ダークエルフさん、俺の家で和まないでください! ~俺はガチャを回しただけなのに~
第二十一話 何をしているのでしょう
ほんとはもう少し変にこねくり回されて、結局金も払わないから商品は無駄になる……商売人が見たら血反吐が出そうな感じを正直予想していたのだが、意外にも何とかなりそうだった。……やれやれ、勘弁してほしいよ。俺しか居ないタイミングで、トラブルなんて起きてくれるなよ!
……と言えるわけでもなく、実際問題、俺はどうにかこうにかヒヤヒヤしながら行動するしかないのだった。
ハンバーガーセットを作り終えて、それを紙袋に入れる。
「ハンバーガーセットお待ちのお客様」
「ほいほい、わしじゃ。わし」
ロリババアかよ。
……おっと、不味い。平静を保っていないと不味いぞ。変な因縁をつけられてしまうとそれまでだ。
「……今、ロリババアと思ったな? 心の中で」
不味い、ばれている!
「ばれているよ、ばれている。お前の考えなど手を取るように解るからな。そもそも、何も思わなかったのか? 今まで、『リアライズ』の世界からやってきたキャラクターがどうして動こうとしなかったのか……ということについて」
リアライズの世界を知っている……。こいつ、やはり!
俺はそう考えると、後ずさる。あいにく、今ここに居るのは俺だけ。ワンオペで助かった。誰かいたら確実にクビになっていただろうからな。
ロリババアはかかっ! と笑う。
「馬鹿め、そんなことをまさかほんとうに思っている人間が居るとは! この世界の知力というものも、相当低いものだな。程度が知れる!」
「……ここに来たのは、人間の頭を試すだけ。ただそれだけってことじゃないだろう?」
「当然だ。私は魔王様を探しているのだ。さあ、言え、人間。魔王様はどこに居る?」
それは、俺も知りたいことなのだがなあ。
「……あ、ここにいたー」
三人目の登場人物の登場だ。あ、一応言っておくと一人目は俺だ。
ジャケットにショートパンツを履いた女の子だった。黒と白のボーダーのハイソックスを履いていて、ブーツを履いている。
いや、訂正しよう。
そのどこか幼げな顔立ちは、女の子――というよりも少女と言ったほうが強ち間違っていないのかもしれない。
「ごめんなさいねー、うちの親戚が。最近ゲームにはまっているから、ゲームのキャラを演じるのが好きになっちゃって」
そう言ってひょいとロリババアを持ち上げる。
ロリババアは手足をばたつかせながら、「おい、離せ! まだ話したいことがあるのだ!」と言っていた。……もし少女の言っていたことが本当なら、かなり演技力があると思う。子役養成所でも通わせればいいのに。
そして俺はすっかり冷めきっていたハンバーガーセットをロリババア――正確に言えばロリババアを迎えに来た少女に手渡した。少女は満足げにそれを受け取ると、踵を返して立ち去って行った。言っておくが、意地悪で冷めきったハンバーガーセットを渡したわけじゃない。恥ずかしい話だが……、忘れていただけなのだから。
――間庭さんがバイト先であるこのハンバーガーショップにやってくるのは、それから十分後のこととなる。
……と言えるわけでもなく、実際問題、俺はどうにかこうにかヒヤヒヤしながら行動するしかないのだった。
ハンバーガーセットを作り終えて、それを紙袋に入れる。
「ハンバーガーセットお待ちのお客様」
「ほいほい、わしじゃ。わし」
ロリババアかよ。
……おっと、不味い。平静を保っていないと不味いぞ。変な因縁をつけられてしまうとそれまでだ。
「……今、ロリババアと思ったな? 心の中で」
不味い、ばれている!
「ばれているよ、ばれている。お前の考えなど手を取るように解るからな。そもそも、何も思わなかったのか? 今まで、『リアライズ』の世界からやってきたキャラクターがどうして動こうとしなかったのか……ということについて」
リアライズの世界を知っている……。こいつ、やはり!
俺はそう考えると、後ずさる。あいにく、今ここに居るのは俺だけ。ワンオペで助かった。誰かいたら確実にクビになっていただろうからな。
ロリババアはかかっ! と笑う。
「馬鹿め、そんなことをまさかほんとうに思っている人間が居るとは! この世界の知力というものも、相当低いものだな。程度が知れる!」
「……ここに来たのは、人間の頭を試すだけ。ただそれだけってことじゃないだろう?」
「当然だ。私は魔王様を探しているのだ。さあ、言え、人間。魔王様はどこに居る?」
それは、俺も知りたいことなのだがなあ。
「……あ、ここにいたー」
三人目の登場人物の登場だ。あ、一応言っておくと一人目は俺だ。
ジャケットにショートパンツを履いた女の子だった。黒と白のボーダーのハイソックスを履いていて、ブーツを履いている。
いや、訂正しよう。
そのどこか幼げな顔立ちは、女の子――というよりも少女と言ったほうが強ち間違っていないのかもしれない。
「ごめんなさいねー、うちの親戚が。最近ゲームにはまっているから、ゲームのキャラを演じるのが好きになっちゃって」
そう言ってひょいとロリババアを持ち上げる。
ロリババアは手足をばたつかせながら、「おい、離せ! まだ話したいことがあるのだ!」と言っていた。……もし少女の言っていたことが本当なら、かなり演技力があると思う。子役養成所でも通わせればいいのに。
そして俺はすっかり冷めきっていたハンバーガーセットをロリババア――正確に言えばロリババアを迎えに来た少女に手渡した。少女は満足げにそれを受け取ると、踵を返して立ち去って行った。言っておくが、意地悪で冷めきったハンバーガーセットを渡したわけじゃない。恥ずかしい話だが……、忘れていただけなのだから。
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