ルームメイトが幽霊で、座敷童。
視点B:河上祐希の場合 -壱-
夢を見ていたような気がした。
だが――それも関係ない情報だろう。消してしまえばいい。
私は空を見上げる。
青い空そのものが広がっていたが、それが別物なくらい知っていた。
そしてここが――先程まで自分たちがいた世界ではないことも。
◇◇◇
リトが意識を失ったあと。
《SYSTEM ERROR》と壁一面に文字が映し出され、けたたましいサイレンが鳴り響いた。
「……ちっ、ポンコツだな本当に。すぐ異常を起こしやがる」
そう言って翠名創理と自らを名乗った研究者は何処かに消えた。
――記憶は、そこで途絶えた。
今、いる世界。
コンクリートとも石灰岩とも鉄とも、それとは違う別の何かにもとれる壁により迷宮を象っている、それが世界の概要だ。
どれくらい広いのかも解らないし、ここが何処だかも解らない。
また――私が着ている服も違っていた。水色のズボンとシャツは入院中に着る患者服のような印象をもたせた。
「とりあえずここが何処だか把握しなくちゃ……!」
そう言って私は行動を開始した。
◇◇◇
少しだけ走ってみたが、やはりここがどういう場所なのかは理解できなかった。
「……うーん……? いったい何処なんだか」
少しだけ考えてみる。やはり、どこだかは解らない。
「……リトは大丈夫かなあ」
リトが倒れてしまったのが、私の最後の記憶だから、リトがどうなったのかはわたしは知らない。だから、それだけは知っておきたい。
――そもそも、さっきの水に飲み込まれて……。そこまで考えて僕はハッとした。
「……まさか死の世界とかじゃ」
私がそんなことをおもった、その時だった。
『――どうしますかね』
どこか遠くの場所から、声が聞こえた。
「……? 誰の声だろう……」
――すこし、胸騒ぎがした。
だから、私は急いでそちらへ走っていった。
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