二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?

ハタケシロ

第40話 柏木さん怖いです

「楽しんだ?」

陽向さんと別れ、かっしーに合流するとかっしーが優しく微笑みながら聞いてきました。

「はい!私は十分に楽しみましたよっ!かっしーも楽しんでくださいね!」

「ん。それはもう十分に楽しむつもり」

いつも表情をあまり顔に出さないかっしーが、ふっと笑いにこやかな表情になりました。
陽向さんと何をするかでも考えたのでしょう。きっと。
むぅ。なんか複雑です。
もうちょっと陽向さんと遊びたかったです。
結局私がパンツを穿いてるかどうかも確認してくれませんでしたし。

「じゃあ私も3番目なりに楽しんでくるよ」

「1番でもいいんですよ?かっしーは」

「でも霧咲は2番目に甘んじたんだろ?だったら」

「いえ、私は……!」

私が否定しようとした時、かっしーがそっと私の肩に手を置きました。
そして、

「私も3番目でいいと思ってるしそうするよ」

と微笑みました。

「それに篠原に申し訳ないし、チャンスがないわけでもない」

「……そうですね」

確かに、チャンスがないわけでもないです。
それに、2番目でも捨てられるわけじゃありません!
放置されるだけですよね?きっと!
放置プレイ……なんだがゾクゾクしちゃいますね!

私がかっしーにそう呟くと、かっしーは私から離れ、陽向さんの元へと歩きだしました。

「あっ、そうだ」

歩いていたかっしーが何かを思い出したかのように呟くと、その歩みを止め、私の方へと振り向きました。

「篠原がお前から預かってるパンツどうすればいいか困ってたぞ。早くどうにかしてやれ」

「あっそうでした!早く篠原さんのところに行きます!」

ずっとスースーしてたんですよね。



「何話してたんだ?」

霧咲と交代してやって来た柏木に聞く。
霧咲と分かれてからというもの、柏木がやって来るまでは多少時間がかかった。
遠目で見た二人の会話は読心術を持ってない俺には分からなかったし。

「秘密。女の子にはいろいろあるんだよ」

「女の子……まさか柏木がそんなことを言うなんてふっ……!?!」

すごく鈍い音とともに、腹に強烈な痛みが走った。

「それは、どういう意味だ?瀬尾。事と次第によっては私の火拳が炸裂するぞ?」

「ただの拳がもう炸裂してるんですけど……」

炎を帯びてない柏木の打撃は超痛い。
言葉より先に手が出るってヤンキーじゃねーか。
あー怖い怖い。ヤンキー怖い。柏木怖い。

痛みが引くのを待ってから、俺は柏木に何をするか聞く。
どうせこの場にいてもしょうがないし、この後には桃も待っているのだろう。
ちゃちゃっと終わらせて家でアニメを見るに限る。

「で、どうしますか?柏木さん。何をしますか?」

「どうして敬語なんだ瀬尾?」

「やっぱり目上の人には敬」

「あん?」

「どうする?何する?柏木」

凶器という名の拳を出されると怖くて仕方がねーな。
足が震えちゃうよ♪

「とりあえず屋台を見て回りたい」

「了解だ」



本日二度目、屋台通りを今度は柏木と歩く。
2回目と言う事もあってか、どこに何があるのかだいたい分かってきた。

「それにしても広いよな」

2回目でどこに何があるのかはだいたい分かってきたのだが、分かっているのはさっき霧咲と一緒に歩いたところだけだ。

広い道幅の屋台通りを右に曲がると今度は小さな道幅の屋台通りに出る。
売っているものとかは別に変わったものはないのだが、なぜだか新鮮に感じてしまう。
祭り独特の雰囲気がそうさせているのかもしれない。

「さすが3本の指に入る祭りだな。どこでやってる祭りなのか全く分からないけど」

桃に強制的に連れてこられたのでここが祭り会場と言うこと以外俺には情報がまったくない。
神社があるにはあるのだが、見覚えがないから俺が来たことはない場所なんだろうな。きっと。

「瀬尾。くじやってるぞくじ」

歩みを止め、柏木が指差した方を向いてみると、ハズレなしと書いてあるくじ屋があった。
今時ハズレがあるくじもどうなんだ?とツッコミを入れたくなるが、店側も一応書いているだけなんだろう。

「やりたいのか?」

「ヤりたい?」

「おい。首をキョトンと傾げるな。ギャップがあって可愛いと思っただろうが」

二次元美少女Loveな俺を可愛いと思わせるなんてやるな柏木!
これがギャップ萌えと言うやつか。
マロンちゃんもギャップがあって可愛んだよなー。

「エロゲーのことを思い出してにやけるなよ。キモイぞ瀬尾」

「悪い。ついな」

「で、どうするの?私とヤりたいの?ヤりたくないの?」

「おいどうした柏木!?お前はまだそんなに霧咲のウイルスに犯されてなかったよな!?」

最近、桃と言い柏木と言い霧咲のウイルスに侵されてる気配は漂っていたが、まさかここまでとは……。
早急になんとかしなければ。

「あっ、ちなみに今私がパンツを」

「辞めてくれ!そのくだりは霧咲だけで十分だ」

柏木が布を穿いているかどうか見せようとしてきたので、それを手で制する。
はぁ。どうして俺は、この短時間で3次元の女の子のパンツを穿いてるかどうかの確認を迫られなければいけないんだ。
それと一つ。お前ら3次元(笑)のパンツを見たところで俺は鼻血で地球なんか壊したりしないんだからねっ!

「…………」

「不満そうにするなよ」

頬を少し膨らませて不満をアピールする柏木。
いいか?俺にやるよりそこら辺の男子にでもやっとけ?人気が急上昇するぞ。
冒険でしょでしょみたいな感じで会話の中に、柏木でしょでしょってなるぞ。

「んん。くじをやりたいのか?」

今度はちゃんとくじと主語をつけて言う。
なんだかこいつらと喋ると余計に頭を使わなくちゃいけないから疲れるんだよな。

「いやいいよ。私が欲しそうなものはなんもないし」

クールに言ってるけど、くじ屋のおっさんが引くくらい商品をガン見すんなよな。おっさん超ビビってるぞ。

商品を見て頑として動かなそうな柏木をなんとかひっペがして、くじ屋を通り過ぎる。
商品を見ていた柏木の目はまるでしょうね……少女のように輝いていた。
まぁ、見ていた商品がエアガンとかだったから少年って言ってもいいと思うけど。

「腹減ってないか?」

少し小腹の空いた俺は、柏木に聞いてみる。
マロンちゃんから聞いたのだが、こういう時は男から聞くものらしい。
女の子はお腹が空いていても言えないからだと。

「うん。なにか食べたい」

「そうか。じゃあ焼きそばでも食うか?」

目に入った焼きそば屋を指差しながら聞く。
今まさに作っていて、今買いに行ったら出来立てが食べれそうだ。

「うん。じゃあそれとたこ焼きも買ってきて。私はちょっと別に欲しいものがある」

「?おう分かった。たこ焼きだな」

「学校や近所の人とノリがまったく合わなくなって、父さんが買ってきてくれる名店のたこ焼きだけを心の支えにできるほどの旨さのヤツを頼む」

「そんな友達がいないハーレム難聴系プリン頭の主人公が支えられてたほどのやつが売ってるかは分からないけど、探してみる」

「ん。お願い」

「んじゃまた後で。買ったら連絡入れる」

柏木と別れ、俺はとりあえず出来立てが食べれるであろう焼きそば屋へと向かった。
柏木と居ると、小ネタを言い合えるから楽しい。



「よっ。お待たせ」

焼きそばとたこ焼きを買い終えた俺は、柏木に連絡を入れ、指定されたベンチに来た。
少し、屋台通りから離れた場所に置いてあるベンチには、カップルに人気なのか、カップルが所々にいてうぜぇと思った。

「ん。たこ焼きは買えた?」

「見てみろ。普通のたこ焼きだ」

「ほんとだ。普通のたこ焼きだ」

悲しいかなノーマルな俺には、いいたこ焼きかダメなたこ焼きかを見分けることが出来ないから普通のたこ焼きを買うしかなかったのさ。

「柏木も欲しいものは買えたのか?」

「うん。買えたよ。プリキュアのイラストが書いてあるわたアメ」

そう言って手に持っているわたアメの袋を見せてくる柏木。
確かにそこにはプリキュアが描かれてあって幼女に人気が出そうな感じになっていた。
プリンセスじゃなく、スマイルなあたり、店主は大きなお友達なんじゃないのかと思ってしまう。

「篠原がわたアメは絶対絶対ぜっ〜たいに食べた方がいいですよ!って言ってたから」

「桃はチョ〇パー好きだからな」

チョッ〇ーの大好物のわたアメを好きになったんだろうな。桃も。

「そういや柏木さ。髪切った?」

「え?気づいてたの?」

目を見開いて、ほんとに驚いた顔をする柏木。
そんなに驚くなよ。まるで俺がデリカシーがないみたいじゃねぇか。
金髪ツインテールにデリカシーないですよおじさんって言われたい俺です。

「まぁな。なんかいつもと違うなー誰かに似てんなーとおもったら喰種のとうかちゃんに似てるよな」

「さすが瀬尾だな。せっかく黒髪だし、面白かった喰種のとうかに似せようと思ったんだ」

「似合ってるぞ」

桃の金髪、霧咲の茶髪も良いけど、柏木の黒髪もいいな。
霧咲同様浴衣を着ている柏木は、黒髪が映えていい感じになっている。まじ似合うなオイ。
写真を取れば売れるな智和に。
黒髪ロングもいいが、柏木みたいにショートでもいいな。

「そ、そうか……似合うか」

照れているのか、珍しく髪をクルクルといじりながら呟く柏木。
柏木も照れるんだな。

「二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く