異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第20話再会の遺跡
翌日、約束通り俺はルシアとフォルナを連れてあの遺跡を訪れていた。前回は初めて入るだけあって、かなり緊張していたが、今日はそこまで緊張せずに遺跡へと足を踏み入れた。
「フォルナはこの遺跡がどのくらいの深さまであるのか分かるのか?」
「ううん。知らない」
「やっぱりね。とすると、もっと頻繁に調査をしに来た方がいいかもね」
「ああ」
前回はフォルナとの遭遇によって、それ以上奥まで進めなかったが、今回はもう少し奥まで進もうと決めていた。その為に早い時間からここに来ているわけだし、軽食も用意してきている。ただ一つ気がかりなのが、前回と同様にフォルナ以外の獣人と出会う可能性があるということだ。
(この前は簡単に逃げてこれたけど、もし更に深く進んだとしたら……)
一日で無事に帰還できるのかすら分からなくなってくる。
「しかしまだここ地下一階なのに、随分と長いんだな」
「言われてみればそうかもね」
「でもあれ、階段だと思う」
「あ、本当だ」
ほぼ一直線の道をひたすら進み続けて三十分、ようやく階段らしき物を発見。どうやら下の階はまだまだあるらしく、警戒しながらも地下二階へと足を進めた。
謎の遺跡地下二階。そこは今までの景観とは打って変わって、昔に滅んでしまった古代文明が存在してそうな人気のない街がそこにはあった。
「これって、街?」
「見た感じではそうね」
こんなの日本で発表したら、世紀の大発見になりそうな規模のその広さは、遺跡の地下にあるとは決して考えられないレベルの規模で、もしかしたら某ドーム一個分の広さはあったりするかもしれない。
「ていうかこういうのって、いかにもラストダンジョンに出てきそうなものなんだけどなぁ」
「何言っているの?」
「いや、何でも」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
とりあえず俺達は分担してその街(古代都市?)を調べることにしたのだが、広さが広さなだけあって、一日では簡単に終わりそうにはなかった。
「ふぅ」
調査を始めてかなりの時間が経った。色々歩き回って調べてはみたものの、結局何も得ることはできなかった。まだ調べたいところではあるが、戻る時間を含めるとそろそろ戻った方がいい。
「よし、戻るか」
最後の家を調べ終え、俺は皆と合流しようと外に出ようとした。だがその前に、どこからか物音が聞こえた気がした。
「ん? 誰かいるのか?」
音がした方に向かうと、転びでもしたのか痛そうに座り込んでいる一人の少女がそこにいた。
「いたた、もう何なのよあの偽物神様は」
いや、正確にはいてしまったと言った方がいいのかもしれない。
「え? し、雫?」
「誰かいるの? って……」
俺の声に反応した少女はこちらに目線を向ける。
そして目と目が合った。
「か、楓? どうしてここに?」
「いや、それは俺のセリフなんだけど……」
一週間以上ぶりの再会。俺と雫はしばらくの間黙っていた。そして次の瞬間、
「この馬鹿楓ぇぇぇ!」
俺の身体は宙に舞っていました。
(な、何で雫がここ……に?)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
新年もとっくに過ぎ、もうすぐ大学も再開しようとしていた一月の三が日が過ぎた頃。雫は退屈な毎日過ごしていた。いつもなら三が日だってあいつの家族ぐるみでで出かけたりしている頃だというのに、今年はそんなところではなかった。
(あーあ、なんか暇だなぁ)
大学もいよいよ明日から再開という事で、若干憂鬱にもなっていた。それ以上に楓の行方が未だにつかめていないことが、彼女を更に憂鬱にさせており、外にでようなんで気力も湧かなかった。
(もう本当に何やっているのよ、楓は……)
『楓に会いたいか?』
「会いたいに決まっているでしょ。そして一発ぶん殴ならきゃ気が済まないのよ……って誰?」
そんな彼女の想いに答えるかのように、どこからか声が聞こえてくる。
『妾はその楓という人物をよく知っておる。彼が今いる場所も分かっておるし、お主をそこに送ることもできる』
「それはどういう意味?」
『行けば分かる。ただし、お主にその覚悟はあるか?』
「覚悟?」
『これからお主は恐らく乗り越えればならん壁がある。それを越えられる覚悟はあるか?』
「楓に会えるなら、そのくらいの覚悟はできているわよ。ただし、その言葉が嘘だったら許さないわよ」
『心配には及ばぬ。今お主を送る準備が整ったところじゃ』
「整ったって……きゃっ」
楓の時と同じように、彼女の視界を白い靄みたいなものが覆い尽くす。
『さあ行くがよい。もう一つの架け橋よ』
最後に謎の声が聞こえたと思うと、白い靄が晴れていき、
「もう何なのよ……あれ?」
雫も同じように、ユグラナ島へとやって来たのであった。
時は再び今に戻る。
「いって、何するんだよ雫」
辛うじて着地に成功した俺は、殴られた頬を抑えながら彼女に向き合う。
「何すんだよ、じゃないわよ。馬鹿! どれだけ心配させたと思っているのよ……」
それに対して涙ながらにそう言う雫。俺はその姿に言葉を失ってしまった。
『その人、カエデ君がいなくなって、寂しくしているんじゃないかな』
昨日のルチリアの言葉を思い出す。そっか、やっぱり雫も心配していたんだ。俺のことを……。
「ごめん、雫」
「馬鹿……」
「フォルナはこの遺跡がどのくらいの深さまであるのか分かるのか?」
「ううん。知らない」
「やっぱりね。とすると、もっと頻繁に調査をしに来た方がいいかもね」
「ああ」
前回はフォルナとの遭遇によって、それ以上奥まで進めなかったが、今回はもう少し奥まで進もうと決めていた。その為に早い時間からここに来ているわけだし、軽食も用意してきている。ただ一つ気がかりなのが、前回と同様にフォルナ以外の獣人と出会う可能性があるということだ。
(この前は簡単に逃げてこれたけど、もし更に深く進んだとしたら……)
一日で無事に帰還できるのかすら分からなくなってくる。
「しかしまだここ地下一階なのに、随分と長いんだな」
「言われてみればそうかもね」
「でもあれ、階段だと思う」
「あ、本当だ」
ほぼ一直線の道をひたすら進み続けて三十分、ようやく階段らしき物を発見。どうやら下の階はまだまだあるらしく、警戒しながらも地下二階へと足を進めた。
謎の遺跡地下二階。そこは今までの景観とは打って変わって、昔に滅んでしまった古代文明が存在してそうな人気のない街がそこにはあった。
「これって、街?」
「見た感じではそうね」
こんなの日本で発表したら、世紀の大発見になりそうな規模のその広さは、遺跡の地下にあるとは決して考えられないレベルの規模で、もしかしたら某ドーム一個分の広さはあったりするかもしれない。
「ていうかこういうのって、いかにもラストダンジョンに出てきそうなものなんだけどなぁ」
「何言っているの?」
「いや、何でも」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
とりあえず俺達は分担してその街(古代都市?)を調べることにしたのだが、広さが広さなだけあって、一日では簡単に終わりそうにはなかった。
「ふぅ」
調査を始めてかなりの時間が経った。色々歩き回って調べてはみたものの、結局何も得ることはできなかった。まだ調べたいところではあるが、戻る時間を含めるとそろそろ戻った方がいい。
「よし、戻るか」
最後の家を調べ終え、俺は皆と合流しようと外に出ようとした。だがその前に、どこからか物音が聞こえた気がした。
「ん? 誰かいるのか?」
音がした方に向かうと、転びでもしたのか痛そうに座り込んでいる一人の少女がそこにいた。
「いたた、もう何なのよあの偽物神様は」
いや、正確にはいてしまったと言った方がいいのかもしれない。
「え? し、雫?」
「誰かいるの? って……」
俺の声に反応した少女はこちらに目線を向ける。
そして目と目が合った。
「か、楓? どうしてここに?」
「いや、それは俺のセリフなんだけど……」
一週間以上ぶりの再会。俺と雫はしばらくの間黙っていた。そして次の瞬間、
「この馬鹿楓ぇぇぇ!」
俺の身体は宙に舞っていました。
(な、何で雫がここ……に?)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
新年もとっくに過ぎ、もうすぐ大学も再開しようとしていた一月の三が日が過ぎた頃。雫は退屈な毎日過ごしていた。いつもなら三が日だってあいつの家族ぐるみでで出かけたりしている頃だというのに、今年はそんなところではなかった。
(あーあ、なんか暇だなぁ)
大学もいよいよ明日から再開という事で、若干憂鬱にもなっていた。それ以上に楓の行方が未だにつかめていないことが、彼女を更に憂鬱にさせており、外にでようなんで気力も湧かなかった。
(もう本当に何やっているのよ、楓は……)
『楓に会いたいか?』
「会いたいに決まっているでしょ。そして一発ぶん殴ならきゃ気が済まないのよ……って誰?」
そんな彼女の想いに答えるかのように、どこからか声が聞こえてくる。
『妾はその楓という人物をよく知っておる。彼が今いる場所も分かっておるし、お主をそこに送ることもできる』
「それはどういう意味?」
『行けば分かる。ただし、お主にその覚悟はあるか?』
「覚悟?」
『これからお主は恐らく乗り越えればならん壁がある。それを越えられる覚悟はあるか?』
「楓に会えるなら、そのくらいの覚悟はできているわよ。ただし、その言葉が嘘だったら許さないわよ」
『心配には及ばぬ。今お主を送る準備が整ったところじゃ』
「整ったって……きゃっ」
楓の時と同じように、彼女の視界を白い靄みたいなものが覆い尽くす。
『さあ行くがよい。もう一つの架け橋よ』
最後に謎の声が聞こえたと思うと、白い靄が晴れていき、
「もう何なのよ……あれ?」
雫も同じように、ユグラナ島へとやって来たのであった。
時は再び今に戻る。
「いって、何するんだよ雫」
辛うじて着地に成功した俺は、殴られた頬を抑えながら彼女に向き合う。
「何すんだよ、じゃないわよ。馬鹿! どれだけ心配させたと思っているのよ……」
それに対して涙ながらにそう言う雫。俺はその姿に言葉を失ってしまった。
『その人、カエデ君がいなくなって、寂しくしているんじゃないかな』
昨日のルチリアの言葉を思い出す。そっか、やっぱり雫も心配していたんだ。俺のことを……。
「ごめん、雫」
「馬鹿……」
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