ダークエルフさん、俺の家で和まないでください! ~俺はガチャを回しただけなのに~
第三十七話 妥協案を受け入れましょう
「なら、なぜこのような案を……」
「レティーナに言われたのだよ。この世界に挑むのも悪くはないでしょうが、元の世界で私たちを待つ者がたくさんいる、とね。それは、お前たちも一緒だろう?」
それを言われて頷くルイスとマリア。
どうやら魔王は情に訴えてきている、ということだろうか?
違うかもしれないが、俺の乏しい感性ではそのようにしか感じ取ることが出来ない。
「……どうだ。お前たちだって、待っている人間がいるだろう?」
「確かにそれはそうだ」
言ったのはほかでもないルイスだった。
ルイスの言葉を聞いてうんうんと頷くのはマリアだった。
「確かに魔王たるあなたがそれを提案してくれるのは大変有り難いことではありますが……、ほんとうなのでしょうね? あなたのその考えは。この世界では何もせず、もともとの世界でけりをつける、と」
「そう言ったではないか、堕女神よ。それともお前には理解能力が乏しいのか? だとすれば悲しいことだ。……おや、失敬。つい言いすぎてしまった。許してくれたまえよ、私はそういう性格なのだ」
「……それは別にいいでしょう。とにかく、あなたがそう考えるのは構いません。あなたがほんとうにこの世界に戻ろうと、この世界で血を流したくないというのであれば協力しましょう。ですが、それはほんとうなのでしょうね?」
メイルはそこで溜息を吐いた。
どうしてここまで信用してくれないのか、と言ったような感じだった。
目を細めて、マリアに語る。
「それについては問題ない。扉が開いたら直ぐに戻るとも。そして、扉は閉める。今後一切、この世界に立ち入ることはないだろう。そして、この世界を侵略するというのも、少なくとも私の代では禁止しようではないか。どうだ。魔王に二言はないぞ。それでも、嘘だと宣うか」
それを聞いたマリアは漸く理解したのか、短い溜息を吐いたのち、ゆっくりとメイルに近付く。
そしてメイルはマリアの差し出した右手をゆっくりと、それでいて力強く握った。
「了承しましょう、魔王メイル。あなたの出した意見について。それならば、きっとこの世界に戻ることも簡単になります。いつでも実行は可能でしょう」
「……とも言いたいところだが、レティーナが推測すると、扉に近づく必要があるらしい。それに、この世界は何かと管理されまくっていて、人の目を避ける必要があるだろう。となると、考えられるのは……」
「夜間しかない、ということか」
俺のぽつりと言ったその言葉に賛同するように、メイルはにやりと笑みを浮かべた。
「その通りだよ、人間。名前は聞いていても忘れるだけだから聞かないでおこう。とにかく、深夜、高い建造物の上から行いたい。そうであれば『扉』を狙うことも簡単だ。それに、日中はソルもあるからな」
「ソル?」
「……この世界でいう、太陽のことよ」
俺の疑問に答えたのは、ルイスだった。
こうして俺たちの、『リアライズ世界帰還作戦』はゆっくりと遂行されていくのだった。
「レティーナに言われたのだよ。この世界に挑むのも悪くはないでしょうが、元の世界で私たちを待つ者がたくさんいる、とね。それは、お前たちも一緒だろう?」
それを言われて頷くルイスとマリア。
どうやら魔王は情に訴えてきている、ということだろうか?
違うかもしれないが、俺の乏しい感性ではそのようにしか感じ取ることが出来ない。
「……どうだ。お前たちだって、待っている人間がいるだろう?」
「確かにそれはそうだ」
言ったのはほかでもないルイスだった。
ルイスの言葉を聞いてうんうんと頷くのはマリアだった。
「確かに魔王たるあなたがそれを提案してくれるのは大変有り難いことではありますが……、ほんとうなのでしょうね? あなたのその考えは。この世界では何もせず、もともとの世界でけりをつける、と」
「そう言ったではないか、堕女神よ。それともお前には理解能力が乏しいのか? だとすれば悲しいことだ。……おや、失敬。つい言いすぎてしまった。許してくれたまえよ、私はそういう性格なのだ」
「……それは別にいいでしょう。とにかく、あなたがそう考えるのは構いません。あなたがほんとうにこの世界に戻ろうと、この世界で血を流したくないというのであれば協力しましょう。ですが、それはほんとうなのでしょうね?」
メイルはそこで溜息を吐いた。
どうしてここまで信用してくれないのか、と言ったような感じだった。
目を細めて、マリアに語る。
「それについては問題ない。扉が開いたら直ぐに戻るとも。そして、扉は閉める。今後一切、この世界に立ち入ることはないだろう。そして、この世界を侵略するというのも、少なくとも私の代では禁止しようではないか。どうだ。魔王に二言はないぞ。それでも、嘘だと宣うか」
それを聞いたマリアは漸く理解したのか、短い溜息を吐いたのち、ゆっくりとメイルに近付く。
そしてメイルはマリアの差し出した右手をゆっくりと、それでいて力強く握った。
「了承しましょう、魔王メイル。あなたの出した意見について。それならば、きっとこの世界に戻ることも簡単になります。いつでも実行は可能でしょう」
「……とも言いたいところだが、レティーナが推測すると、扉に近づく必要があるらしい。それに、この世界は何かと管理されまくっていて、人の目を避ける必要があるだろう。となると、考えられるのは……」
「夜間しかない、ということか」
俺のぽつりと言ったその言葉に賛同するように、メイルはにやりと笑みを浮かべた。
「その通りだよ、人間。名前は聞いていても忘れるだけだから聞かないでおこう。とにかく、深夜、高い建造物の上から行いたい。そうであれば『扉』を狙うことも簡単だ。それに、日中はソルもあるからな」
「ソル?」
「……この世界でいう、太陽のことよ」
俺の疑問に答えたのは、ルイスだった。
こうして俺たちの、『リアライズ世界帰還作戦』はゆっくりと遂行されていくのだった。
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