ルームメイトが幽霊で、座敷童。
魂と胎児と融合個体 -壱-
雷神は厄介だが、馬鹿だった。
……おっと、悪い。いきなり言って何が何だか解らん人間だらけだな。簡単に続きを言おう。
雷神の雷は大地を揺るがし、割拠させるほどの威力である。普通ならばこれで俺たちの負けは決まったようなもんだが……。
さて、ここで一つ問題だ。
もしもこの雷神が“ワンパターンの行動しか取らなかった”のなら、どうなると思う?
「まさか雷神がワンパターンしか能がないとはね……」
碧さんもこれには苦笑いらしい。
「さすがの敵もこれは解らなかっただろうな。もしワンパターンしかないと解ればもう少し考えただろうにな……!」
しかし。
流石に場所も同じって訳ではない。場所も同じならば、俺はあと五分早くこいつを封印出来ただろうしな。
「……笑止、にげるか人間」
「チャンスを……狙ってるだけだ!! てめぇみたいな雷撃一度でも食らえば死ぬに決まってんだろうが!!」
「まぁ、私は死んでるんだけど〜」
そんなダークなジョークは要らないよ!
「轢死か圧死、憤死。どちらかを選ばさせてやる」
「綾箍を選んじゃ駄目か?!」
「……死ぬがいい」
やべぇ、まさかここまで冗談が通用しないなんて! 少しはそういうスキル鍛えておこうぜ!!
なんか碧さんさっきから無表情なんですけど!! なに、さっきのはそんなにつまらなかったか?!
「シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ!!」
「なんかもう雷神さんの人格……いや、この場合は神格なのか……? がひどい!!」
「もとはあんたのせいだけどね、私はなーんにも悪くないし」
「いや、そうなんだけどさ……! ペットがよく飼い主に似るって聞くからもしかしたら、と……」
「カミサマはペットじゃないよ」
はい、ごもっとも。
「……まぁいいや……! とりあえずここは俺たちでなんとか」
「まずいリト! 半紙があと数枚で貼り終わる! 貼り終わったらまず人間には戻らないぞ!!」
「いきなり言うなよ!! というか碧さん行けるなら止めてこい!! あんたなら壁すり抜けるだろ?!」
「……ダメだ。特殊なバリアがあるみたいで……!」
つまり碧さんには頼れない。
行くなら、正面を強行突破するしか方法はないらしい。
「……あとどれくらいで貼り終わる?!」
「もって三分!」
三分。
秒で言えば百八十秒。それを超えれば姉ちゃんは人でなくなる。……さっき碧さんが言ったことが本当ならカミサマになるだろう。
それまでに……俺は雷神を封印出来るだろうか?
いや。
しなくてはならない。
何故なら俺はそれが出来る人間なんだから。
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