二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?
第22話 3次元のメイドさん
颯爽と去っていったと思った3次元メイドがなぜか戻って来た。
「あーえー。当店ではメイドが一人、1卓に着くシステムなんですが、どうしますか?」
どうする?ってことは着かなくてもいいってことなのか、ならわざわざ居てもらうわけにもいかないし、非常に残念だけど着かなくてもいいってことにしてもらおう。
この3次元のメイドも違うメイドに言われてここに来たみたいだし。
決して俺が人見知りで喋れなくて、3次元のメイドと一緒に同じ席について何が楽しいんだ?なんてことは思ってないからな。
「じゃあ着かなくても……」
「着いてもらうか。お願いするよメイドさん」
俺が断ろうと思ったら、柏木が着いてもらうかとお願いしやがった!なんてやつだ!
「え?」
今このメイド、露骨に嫌な顔したな。
「分かりました。ご指名ありがとうございます……はぁ」
指名とか全然してないんですけど!
そっちが勝手に来て柏木が……指名した形になりますね。
てか最後、はぁってため息つかなかったか?
「では」
そう言って3次元メイドは「よいしょ」と言いながら、俺の隣に腰をおろした。俺からみたら年増だけど、まだ若そうなのによいしょて……。
え?ていうかなに?
1卓につくってそういうこと?
「んん。あの、め、メイドさん?」
桃もおかしく思ったのか、メイドに聞く。
よし、聞け桃、そして言ってやれ、俺の隣に3次元のメイドなんざいらねーって。3次元なら中学生のメイドを用意しろって。それかアニマルメイドの小〇梓。
「陽向くんは少し考えるのをやめてください」
俺にしか聞こえるか聞こえないかくらいの声で、俺に考えるのをやめさせようとする桃。あのですね?桃さん?人間考えるのをやめたら成長しないんですよ?
「なにか?」
いたって普通に、メイドは桃に言う。
まるでこれが普通ですが?とも言わんばかりに。
「あのなんで陽向くん…その男の子の隣に座るんですか?」
「そうですよ!私は2番目でもいいから甘んじてますけど、そこは本来は篠原さんの場所なんですよ!?」
「き、ききき霧咲さん!?な、なにを言ってるんですか!?」
「あっ、ごめんなさい!その、つい……」
「今度からはやめてくだいね!?陽向くんが今、人見知りの能力で一点をさっきから凝視していて、私たちの会話はまるで聞いて無かったから良かったですけど!」
「う、うん。次からは気をつけるね。でもスキあらば私は1番を取りに行きますからっ!」
メイドが隣にいるせいで、人見知りスキルが絶好調炸裂した中で俺が壁の模様の数を数えていると、桃と霧咲がわーぎゃーとなにやら騒がしく話していた。
なんで、そんなに元気なんですか?
「……私は3番目かな」
 
「柏木、何が3番目なんだ?」
「ん?瀬尾を好きなように使える順番」
「恐ろしいことを言うなって」
爽やかすぎる笑顔で言うもんだから、コップを持つ手が震えたじゃないか。
「私がここに座った理由……ですか?」
桃と霧咲がわーぎゃー騒いでいるのを他所に、3次元メイドは冷静に答える。
「そうですね……単純に空いていたからでしょうか?」
実はな3次元メイドさん。
俺の隣は貴女には見えないだろうけど、嫁が代わる代わる座ってたり、座ってなかったりしてるんだぜ?と心の中で思う俺がいた。
「あ、そうですよね。こっちはもうスペースが無いですし。すいません。変なことを聞いて」
「ですよね、空いてたら、空いてる場所に座りますよね普通は。私もすいません」
「ハンバーグウマウマ」
冷静に答えたメイドに対し、わーぎゃー騒いでいた2人もまた冷静に言葉を出す。
てか、そんなことわざわざ聞かなくても分かると思うんだけど。
ハンバーグ旨そうだな。そして、風貌と言葉のチョイスが合ってないぞ、柏木。
「いえ、お気になさらず。今の一連の流れであなた方がどういった関係なのか分かりましたから」
3次元メイドはかったるそーな表情を一変し、俺に笑顔で言った。
「稀に見る主人公体質ですね」
「え?まじすか!?ありがとうございます!!」
まさか、俺が主人公体質だったなんてな。
攻略を諦めかけてた、二次元美少女をもう一度攻略しなおすかな。
「ええ、ほんと……〇ねばいいのに……」
「え?今なんて?」
「お気になさらずに、ただ、リア充爆発して血の雨を降らさないかなと言っただけですので」
「絶対そんな長い言葉言ってないですよね?」
つか、今の言葉もけっこう酷いんじゃ……
ん?待てよ?俺はリア充じゃないから関係ないか。
リアルは充実してないもんな。
画面の向こう側は充実してんのに。
☆
「けっこう楽しかったなメイド喫茶っていうのも」
「陽向くんはメイド喫茶を楽しんだと言うよりは、あのメイドさんとのアニメ談義を楽しんでたと思ったんですけど」
「いいじゃねーか。どうでも。楽しんだには楽しんだんだから」
「まぁ、そうですね」
メイド喫茶を出た俺たちは、目的もなく、ただゆっくりと歩いていた。話題はもちろん、さっきのメイド喫茶についてだ。
「それにしても、あのメイドさん凄かったね。私と瀬尾がどのアニメのどんなキャラが好きなのかを答えるんだから」
確かに凄かった。
あの3次元メイド。俺と柏木のアニメ話題に入ってくるな否やかったるそーな表情を少し明るくしながら、マシンガントークで俺たちの会話に参加して主導権を奪ったんだから。
それに、何と言っても凄いのはいくつか質問しただけで、俺と柏木の好きなアニメキャラを各アニメごとに当てるんだから。途中から桃みたいに心読んでんじゃね?とも思ったけど、あれはたぶん、普通に当ててるだけだろう。
「で、この後はどうする?俺全然考えてないんだけど。日も暮れてきたし帰るか?」
メイド喫茶を出た時には、もう既に日は傾き、夕日が眩しく輝いていた。あれから今は少し経ち、夕日も影になりつつある。
「そうですね。今日はお開きにしましょうか。明日もあることですし」
「あぁ、やっぱり来る?」
「当たり前です!」
「ですよねぇー」
流れで忘れないかなーとか思ってたんだけど、まぁそうはならないよね。
「明日は陽向さんのお家に直接集合でいいんですか?」
「そうですね……陽向くんのお家だと変にどこかに集まってから行くよりは、行ったほうが早いですよね、明日は直接陽向くんのお家に集合しましょう!」
「分かりました!」
「了解」
俺を除いた三人で、どうやら明日の予定について決めてるっぽい。俺を除いても決まるって……なんか悲しいな。
「ていうか瀬尾」  
「ん?なんだ?」
 
「今日も1箇所しか行ってないな」
「そっちから誘ったのに、俺に頼んだお前らが悪い」
「にしてもだ瀬尾。もう少しなんとかできるでしょ
?」
「すまんな。あんま詳しくないんだわ、3次元の女の子が行きたそうな場所」
となると、必然的に俺の行きたい場所になっちゃうわけだから、しょうがないだろ?
アニメショップとか、ゲームショップとか、古本屋とか、フィギュアショップとか行きたくないだろ?柏木を除いた二人は。
「私は別に陽向くんが行きたい場所で良かっんですけど。アニメショップとか行けば多少勉強にもなったと思いますし」
「私も陽向さんが行きたい場所で……一緒にアニメショップとか行ってみたかったですよ」
「そ、そうなのか?」
あんま3次元の女の子が行きたい場所は分からないけど、こいつらは俺が行きたい場所に行きたいのか。じゃあこいつらは俺のほんとに行きたい場所である画面の向こう側にも一緒に来てくれるだろうか?
「なので次はそうしてくださいね?陽向くん!」
「私からもお願いします!陽向さん!」
「お、おう……。ん?次?え……?次も、もしかしてあんの?」
今日だけだと思って、いや、思ってはなかったけど!だってこいつらだもんっ!!
「当然じゃないですか!陽向くんの調k…矯正は終わってないんですから!」
「そうですよ陽向さん!」
「調教されると分かってて、来たくはねぇな」
「強引にでも私が連れ出すから安心しな」
肩にポンと手を置かれにこやかに柏木に言われる。
だから、お前が言うと怖いんだって。
別れ際に霧咲が下着がどうのこうのと言う、話を桃にしてたけど、幻聴だろう。
「あーえー。当店ではメイドが一人、1卓に着くシステムなんですが、どうしますか?」
どうする?ってことは着かなくてもいいってことなのか、ならわざわざ居てもらうわけにもいかないし、非常に残念だけど着かなくてもいいってことにしてもらおう。
この3次元のメイドも違うメイドに言われてここに来たみたいだし。
決して俺が人見知りで喋れなくて、3次元のメイドと一緒に同じ席について何が楽しいんだ?なんてことは思ってないからな。
「じゃあ着かなくても……」
「着いてもらうか。お願いするよメイドさん」
俺が断ろうと思ったら、柏木が着いてもらうかとお願いしやがった!なんてやつだ!
「え?」
今このメイド、露骨に嫌な顔したな。
「分かりました。ご指名ありがとうございます……はぁ」
指名とか全然してないんですけど!
そっちが勝手に来て柏木が……指名した形になりますね。
てか最後、はぁってため息つかなかったか?
「では」
そう言って3次元メイドは「よいしょ」と言いながら、俺の隣に腰をおろした。俺からみたら年増だけど、まだ若そうなのによいしょて……。
え?ていうかなに?
1卓につくってそういうこと?
「んん。あの、め、メイドさん?」
桃もおかしく思ったのか、メイドに聞く。
よし、聞け桃、そして言ってやれ、俺の隣に3次元のメイドなんざいらねーって。3次元なら中学生のメイドを用意しろって。それかアニマルメイドの小〇梓。
「陽向くんは少し考えるのをやめてください」
俺にしか聞こえるか聞こえないかくらいの声で、俺に考えるのをやめさせようとする桃。あのですね?桃さん?人間考えるのをやめたら成長しないんですよ?
「なにか?」
いたって普通に、メイドは桃に言う。
まるでこれが普通ですが?とも言わんばかりに。
「あのなんで陽向くん…その男の子の隣に座るんですか?」
「そうですよ!私は2番目でもいいから甘んじてますけど、そこは本来は篠原さんの場所なんですよ!?」
「き、ききき霧咲さん!?な、なにを言ってるんですか!?」
「あっ、ごめんなさい!その、つい……」
「今度からはやめてくだいね!?陽向くんが今、人見知りの能力で一点をさっきから凝視していて、私たちの会話はまるで聞いて無かったから良かったですけど!」
「う、うん。次からは気をつけるね。でもスキあらば私は1番を取りに行きますからっ!」
メイドが隣にいるせいで、人見知りスキルが絶好調炸裂した中で俺が壁の模様の数を数えていると、桃と霧咲がわーぎゃーとなにやら騒がしく話していた。
なんで、そんなに元気なんですか?
「……私は3番目かな」
 
「柏木、何が3番目なんだ?」
「ん?瀬尾を好きなように使える順番」
「恐ろしいことを言うなって」
爽やかすぎる笑顔で言うもんだから、コップを持つ手が震えたじゃないか。
「私がここに座った理由……ですか?」
桃と霧咲がわーぎゃー騒いでいるのを他所に、3次元メイドは冷静に答える。
「そうですね……単純に空いていたからでしょうか?」
実はな3次元メイドさん。
俺の隣は貴女には見えないだろうけど、嫁が代わる代わる座ってたり、座ってなかったりしてるんだぜ?と心の中で思う俺がいた。
「あ、そうですよね。こっちはもうスペースが無いですし。すいません。変なことを聞いて」
「ですよね、空いてたら、空いてる場所に座りますよね普通は。私もすいません」
「ハンバーグウマウマ」
冷静に答えたメイドに対し、わーぎゃー騒いでいた2人もまた冷静に言葉を出す。
てか、そんなことわざわざ聞かなくても分かると思うんだけど。
ハンバーグ旨そうだな。そして、風貌と言葉のチョイスが合ってないぞ、柏木。
「いえ、お気になさらず。今の一連の流れであなた方がどういった関係なのか分かりましたから」
3次元メイドはかったるそーな表情を一変し、俺に笑顔で言った。
「稀に見る主人公体質ですね」
「え?まじすか!?ありがとうございます!!」
まさか、俺が主人公体質だったなんてな。
攻略を諦めかけてた、二次元美少女をもう一度攻略しなおすかな。
「ええ、ほんと……〇ねばいいのに……」
「え?今なんて?」
「お気になさらずに、ただ、リア充爆発して血の雨を降らさないかなと言っただけですので」
「絶対そんな長い言葉言ってないですよね?」
つか、今の言葉もけっこう酷いんじゃ……
ん?待てよ?俺はリア充じゃないから関係ないか。
リアルは充実してないもんな。
画面の向こう側は充実してんのに。
☆
「けっこう楽しかったなメイド喫茶っていうのも」
「陽向くんはメイド喫茶を楽しんだと言うよりは、あのメイドさんとのアニメ談義を楽しんでたと思ったんですけど」
「いいじゃねーか。どうでも。楽しんだには楽しんだんだから」
「まぁ、そうですね」
メイド喫茶を出た俺たちは、目的もなく、ただゆっくりと歩いていた。話題はもちろん、さっきのメイド喫茶についてだ。
「それにしても、あのメイドさん凄かったね。私と瀬尾がどのアニメのどんなキャラが好きなのかを答えるんだから」
確かに凄かった。
あの3次元メイド。俺と柏木のアニメ話題に入ってくるな否やかったるそーな表情を少し明るくしながら、マシンガントークで俺たちの会話に参加して主導権を奪ったんだから。
それに、何と言っても凄いのはいくつか質問しただけで、俺と柏木の好きなアニメキャラを各アニメごとに当てるんだから。途中から桃みたいに心読んでんじゃね?とも思ったけど、あれはたぶん、普通に当ててるだけだろう。
「で、この後はどうする?俺全然考えてないんだけど。日も暮れてきたし帰るか?」
メイド喫茶を出た時には、もう既に日は傾き、夕日が眩しく輝いていた。あれから今は少し経ち、夕日も影になりつつある。
「そうですね。今日はお開きにしましょうか。明日もあることですし」
「あぁ、やっぱり来る?」
「当たり前です!」
「ですよねぇー」
流れで忘れないかなーとか思ってたんだけど、まぁそうはならないよね。
「明日は陽向さんのお家に直接集合でいいんですか?」
「そうですね……陽向くんのお家だと変にどこかに集まってから行くよりは、行ったほうが早いですよね、明日は直接陽向くんのお家に集合しましょう!」
「分かりました!」
「了解」
俺を除いた三人で、どうやら明日の予定について決めてるっぽい。俺を除いても決まるって……なんか悲しいな。
「ていうか瀬尾」  
「ん?なんだ?」
 
「今日も1箇所しか行ってないな」
「そっちから誘ったのに、俺に頼んだお前らが悪い」
「にしてもだ瀬尾。もう少しなんとかできるでしょ
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「すまんな。あんま詳しくないんだわ、3次元の女の子が行きたそうな場所」
となると、必然的に俺の行きたい場所になっちゃうわけだから、しょうがないだろ?
アニメショップとか、ゲームショップとか、古本屋とか、フィギュアショップとか行きたくないだろ?柏木を除いた二人は。
「私は別に陽向くんが行きたい場所で良かっんですけど。アニメショップとか行けば多少勉強にもなったと思いますし」
「私も陽向さんが行きたい場所で……一緒にアニメショップとか行ってみたかったですよ」
「そ、そうなのか?」
あんま3次元の女の子が行きたい場所は分からないけど、こいつらは俺が行きたい場所に行きたいのか。じゃあこいつらは俺のほんとに行きたい場所である画面の向こう側にも一緒に来てくれるだろうか?
「なので次はそうしてくださいね?陽向くん!」
「私からもお願いします!陽向さん!」
「お、おう……。ん?次?え……?次も、もしかしてあんの?」
今日だけだと思って、いや、思ってはなかったけど!だってこいつらだもんっ!!
「当然じゃないですか!陽向くんの調k…矯正は終わってないんですから!」
「そうですよ陽向さん!」
「調教されると分かってて、来たくはねぇな」
「強引にでも私が連れ出すから安心しな」
肩にポンと手を置かれにこやかに柏木に言われる。
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