偽物ではない!」
「その割には明らかに動揺しているけどな。それに今も言ったけど、お前の行動は明らかにおかしい」
「ぐぬぬ」
もう明らかに動揺を隠せない様子の偽物。本物じゃない証拠はないが、モカ達が本物を見つけ出せば何も問題はない。
「これで心置きなく戦える。ポチ、手伝ってくれるか」
「ああ、勿論」
俺はポチから受け取った槍をしっかりと構え、偽カグヤに向ける。
「何者か知らないが、よくも俺とモカを騙そうとしてくれたな。偽物さん」
「騙す、じゃと。何を勘違いしておるか分からぬが、時間は十分に稼げた。これでよい」
開き直ったのかそんな事を言う偽カグヤ。そして彼女は同時に地面を蹴って、高く飛んだ。
「あ、待て!」
「待ったカエデ」
俺はそれを追おうとするがポチに止められる。
「どうしたんだよポチ」
「今あいつは時間は十分に稼げたって言っていた。もしかしたら本当の狙いは別なんじゃないのか」
「え?」
「そもそも島長のカグヤさんが、ポカルミの近くで見かけた事自体がおかしいんだ。普段はあんな山の中にはいない」
そもそも今回の事件については不明なところが多い。そもそも俺達があの場所から逃げ出す事は予定になかったはず。無事逃げ出さなければカグヤさんが偽物だという事にも気づかなかった。
つまり偽物を本物だと勘違いし続ける事になっていたかもしれない。
ーーじゃあその狙いは?
ーーカグヤさんを山奥に見かけた本当の理由は?
答えは一つだった。
「モカ達が……カグヤさんが危ない!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
シズクちゃんが見かけたという、もう一人のカグヤさんを追って、ポカルミ村を出た私とシズクちゃんとミルフィーナさんの三人は、十分後に傷を負った彼女を見つけた。
「カグヤさん!」
「お主達……どうしてここに」
「それはこっちのセリフです。そんな傷を負って、どうしたんですか?」
「ちと大人数を相手してのう。それよりお主達は早く安全な場所へ……」
「カグヤさん!」
意識を失って倒れたカグヤさんをシズクちゃんが支える。
「大丈夫、息はしている。それよりこっちが本物なら、楓とモカさんが出会ったのは偽物という事なの?」
「やはりそうなります」
「でもどうしてぇ、偽物なんか用意したんでしょうかぁ」
「それは……」
このカグヤさんの傷を見る限り、恐らくカルマ達は彼女を殺そうとしていた。そして偽物を用意したのは、その偽物をこの島の長にする為。表からではなく彼らは、裏から確実に私の逃げ場所を奪おうとしていた。
「まさかこんなに早く気付くとはな、王女様」
その私の考えに応えるかのように声が聞こえる。カグヤさんがここまで傷だらけに逃げてきたなら、近くにいるとは思っていたけど、どうやらその予感は的中したらしい。
「やはり近くにいるんですね、カルマ」
私は身構える。周囲に感じる敵の数は、
十……二十……
「シズクちゃん、戦えますか?」
数を察知した私は小声でシズクちゃんに話しかける。今回は私一人ではどうにかなりそうにないので、彼女も頼る必要がありそうだ。
「え? 私一応鍛えてきたから……」
「なら私を援護してください。今回は敵の数が多いです」
「えっと、私はぁ?」
「ミルフィーナさんはカグヤさんを守りながら確実に安全な場所に逃げてください。ただしポカルミ村には戻らないでください。彼らに場所が分かってしまいますから」
敵の数はカルマも含めて恐らく百近く。それに対して私達は怪我人を含めて四人。
「どうやらここがあなたの墓場になりそうだな、王女様」
「そんな事にはなりません、私達を騙した借りはここで必ず返させてもらいます、カルマ!」
「どうしたカエデ、その程度で妾を倒そうとしているのか?」
「くっ」
俺は彼女を倒そうとは考えていなかった。いくら裏切ったとはいえど、彼女には何度か世話にもなっている。その彼女を倒そうだなんて考えられない。
それに俺は、この彼女の行動に違和感を覚えていた。
「カグヤさんは、カルマに手を貸したんですよね」
「一度だけの約束じゃがな。しかしその効力は十分効いておる」
「ならどうして、直截ポカルミ村の場所を教えなかったんですか?」
彼女はモカがポカルミ村にいるのを知っている。なら、先ほどみたいに回りくどい事をさせずとも、村を直接攻められるようその場所を教えてしまえばいい。
「それは……」
「まさかとは思いますけど、カグヤさん、あなたは……」
「しゃがめ、カエデ!」
俺がある言葉を口にしようとしたと同時に、別の声がする。俺は声の指示に従うと、その頭上を剣が通過する。
「なっ! 何故お主がここにおる」
「モカ様の報告を受けて、助けに来たんだよ」
「ポチ!」
俺を助けに現れたのはポチだった。どうやらモカは無事ポカルミ村に辿り着けたらしい。それが分かってホッとしたのも束の間、ポチは俺に槍を渡してくる。
「カエデ、戦えるな」
「え、でも、カグヤさんとはやっぱり戦うわけには」
「心配するなそいつは偽物だ」
「なっ!?」
その言葉に驚いたのは俺ではなく、偽物と呼ばれた本人だった。
(そうか、そういう事か)
「本物のカグヤさんは今モカ様達が追っている。恐らくカグヤさんが裏切ったと私達に認識させるために偽物を作ったんだろうな」
「な、何を言っておる、妾は正真正銘この島の長、カグヤじゃ。偽物ではない!」
「その割には明らかに動揺しているけどな。それに今も言ったけど、お前の行動は明らかにおかしい」
「ぐぬぬ」
もう明らかに動揺を隠せない様子の偽物。本物じゃない証拠はないが、モカ達が本物を見つけ出せば何も問題はない。
「これで心置きなく戦える。ポチ、手伝ってくれるか」
「ああ、勿論」
俺はポチから受け取った槍をしっかりと構え、偽カグヤに向ける。
「何者か知らないが、よくも俺とモカを騙そうとしてくれたな。偽物さん」
「騙す、じゃと。何を勘違いしておるか分からぬが、時間は十分に稼げた。これでよい」
開き直ったのかそんな事を言う偽カグヤ。そして彼女は同時に地面を蹴って、高く飛んだ。
「あ、待て!」
「待ったカエデ」
俺はそれを追おうとするがポチに止められる。
「どうしたんだよポチ」
「今あいつは時間は十分に稼げたって言っていた。もしかしたら本当の狙いは別なんじゃないのか」
「え?」
「そもそも島長のカグヤさんが、ポカルミの近くで見かけた事自体がおかしいんだ。普段はあんな山の中にはいない」
そもそも今回の事件については不明なところが多い。そもそも俺達があの場所から逃げ出す事は予定になかったはず。無事逃げ出さなければカグヤさんが偽物だという事にも気づかなかった。
つまり偽物を本物だと勘違いし続ける事になっていたかもしれない。
ーーじゃあその狙いは?
ーーカグヤさんを山奥に見かけた本当の理由は?
答えは一つだった。
「モカ達が……カグヤさんが危ない!」
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シズクちゃんが見かけたという、もう一人のカグヤさんを追って、ポカルミ村を出た私とシズクちゃんとミルフィーナさんの三人は、十分後に傷を負った彼女を見つけた。
「カグヤさん!」
「お主達……どうしてここに」
「それはこっちのセリフです。そんな傷を負って、どうしたんですか?」
「ちと大人数を相手してのう。それよりお主達は早く安全な場所へ……」
「カグヤさん!」
意識を失って倒れたカグヤさんをシズクちゃんが支える。
「大丈夫、息はしている。それよりこっちが本物なら、楓とモカさんが出会ったのは偽物という事なの?」
「やはりそうなります」
「でもどうしてぇ、偽物なんか用意したんでしょうかぁ」
「それは……」
このカグヤさんの傷を見る限り、恐らくカルマ達は彼女を殺そうとしていた。そして偽物を用意したのは、その偽物をこの島の長にする為。表からではなく彼らは、裏から確実に私の逃げ場所を奪おうとしていた。
「まさかこんなに早く気付くとはな、王女様」
その私の考えに応えるかのように声が聞こえる。カグヤさんがここまで傷だらけに逃げてきたなら、近くにいるとは思っていたけど、どうやらその予感は的中したらしい。
「やはり近くにいるんですね、カルマ」
私は身構える。周囲に感じる敵の数は、
十……二十……
「シズクちゃん、戦えますか?」
数を察知した私は小声でシズクちゃんに話しかける。今回は私一人ではどうにかなりそうにないので、彼女も頼る必要がありそうだ。
「え? 私一応鍛えてきたから……」
「なら私を援護してください。今回は敵の数が多いです」
「えっと、私はぁ?」
「ミルフィーナさんはカグヤさんを守りながら確実に安全な場所に逃げてください。ただしポカルミ村には戻らないでください。彼らに場所が分かってしまいますから」
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