異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第36話二人の思い出の地 後編
翌朝。モカよりも早く起きた俺は、彼女を起こさないように少しだけ散歩に出かけていた。
(改めて見ると、この泉不思議だよなぁ)
これと同じものがあの遺跡にあった。しかも同じように木が倒れていて、まるで遺跡とあの場所がリンクしているようだった。もし他にも同じような場所があったとしたら、それはただの偶然ではなくなる。
(あの遺跡は一体なんなんだろう)
他にも調べたいが、あの場所に潜り込むことはほぼ難しいと考えていい。フォルナの一件以来、あちらから特に動きはないが、こちらが変に動けばまた何が起きるか分からない。
「この泉、綺麗よね」
「え?」
そんな事考えながら眺めていると、聞いたことがない声が聞こえる。振り返るとマントを纏った謎の人物が。顔はフードで隠れているため、確認できないが獣人だろう。
「誰だ?」
「あなたを探していたの」
「俺を?」
「獣王妃の血を継ぐものよね。あなた」
「それは俺には何とも言えないな」
「もしかして、何も覚えていないとでも言うの?」
「まあ、そんなところだ」
こんな所で嘘をついても意味がない気がするので、正直に答える。ただ、この口ぶりだとまるで俺の事を知っているような言い方だが、そこはどうなのだろうか。
「そういえば獣王妃の子はどこかへ姿を消していたとは聞いていたけど、まさかその記憶すらも失くしているとはね」
「ちょっと待てよ。いきなり初対面の人間に対して色々言ってくれてるけど、あんた何者だ。俺がその獣王妃の血を継いでいると決めつけてるけど、そんな証拠すらないだろ」
「あるわよ、証拠なら。そうでなければ話しかけようとすらしなかった」
もしかしてこの目の事を言っているのだったら、否定する事が難しいが今はコンタクト付けているから、それすらも分からないはず。
(なら、他に何かが)
「分からないようなら教えてあげようと思ったけど、どうやらお姫様がお目覚めのようだし、またの機会にしましょう」
「あ、おい」
肝心な事を聞こうとする前にその場を去ろうとするフードの女を呼び止めるが、それを無視してどこかへ消えてしまった。
「何だったんだ、今の」
モカの事も知っているようだし、彼女は一体……。
■□■□■□
今朝あった事をモカに話そうと思ったが、俺自身何があったのか理解できなかったので、この事は黙っておく事にし、俺達は昼前にポカルミ村へと帰る事に。
「カエデ、朝から元気がありませんがどうかしましたか?」
その帰り道、今朝の事をずっと考えていたからかモカに心配されてしまう。黙っておくとは言ったものの、やはり気にせずにはいられなかったので、それが表情にも出ていたらしい。
「ん? ああ、ちょっとな」
「そういえば今朝は早く起きていたようですけど、それと何か関係が?」
「関係なくはないけど、別に大丈夫だから」
「はぐらかさないでくださいよ」
黙っておくと決めてはいるので、そこはうまく誤魔化す。
「それよりもモカに聞きたい事があるんだ」
「聞きたい事ですか?」
「この世界に、人と獣の両方の血を継いでる者って存在するのか?」
「どうしてそんな事を?」
「まだ信じたくはないんだ。自分が本当に両方の血を継いでいる事を」
今朝も否定してはいたけど、もう何度もこの類の話を聞いていると否定ができなくなってしまっている自分がいる。空想上の話ならともかく、それを裏付ける話ばかりが出てきてしまっている。
(それでも、信じたくない自分がいるんだよな)
まるで徹底的な証拠を突きつけられても否定し続ける犯人みたいな感覚。俺の今の気持ちはそんな感じだった。
「そのような例は私は聞いた事はありません。私の国にも存在しませんでしたし……。ましてや、人間との深い溝がある限りそんなのが今存在するのがあり得ないと思います」
「じゃあおれが特別だと言いたいのか?」
「私もその瞳を見るまではあり得ないと思っていました。しかも聞けばかの獣王妃の子らしいじゃないですか」
「もうそこまで……」
「聞いたわけではありませんが、この世界の歴史の一つとしてかつて人と結婚した獣人がいたと伝えられてきました。それが獣王妃であり、その子がいるとしたらあなた以外あり得ないという結論になったんです」
「まあ、そう考えるのが普通か」
そんなただ一人の人間が自分であるなんて、信じたくない。しかも両親は既に他界していて、俺を育ててくれたのが全くの他人だった話なんて……。
「カエデはここまで言われても、否定したいですか」
「したいな。ただの我が儘かもしれないけど、俺はただの人間。この世界に来たのだって、ただの偶然。だってこんな話、普通だったら信じられないだろ」
「カエデの言いたい事は分かります。しかし」
モカが何か言いかけようとしたところで突然足を止める。
「どうかしたか?」
「カエデ、話の続きはまた後でにしましょう。それより今は」
何かを投げるモカ。するとそれは何もない空間で弾き飛ばされた。
「え? 何が」
「この厄介な連中から逃げる事を優先させましょう」
モカのその台詞と同時に、何かが動き出す音がした。それも一つではない複数。
「カエデ、構えてください。来ますよ!」
(改めて見ると、この泉不思議だよなぁ)
これと同じものがあの遺跡にあった。しかも同じように木が倒れていて、まるで遺跡とあの場所がリンクしているようだった。もし他にも同じような場所があったとしたら、それはただの偶然ではなくなる。
(あの遺跡は一体なんなんだろう)
他にも調べたいが、あの場所に潜り込むことはほぼ難しいと考えていい。フォルナの一件以来、あちらから特に動きはないが、こちらが変に動けばまた何が起きるか分からない。
「この泉、綺麗よね」
「え?」
そんな事考えながら眺めていると、聞いたことがない声が聞こえる。振り返るとマントを纏った謎の人物が。顔はフードで隠れているため、確認できないが獣人だろう。
「誰だ?」
「あなたを探していたの」
「俺を?」
「獣王妃の血を継ぐものよね。あなた」
「それは俺には何とも言えないな」
「もしかして、何も覚えていないとでも言うの?」
「まあ、そんなところだ」
こんな所で嘘をついても意味がない気がするので、正直に答える。ただ、この口ぶりだとまるで俺の事を知っているような言い方だが、そこはどうなのだろうか。
「そういえば獣王妃の子はどこかへ姿を消していたとは聞いていたけど、まさかその記憶すらも失くしているとはね」
「ちょっと待てよ。いきなり初対面の人間に対して色々言ってくれてるけど、あんた何者だ。俺がその獣王妃の血を継いでいると決めつけてるけど、そんな証拠すらないだろ」
「あるわよ、証拠なら。そうでなければ話しかけようとすらしなかった」
もしかしてこの目の事を言っているのだったら、否定する事が難しいが今はコンタクト付けているから、それすらも分からないはず。
(なら、他に何かが)
「分からないようなら教えてあげようと思ったけど、どうやらお姫様がお目覚めのようだし、またの機会にしましょう」
「あ、おい」
肝心な事を聞こうとする前にその場を去ろうとするフードの女を呼び止めるが、それを無視してどこかへ消えてしまった。
「何だったんだ、今の」
モカの事も知っているようだし、彼女は一体……。
■□■□■□
今朝あった事をモカに話そうと思ったが、俺自身何があったのか理解できなかったので、この事は黙っておく事にし、俺達は昼前にポカルミ村へと帰る事に。
「カエデ、朝から元気がありませんがどうかしましたか?」
その帰り道、今朝の事をずっと考えていたからかモカに心配されてしまう。黙っておくとは言ったものの、やはり気にせずにはいられなかったので、それが表情にも出ていたらしい。
「ん? ああ、ちょっとな」
「そういえば今朝は早く起きていたようですけど、それと何か関係が?」
「関係なくはないけど、別に大丈夫だから」
「はぐらかさないでくださいよ」
黙っておくと決めてはいるので、そこはうまく誤魔化す。
「それよりもモカに聞きたい事があるんだ」
「聞きたい事ですか?」
「この世界に、人と獣の両方の血を継いでる者って存在するのか?」
「どうしてそんな事を?」
「まだ信じたくはないんだ。自分が本当に両方の血を継いでいる事を」
今朝も否定してはいたけど、もう何度もこの類の話を聞いていると否定ができなくなってしまっている自分がいる。空想上の話ならともかく、それを裏付ける話ばかりが出てきてしまっている。
(それでも、信じたくない自分がいるんだよな)
まるで徹底的な証拠を突きつけられても否定し続ける犯人みたいな感覚。俺の今の気持ちはそんな感じだった。
「そのような例は私は聞いた事はありません。私の国にも存在しませんでしたし……。ましてや、人間との深い溝がある限りそんなのが今存在するのがあり得ないと思います」
「じゃあおれが特別だと言いたいのか?」
「私もその瞳を見るまではあり得ないと思っていました。しかも聞けばかの獣王妃の子らしいじゃないですか」
「もうそこまで……」
「聞いたわけではありませんが、この世界の歴史の一つとしてかつて人と結婚した獣人がいたと伝えられてきました。それが獣王妃であり、その子がいるとしたらあなた以外あり得ないという結論になったんです」
「まあ、そう考えるのが普通か」
そんなただ一人の人間が自分であるなんて、信じたくない。しかも両親は既に他界していて、俺を育ててくれたのが全くの他人だった話なんて……。
「カエデはここまで言われても、否定したいですか」
「したいな。ただの我が儘かもしれないけど、俺はただの人間。この世界に来たのだって、ただの偶然。だってこんな話、普通だったら信じられないだろ」
「カエデの言いたい事は分かります。しかし」
モカが何か言いかけようとしたところで突然足を止める。
「どうかしたか?」
「カエデ、話の続きはまた後でにしましょう。それより今は」
何かを投げるモカ。するとそれは何もない空間で弾き飛ばされた。
「え? 何が」
「この厄介な連中から逃げる事を優先させましょう」
モカのその台詞と同時に、何かが動き出す音がした。それも一つではない複数。
「カエデ、構えてください。来ますよ!」
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