ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

世界の未来と終了条件


 部屋を出ると待ち構えていたかのように信楽さんが笑っていた。

「やっぱりあなた……性格超悪いですね、『アマテラス』で消え去るぐらいひどいんじゃないですか?」
「お褒めいただきどうも……」
「褒めてないですよ! 今の発言をどう読み取ったらそうなるんですか!?」
「んで、君の考えをお聞かせ願おうか」

 信楽さんが小さく溜め息をついた。なんだ、まさか本気だったのか? ……そんなことは考えたくもないので、俺はさっさと結論を告げた。

「……やはり、あの城にゲームシステムの根幹を為すものがあると思う。聞いた限りでは、その城は季節の変わり目を知らせてくれたりとゲームシステムに重要な役目を果たしている。恐らく何かがあるはず……だと思う」
「……火山をクリアするという手もあるんだが?」
「武器も防具も殆どない俺らにどう戦って火山まで?」

 俺がそう言うと、「そりゃあそうだ」という感じに信楽さんは両手を顔の高さにまで上げた。

「じゃあ火山特攻はなしか……」
「特攻ってなんですかそれ! リスポーン出来ないんですよ!?」
「君の犠牲は無駄にはしないよ……」
「そういう意味じゃなくて!」

 何だか信楽さんは天然なのかわざとなのか解らないくらいの言動だ。だが、敢えて言おう。信楽さんは後者だ。確実に、自分が楽しむために言っている。なんやかんやで最低じゃねぇか! と自分でその回答を出してしまうくらいに、最低に思えた。

「……で、だ。どうするね?」

 暫く会話に参加していなかった碧さんが訊ねる。そういや美夏さんはどうしたんだ……?
 と、思ったが美夏さんはバルコニーにある椅子に座って何かを飲んでいた。和みすぎだ。これが日本神話最強のカミサマと言っても、どれくらいの人間を信じ込ませられるだろうか。

「……で、聞いてる?」
「あ、あぁ。聞いてる。勿論だ。当たり前だろう」
「なんだかずっとあっちのバルコニーの方ばかり見ていた気がするなぁ……」
「き、聞いてたよ! 当たり前じゃないかハハハ!!」

 俺にとってかなり苦し紛れの言い訳だったが、何とかこれで逃げられたようだった。何故なら、碧さんはそれを聞いて小さく溜め息をつき、「まぁ、いいや。とりあえず話を再開させないにゃ」と呟いた。
 なんとか思い過ごせた、と俺は心の中で溜め息をついた。ばれたらばれたでそれは辛いかな。

「あんたが考えているのは城に行く方なのよね?」

 碧さんに言われ、頷く。
 それを観て碧さんはひどくつまらなそうな表情を見せた。

「ふぅん……やっぱそっちか」
「なんだ、不満があるなら言ってみろ」
「不満、というレベルなんだけどね」

 そう前置きして、碧さんは話し始めた。

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