異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第41話眠る記憶は苦痛へと①
腕を掴んで呼び止めはしたものの、それからしばらく会話がなかった。俺も未だに何でこんな行動をしたのか分からないし、ルチリアも少しばかり戸惑っていた。
「ね、ねえカエデ君」
「ん?」
「今日ポチと二人でどんな話をしていたの?」
「どんなって、それは」
一つはいわゆる恋話みたいなもので、もう一つは真面目な話。あとはなんか色々な雑談をしていた。とは言っても最初の二つがインパクトが大きくて、それ以外の話は覚えていないに等しい。
「まあ、何か色々話をしたから、そんなに覚えてないよ」
「でもカエデ君が昨日から元気がないのを見て、わざわざ連れ出したんだと思うけど」
「ああ、それは、あの花畑見てたら吹っ飛んでいたよ」
「花畑? もしかしてポチはあの場所にカエデ君を連れて行ったの?」
「親友との思い出の地たってぽちは言っていたけど、ルチリアは知っているのか?」
「私も一度行った事があるの。すごく綺麗な場所だったでしょ」
「そうだな。こんな森だらけの島にもあんな場所があるんだなって思うくらい、綺麗だったよ」
「サラッと失礼な事を言うねカエデ君は」
別に悪気があって言ったわけではない。でも純粋にあの景色はすごく綺麗だったと俺は思う。
「今度は是非私も見に行きたいなぁ。あそこは満月の夜が一番綺麗だし」
「だったら、その時行くか?」
「え? いいの?」
「折角だし行こう。これは約束だ」
「う、うん」
小さな約束を交わす俺とルチリア。次の満月の日となると、また少し先の話にはなってしまうが、その時は俺とルチリアも今よりは……。
(って、何を考えているんだ俺は)
それだと俺は、ルチリアの事を意識しているようにしか……。
「カエデ君?」
「あ、わ、悪い。何の話をしていたっけ」
「だからポチと何の話をしていたのかなって」
「さっきも言っていたけど、ろくな話はしていないよ。強いて言うなら、明日四人であの海底都市に行こうって話をしたくらいだよ」
「四人って、私とカエデ君とミルフィーナとポチで?」
「そうだよ。そこで話があるんだって」
「話? 何だろう」
「まあ、明日になれば分かると思う、多分」
何の話をするか大まかには分かっていた。だけどそれは、きっと俺にとっても、彼女にとっても辛い話になるかもしれない。特にルチリアは……。
「さてと、そろそろ家に戻るか」
いつまでも呼び止めておくと、寝不足になりかねないので、俺は話を切り上げて立ち上がる。皆が解散してからかなりの時間が経っているのでし、そろそろ戻らないとポチとかに何を言われるか分からない。
「うん、そうだね。私も眠くなってきちゃった」
ルチリアも立ち上がり、家に向けて俺達は歩き出す。今日一日作業していたので、もうとっくに眠気は来ていた。
「ねえカエデ君……私ね……」
「どうした?」
「ううん、何でもない……」
■□■□■□
翌日の昼過ぎ。昨日ポチが言った通り、四人で海底都市へと向けて出発した。村にはモカと雫だけ残すという形になってしまい、何か起きてしまわないか少しだけ心配だった。
「二人きりにして大丈夫かな」
出発してすぐに俺はそんな事をぼやく。
「大丈夫ですよぉ。シズクちゃんは私が育て上げましたからぁ」
俺の心配の種は別の意味で増えることになりました。
「待て待て、俺はそっちの方が心配になってきたんだけど」
「悪い事はしてないから心配するなカエデ。体が壊れないくらいの特訓に押さえておいたから」
「余計に心配だわ! いいか、雫は確かに力はあるけど、一人の女の子なんだからな」
「それを言ったら私達も一人の女の子なんだけど」
口々に三人はそういうけど、ここまで耐えたのは俺がまだ我慢強い方だからなだけあって、雫にはそんな常識を超えたようなものには耐えられないはずだ。特にミルフィーナに関しては、人であろうが獣人であろうが危険のレベルはマックスだと言い切れる。
「でもこれは、シズクさん自身が頼んできた事なんですよぉ。カエデ君を少しでも守りたいって」
「俺を? 雫が?」
「ああ。私も最初は反対したんだけど、本人がどうしてもって言うから、最近始めたんだよ」
「雫が自ら悪の手に染まろうとするなんて……」
「カエデ君、それはどういう意味でしょうかぁ」
そのままの意味だよ。
「まあまあ、カエデ君の心配する気持ちもわかるけど、きっと大丈夫だと思うよ。モカ様も強いんだから」
「まあ、それはそうだけどさ」
それでもどこか腑に落ちない。少しだけ胸騒ぎがするというか、何か起きてしまいそうな予感がするというか、とにかく二人が心配だった。
「それよりも私達は私達でやるべき事があるんだから。ほら、着いたぞ」
そんな俺の心配をよそに、目的地へと到着する。以前来た時とそんなに時間は空いてないというのに、どこか久しぶりな感じがする。
「いいかカエデ、ルチリア。前に来た時は何も言わなかったけど、ここは二人にとってとても大切な場所だ。だから絶対に目を背けるなよ現実から」
入る直前、ポチがそんな警告をしてくる。俺はここまでずっと真実から目を背け続けていた。でももしかしたら俺は今日、背けていた目を真っ直ぐ捉える事になるかもしれない。
その覚悟が微かに俺の中に芽生えていた。
「二人にとってって、別に私には」
「いいからルチリアも」
「わ、分かった」
問題があるとしたらルチリアかもしれない。
「ね、ねえカエデ君」
「ん?」
「今日ポチと二人でどんな話をしていたの?」
「どんなって、それは」
一つはいわゆる恋話みたいなもので、もう一つは真面目な話。あとはなんか色々な雑談をしていた。とは言っても最初の二つがインパクトが大きくて、それ以外の話は覚えていないに等しい。
「まあ、何か色々話をしたから、そんなに覚えてないよ」
「でもカエデ君が昨日から元気がないのを見て、わざわざ連れ出したんだと思うけど」
「ああ、それは、あの花畑見てたら吹っ飛んでいたよ」
「花畑? もしかしてポチはあの場所にカエデ君を連れて行ったの?」
「親友との思い出の地たってぽちは言っていたけど、ルチリアは知っているのか?」
「私も一度行った事があるの。すごく綺麗な場所だったでしょ」
「そうだな。こんな森だらけの島にもあんな場所があるんだなって思うくらい、綺麗だったよ」
「サラッと失礼な事を言うねカエデ君は」
別に悪気があって言ったわけではない。でも純粋にあの景色はすごく綺麗だったと俺は思う。
「今度は是非私も見に行きたいなぁ。あそこは満月の夜が一番綺麗だし」
「だったら、その時行くか?」
「え? いいの?」
「折角だし行こう。これは約束だ」
「う、うん」
小さな約束を交わす俺とルチリア。次の満月の日となると、また少し先の話にはなってしまうが、その時は俺とルチリアも今よりは……。
(って、何を考えているんだ俺は)
それだと俺は、ルチリアの事を意識しているようにしか……。
「カエデ君?」
「あ、わ、悪い。何の話をしていたっけ」
「だからポチと何の話をしていたのかなって」
「さっきも言っていたけど、ろくな話はしていないよ。強いて言うなら、明日四人であの海底都市に行こうって話をしたくらいだよ」
「四人って、私とカエデ君とミルフィーナとポチで?」
「そうだよ。そこで話があるんだって」
「話? 何だろう」
「まあ、明日になれば分かると思う、多分」
何の話をするか大まかには分かっていた。だけどそれは、きっと俺にとっても、彼女にとっても辛い話になるかもしれない。特にルチリアは……。
「さてと、そろそろ家に戻るか」
いつまでも呼び止めておくと、寝不足になりかねないので、俺は話を切り上げて立ち上がる。皆が解散してからかなりの時間が経っているのでし、そろそろ戻らないとポチとかに何を言われるか分からない。
「うん、そうだね。私も眠くなってきちゃった」
ルチリアも立ち上がり、家に向けて俺達は歩き出す。今日一日作業していたので、もうとっくに眠気は来ていた。
「ねえカエデ君……私ね……」
「どうした?」
「ううん、何でもない……」
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翌日の昼過ぎ。昨日ポチが言った通り、四人で海底都市へと向けて出発した。村にはモカと雫だけ残すという形になってしまい、何か起きてしまわないか少しだけ心配だった。
「二人きりにして大丈夫かな」
出発してすぐに俺はそんな事をぼやく。
「大丈夫ですよぉ。シズクちゃんは私が育て上げましたからぁ」
俺の心配の種は別の意味で増えることになりました。
「待て待て、俺はそっちの方が心配になってきたんだけど」
「悪い事はしてないから心配するなカエデ。体が壊れないくらいの特訓に押さえておいたから」
「余計に心配だわ! いいか、雫は確かに力はあるけど、一人の女の子なんだからな」
「それを言ったら私達も一人の女の子なんだけど」
口々に三人はそういうけど、ここまで耐えたのは俺がまだ我慢強い方だからなだけあって、雫にはそんな常識を超えたようなものには耐えられないはずだ。特にミルフィーナに関しては、人であろうが獣人であろうが危険のレベルはマックスだと言い切れる。
「でもこれは、シズクさん自身が頼んできた事なんですよぉ。カエデ君を少しでも守りたいって」
「俺を? 雫が?」
「ああ。私も最初は反対したんだけど、本人がどうしてもって言うから、最近始めたんだよ」
「雫が自ら悪の手に染まろうとするなんて……」
「カエデ君、それはどういう意味でしょうかぁ」
そのままの意味だよ。
「まあまあ、カエデ君の心配する気持ちもわかるけど、きっと大丈夫だと思うよ。モカ様も強いんだから」
「まあ、それはそうだけどさ」
それでもどこか腑に落ちない。少しだけ胸騒ぎがするというか、何か起きてしまいそうな予感がするというか、とにかく二人が心配だった。
「それよりも私達は私達でやるべき事があるんだから。ほら、着いたぞ」
そんな俺の心配をよそに、目的地へと到着する。以前来た時とそんなに時間は空いてないというのに、どこか久しぶりな感じがする。
「いいかカエデ、ルチリア。前に来た時は何も言わなかったけど、ここは二人にとってとても大切な場所だ。だから絶対に目を背けるなよ現実から」
入る直前、ポチがそんな警告をしてくる。俺はここまでずっと真実から目を背け続けていた。でももしかしたら俺は今日、背けていた目を真っ直ぐ捉える事になるかもしれない。
その覚悟が微かに俺の中に芽生えていた。
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