ルームメイトが幽霊で、座敷童。
戦闘の唐突なカーテンコール
「それはただの自己満足だろ。自己満足のために崇敬の念を集めているに過ぎない!」
俺は言った。言ってやった。普通こんなものを言ったらバチが当たっちまうもんだが、そんなことどうでもいい。いや、どうでもよかった。
ふうん、とツクヨミはそれでもペースを崩すことなく、
「……それじゃ、これを見ても君はまったく何も心変わりすることはないのかなあ?」
そう言って。
ツクヨミはあるものを出してきた。
それは、闇だ。正確には闇がボールめいた形状になっている。一切の光を通さないそれに、恐怖すら覚える。
それを見て、ツクヨミは言った。
それと同時に、闇の中から誰かが出てきた。
それは――紛れもない碧さんだった。
「碧さん!」
「リト!」
碧さんは俺の顔を直ぐに見つけることができたらしく、俺の名前を叫ぶ。
しかし、直ぐに表情を変えて、
「なんでここまでやってきた! さっさと逃げろ! これはカミとカミの戦い、人間には手出しできないしできるはずがないんだよ!」
「手出しできるか出来ないか! 決めるのは碧さんじゃない、俺だ! 俺ができるかどうかを決めるんだ! そして、そんな簡単に諦めんなよ! 何があるかまだ解らないだろうが!!」
「いいや、無理だよ。無駄といってもいいだろう。そんなもんができるならとっくに姉ちゃん……アマテラスができているはずだ」
ツクヨミはそう言って鎌を持った。鎌を上げて、それを碧さんの首筋に添えた。
「おい、何をする気だ……」
「今日は月がよく出ている。まあ、出ていなくても僕の力でどうにかしていたけど、出ているには好都合だ。君にこの光景を見せることができる。君に『絶望』を植え付けることができる。まあ、もともとはこちらの『強制送還』が目的だったわけだし」
「強制……送還?」
「ああ。そうだよ。この姉ちゃんは天気を自分でコントロール出来ない。それをオオヤシマに移したからだ。おかげでオオヤシマは大助かりだ。今まで姉ちゃんの気分次第で変わっていた気まぐれな天気を、それこそ機械的に決められたスケジュールで変えることが出来るんだから」
「それじゃあ……もう碧さんは……」
俺の考えは、あまりにも醜くて残酷なことだった。
そして、それを予想したツクヨミは笑みを浮かべて、
「うん。姉ちゃんは用無しだ」
そう言って。
ツクヨミは持っていた鎌を碧さんの首に振り落とした。
――あまりにもあっけなかった。
ゴトリ、という音と共に碧さんの首が落ちる。碧さんは笑っていた。どうしてこのタイミングでも笑っていられたのか……俺にはまったく理解できなかった。
軈て首が消失して、身体も消えていく。
「この世界にあった写身を破壊した。これで姉ちゃんは神界でしか生きていくことは出来ない。まあ、新たに写身をつくれば話は別だけど、そんなのもう許されないもんねー。このまま姉ちゃんがどうなるか教えてあげると、オオヤシマによる審判だ。審判はまあ、決まっている。神からの追放だよ。人間の幽霊でもなんでもなくなった姉ちゃんはそのまま居場所を失い……完全に消失する。妥当だよね、オオヤシマの、僕たちの計画を無碍にするような行動を取っていたんだから」
「おまえ……」
俺は目の前にいるツクヨミに怒りを覚えた。いや、悲しみなのかもしれない。どうして姉弟なのに、殺し合う必要があるのか。どうしてそこまで冷酷に任務を実施できたのか。それを考えるだけで……。
「どうしたの? 僕を殺すのなら無駄だよ。僕はなんてったってカミサマだもん」
そう言って。
ばいばーいと腑抜けた挨拶とともに、ツクヨミと闇は姿を消した。
残されたのは、俺と、俺に握られたピースフル・フィストだけだった。
俺は言った。言ってやった。普通こんなものを言ったらバチが当たっちまうもんだが、そんなことどうでもいい。いや、どうでもよかった。
ふうん、とツクヨミはそれでもペースを崩すことなく、
「……それじゃ、これを見ても君はまったく何も心変わりすることはないのかなあ?」
そう言って。
ツクヨミはあるものを出してきた。
それは、闇だ。正確には闇がボールめいた形状になっている。一切の光を通さないそれに、恐怖すら覚える。
それを見て、ツクヨミは言った。
それと同時に、闇の中から誰かが出てきた。
それは――紛れもない碧さんだった。
「碧さん!」
「リト!」
碧さんは俺の顔を直ぐに見つけることができたらしく、俺の名前を叫ぶ。
しかし、直ぐに表情を変えて、
「なんでここまでやってきた! さっさと逃げろ! これはカミとカミの戦い、人間には手出しできないしできるはずがないんだよ!」
「手出しできるか出来ないか! 決めるのは碧さんじゃない、俺だ! 俺ができるかどうかを決めるんだ! そして、そんな簡単に諦めんなよ! 何があるかまだ解らないだろうが!!」
「いいや、無理だよ。無駄といってもいいだろう。そんなもんができるならとっくに姉ちゃん……アマテラスができているはずだ」
ツクヨミはそう言って鎌を持った。鎌を上げて、それを碧さんの首筋に添えた。
「おい、何をする気だ……」
「今日は月がよく出ている。まあ、出ていなくても僕の力でどうにかしていたけど、出ているには好都合だ。君にこの光景を見せることができる。君に『絶望』を植え付けることができる。まあ、もともとはこちらの『強制送還』が目的だったわけだし」
「強制……送還?」
「ああ。そうだよ。この姉ちゃんは天気を自分でコントロール出来ない。それをオオヤシマに移したからだ。おかげでオオヤシマは大助かりだ。今まで姉ちゃんの気分次第で変わっていた気まぐれな天気を、それこそ機械的に決められたスケジュールで変えることが出来るんだから」
「それじゃあ……もう碧さんは……」
俺の考えは、あまりにも醜くて残酷なことだった。
そして、それを予想したツクヨミは笑みを浮かべて、
「うん。姉ちゃんは用無しだ」
そう言って。
ツクヨミは持っていた鎌を碧さんの首に振り落とした。
――あまりにもあっけなかった。
ゴトリ、という音と共に碧さんの首が落ちる。碧さんは笑っていた。どうしてこのタイミングでも笑っていられたのか……俺にはまったく理解できなかった。
軈て首が消失して、身体も消えていく。
「この世界にあった写身を破壊した。これで姉ちゃんは神界でしか生きていくことは出来ない。まあ、新たに写身をつくれば話は別だけど、そんなのもう許されないもんねー。このまま姉ちゃんがどうなるか教えてあげると、オオヤシマによる審判だ。審判はまあ、決まっている。神からの追放だよ。人間の幽霊でもなんでもなくなった姉ちゃんはそのまま居場所を失い……完全に消失する。妥当だよね、オオヤシマの、僕たちの計画を無碍にするような行動を取っていたんだから」
「おまえ……」
俺は目の前にいるツクヨミに怒りを覚えた。いや、悲しみなのかもしれない。どうして姉弟なのに、殺し合う必要があるのか。どうしてそこまで冷酷に任務を実施できたのか。それを考えるだけで……。
「どうしたの? 僕を殺すのなら無駄だよ。僕はなんてったってカミサマだもん」
そう言って。
ばいばーいと腑抜けた挨拶とともに、ツクヨミと闇は姿を消した。
残されたのは、俺と、俺に握られたピースフル・フィストだけだった。
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