二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?

ハタケシロ

第49話 転校生が異国から来たそうですよ?

転校生であるセラフィさんに教室内から拍手が巻き起こってます。
男の子からやけに大きな拍手が聞こえる気もしますが、仕方ないですね。これは。
女の子である私から見ても可愛いと思いますし。
でも、セラフィさんってどこかで見たことがある気がするんですよね……まぁ、気のせいでしょうけど。

私はチラリと陽向くんの方を見て、どんな反応をしているのか確認してみることに。

まぁ、あの陽向くんですから3次元の女の子にはいくら転校生とは言え、興味を示さなそうですけど。

ち、チラ

「(・・)」

びっくりするくらいの無反応でした。
興味を抱くなんて言う概念がまるでなかったかのようです。
目なんて、いえ。顔なんて窓の方を向いてます。

「なっ……!?」

「どうかしたか?クリスティアーノ」

「い、いえ。なんでもありませんわ」

いきなりセラフィさんが驚いた声を上げ、先生が不思議に思い声をかけましたが、セラフィさんはさっきどうよう素敵な笑顔を浮かべてました。

何かあったのでしょうか?

いえ、何も無かったのでしょう。
陽向くんの方を見て声を上げた気もしましたが、陽向くんを見て声を上るのは霧咲さんくらいなので、何も無いはずです。



「へくちっ」

「どうしたの?風邪?」

「ううん。きっと誰かが噂してるんだよ」

「そう?風邪には気を付けてね」

「うん。ありがとう」





(…………まったく陽向さんったら)



それにしても。
どうしたらあんなに大きくなるんですか!
夏服のブラウスがはち切れそうじゃないですか!

D以上は堅いですね。乙女さんもすごいと思ってましたけど、セラフィさんもなかなか……。
この世はすごい人ばかりなんですね(胸が)。

チラリと確認。
……不思議で満ち溢れてるんですね。

この世は不平等です。



「うおっ…………!」

桃のいる席あたりから、いや、桃から怨念のこもったオーラを俺は感じだ。

なんだ?このオーラは。
見てみると、桃は自分の胸あたりを見てる気がするが……。

「どうした?陽向?」

「いや、女の子にはいろいろあるんだなと思ってさ」

まぁ、桃の胸は「ふ」だもんな。
おっと、これ以上は考えないようにしよう。

「?どうした?智和」

俺がいろいろあるんだなと言ってから、智和が俺の顔をすげぇ驚いた表情で見ていた。

俺の額に手を当て、何かを確認した後、うんうんと頷いてから、

「熱は……ないみたいだな」

と言いやがった。

「なんだその俺がおかしなことを言ったみたいな感じは」

「OK陽向クールにいこうぜ。まずはその右拳をおろそうか」

ちっ、気づいてやがったか。

「で、なんなんだ?」

「だってお前。お前がだぞ!?あの、陽向様がだぞ!?女の子のことを言うなんて!」

「お前は俺をなんだと思ってるんだよ。あーいや、言わなくていいわ」

どうせまた、漢字とルビが違うことを言われるに決まってる。

「つかな、俺だって別に3次元の女の子に興味がないわけじゃないんだぞ?昨日だって」

「中学生女子しか興味ないお前はただの変態だからな?」

「んだと?」

中学生女子のどこが悪いんだ!
あの幼さが残る顔に、あの

「陽向、関。少しうるさいぞ」

ガタっ
ガタっ

「「すいませんでした!!」」



「へー陽向さんたちのクラスに転校生が来たんですね」

「らしいぞ。それもお嬢様みたいだとよ」

「陽向くん。どうして陽向くんは他人から聞いたかのように言ってるんですか?」

「実際よく見てねぇし。智和から聞いたからな」

「瀬尾は相変わらずだな」

放課後。
部室に俺、桃、霧咲、柏木といつものメンバーが揃っていた。
こうして揃うのは、夏休み強制的に連れてかれた花火大会で、桃に告白されたあの日以来だ。
あの時の霧咲と柏木は桃が告白するという事を知っていたらしく、告白していた事自体には驚いてなかった。
けど、俺がふったことに関しては多少なりとも動揺というか、なんか、落ち着かない感じだった。

ラノベやアニメとかだと、同じ部活の誰かがその……告白すると、ギクシャクするものだが、友人部にはそういったものはなかった。
若干する、してるんじゃないかと思って部室に来たが、やっぱりそういったものはなかった。

まぁ、なんか知らんけど、花火大会の帰り道めっちゃ話したもんな。
告白のこと全般で。

だから今はこうしてまたいつもみたいに話している。
もっぱら今の話題はうちのクラスに来たっぽい転校生についてだ。

「その転校生はどう言った感じの人なんですか?ひな……篠原さん」

「おい。俺がろくに転校生のことを知らないとはいえ、それはそれでイラッとするぞ」

「では、そのイライラを私の身体で発散してください!大丈夫ですっ!どんなこと……子作りをされても大丈夫ですからっ!」

「なぜ言い直した!?全然大丈夫じゃねぇ!」

どんな子作りってなんだ!?
子作りって単語がすげー生々しいぞ!?

「すみません陽向くん。私は今日あまり体調が優れないのでパスでお願いします」

「悪い瀬尾。私もだ」 

「お前らもノッてんじゃねーよ!」

ボケ3人にツッコミ1人はきついと思います!
つか、くそっ!
霧咲ウイルスを誰か止めてくれっ!
このままじゃこいつらにツッコミを入れるだけで体力が尽きて、二次元美少女たちとhshsできなくなるっ!

「んん。まぁ、この話は置いとくとしましょう」

「そこは冗談ですって言ってもらいたいんだが」

話を置くってことは冗談じゃないんですか?
どうなんですか?

「転校生さんについてですが、名前はセラフィ・クリスティアーノさん。ロシア生まれのロシア育ちと言ってましたね。今年の夏に日本に引っ越して来た関係で、私たちの高校に通うことになったと聞きました」

「すげーな桃。よくそんなに情報もってんな」

「私もこれらの情報は友達から聞いたんですけどね。日本語が喋れるのは、日本好きな両親の影響みたいですよ」

「へー」

桃もすごいな。さすが交友関係がうちのクラスNo.1だけのことはある。
友達がたくさんいると、本人に直接聞かなくてもいろいろ情報を得れるんだな。
逆に俺は、交友関係がうちのクラス断トツのワースト1位だから、情報という情報が入ってこねぇ。
入っくるのは、智和の情報という名の予想だけだ。
まぁ、べつに興味がないから全然いいんだけど。

「あ、そうだ陽向くん。今日文化部部長会議で言われたことを言いますね」

「その前に待ってくれ。桃。その文化部部長会議ってなんだ?」

言葉のニュアンスからして文化部の部の長たるモノが参加しそうな会議の名前なんだが。

「え?通達きませんでした?」

「通達ってなんの?」

「だから文化部部長会議についての通達ですよ」

「来てないけど」

「…………」

あれ?なんかおっかしいぞー?

「おかしいですね。副部長なので通達が来たと思ったんですけど……でも確かに各部活とも部長と思われる1人しか参加してなかったですね……」

と、桃が独り言を言っている。





…………なんとなく。察しは付いた。

ポンっ
と肩に手を置かれ

「ドンマイ」

と柏木に言われる。

そっと手を置かれ

「(ニコッ)」

優しい笑顔を霧咲は向ける。

皆、この事態がどういうことなのか、気づいてしまった。

「(´・ω・`)」

「気にしないで下さい!陽向くんっ!何かの間違いですよ!」

「普通間違いで部長のところに通達が来ないってあるか?それも俺だけ!」

「まぁ、でも実際は篠原さんが」

「霧咲それ以上は瀬尾に酷だ」

「変な気遣いやめてくれ!余計悲しくなるっ!」

くそっ!まさかここにいる奴ら以外からも俺が友人部の部長だと思われてないだなんて!
確かにっ!桃の方が部長っぽいけど!

「で、篠原さん?会議で何を言われたんですか?」

「あ、はい。会議ではですね。生徒会長さんから文化祭についていろいろと説明されました」

「文化祭?あ、もうそんな季節になるんですね!」

「実際にやるのはまだ先みたいなんですけど、例年準備及び各文化部に説明は2学期の始業式の日に行うらしいです」

「へー」

「で、言われた内容なんですけどって、陽向くん?元気出してくださいよ。聞いてますか?部長」

「そうですよ陽向さん。部長なんですから元気出してくださいっ!」

「瀬尾部長らしく、しゃんとしろよ」

そんなわざとらしく部長、部長言われたくらいで俺は……

「しょうがないな。部長の俺が聞いてやるよ」

「「「(チョロイ……)」」」

部長であるおレが聞かなければ始まらないからなっ!
あれ?なんか俺だけちゃんと話を聞かないクソ野郎みたいになってる気がするけど、気のせいだよな?

「んん。では、言われた内容について話しますけど、基本的に運動部としての出し物は禁止。クラスごと及び文化部の出し物は可」 

「なんか、普通だな」

「はい。ここまでは。クラスの出し物については特に決まりは無いんですけど、文化部として出すとなると決まりがあるんですよ」

「どんなのだ?」

過激なコスプレや、過激な描写のあるアニメ鑑賞会はダメとかって言ったところか?

「その前に確認ですけど、友人部として文化祭に参加したいですか?」

「そりゃまぁ」

「私も参加したいです!」

「私も」

良かった。俺だけじゃなかったんだな。参加したいって思ってるやつ。

「では、いいます。文化部が文化祭に参加する決まり、いや条件を」

一拍置いたあと、桃は口を開き言った。

「部員が5人以上であること。……たくさん部があるのでその処置だと思うんですけど」

5人以上ねー。
余裕余裕。

ん?

「1」

と、俺。

「2」

と、桃。

「3」

と、霧咲。

「4」

と、柏木。

……

あれ?5の人ー?
あなたの番ですよ!5の人ー?

「そうなんです。友人部は一人部員が足りないんですよ」

「嘘だ!幻の5人目がいるはすだ!」

「結局幻じゃないですか!」

ちくしょう!
文化祭と言えばラノベ&アニメで定番中の定番だと言うのにっ!
俺は参加することすらできないのかっ!

「そう言えば、かっしーが今のところ1番新しい部員ですもんね」

「柏木が入ったことによって、コアなアニメの話とかがらできるから、部員探しはもういいやって心のどこかでなってたんだよな」

「立ち上げ当初の部員探しが懐かしいですね」

そういや、あの時はまだ俺と桃しか居なくて、ポスターとか貼りに行ったけ。
あれ以来誰も部室を訪れる者はいないけど。
ポスター意味ねぇじゃねぇか!

「よし、新たに探すか!部員をっ!」

「陽向くんならそう言うと思ってましたよ」

「ですね!探しましょう!」

「だな」

ここに、友人部の心が一つになった。

コンコン。

ここで、ドアをノックする音が響いた。

「先生か?」

「先生なのでしてら、ノックはしないと思うんですけど」

「だな。あの人なら蹴破るもんな」

じゃあ誰だ?もしかして、ここに来て友人部に入りたいって言う新入部員候補が来たのかっ!?

「もしかして、新入部員か?」

「いやでも、まさか……」

「こんなタイミングよく……ね?かっしー」

「果たし状でも送りに来たか?」

こえーよ!!

「ポスターをみて来たのですけれど」

………… 

「「「「キタ━━(゜∀゜)━━!!!!」」」」

まさか、本当に来るとはっ!
神様は俺を見捨てなかったんだ!

「入ってくれ!いや、くらさい!」

「では、失礼しますわ」

ドアの向こうにいる新入部員候補がそう言うと、ドアがゆっくりと開いていき、金髪の髪と、縦ロールが見えた。

「ようやく。見つけましたわ」

完全にドアが開ききって、金髪縦ロールの新入部員候補は俺を見てそう言った。

「瀬尾、ヨウタ!」

そして、人差し指を俺に向けながら、この部室にいないやつの名前を大声で叫んだ。

ちらりと記憶の片隅にあった、セラフィ・クリスティアーノという転校生の名前を俺は思い出した。

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