ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

暇人と言葉と特別任務(後編)

 淡々と述べられていくんだが、そもそも呪いってのは存在するのか?
 答えはノー、だ。
 大体の幽霊が悪気のない(と思い込んでいるだけで実際は違うのかもしれないが)行動を働いている。つまりは『おふざけ』なのだ。自身を気付いて欲しい、というアピールに他ならない。
 だからオカルト側では『呪い』を公式で否定しているわけだが、それでは事情を知らない人間には説明がつけづらい。だから事情を知らない(オカルトには深く関わっていない)人間はそれを『呪い』と呼ぶわけだ。

「このゲーム、かつては有名だったゲーム会社が販売したものだったらしいのですが、このゲームを開発してのち、スタッフが何人も奇怪な死を遂げたと聞きます。そして会社側がひっそりと販売を中止して、そのまま会社も閉鎖に追い込まれた……というものです」
「お祓いはしなかったんですかね?」
「やってもらったらしいですよ、二回」
「二回……どちらも失敗した、と?」
「結果がこうなってますからね」

 めぐみさんは苦笑いした。

「……ともかく、あなたにはこれを任せます」

 どさっ。
 そんな音とともに俺の机に運び込まれたのは大量のファイルだった。俺の身長くらいはあるんじゃないだろうか……?

「じゃあお願いしますね。……私はパトロールというか、もう一つ抱え込んでる事件の方に行かなくては」
「あれ? もう皆さん居ない」
「みずきは神治と一緒に日本に迷い込んだサキュバスを無事に国に戻さなくてはならなくなったらしいですよ。祐希は河童の被害を調査に東北に行きましたし、皆さん忙しいんですよねぇ、あなたを除いて」

 それは俺が使えねぇってことか……! 失敬な。俺だって個人経営でいくつかの事件を……!
 というか、どっちかと言えばそっちの方が面白そうだし! サキュバスとか! 河童とか! どうして俺はこんな辛気臭いモノなわけ?!
 ……という一言をふさぎこんで、おれは話を続ける。

「個人経営でカバー出来るジャンルと国営組織でカバー出来るジャンルが同じだと?」
「……違いますかね?」
「まぁ、あまり変わりませんね。恵梨香も、あなたを雇ったのはそういう経験があるからとか」
「……はぁ」
「あまり溜め息つかないで下さい、移りますから」
「すんません」

 呟いて、俺は立ち上がった。
 美夏さんと碧さんが頑張ってーとか言ってるけど、貴方達も行くんですよ?

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